店員:どうぞ、こちらへ・・・特別ルームです。
久しぶりの更新となりました。
六、
その発言に俺とセレネは固まった。いやいや、そんなことあるわけ無いな。
「嘘よ!!そんな・・・・素人があんなの出来るわけないじゃない!!あれは、もう・・・古代魔法の領域だったわ!!それに・・・」
「・・・彼なら、簡単。彼は間違いなく、私が知っている中では誰よりも・・・」
なにやら言い争っているようだが、どうかしたのだろうか?てか、俺がその責任のようだ。いやいや、何度も言うが俺がそんなことを出来るはずがない。
「なぁ、俺が使った魔法はおかしかったのか?それとか、やばいものだったとか?もしくは、迷惑な魔法だったとかか?縛ったのが色々まずかったか?」
「・・・・零時君、その魔法は基本的に問題は発生しない。だけど、貴方は類まれなる素質と言えばそこまでだけど、もっと何かを秘めている気がする。零時君、魔法というものは大体、単発しか発動できない。つまり、目標は一人に絞って、発射・・・といった感じ。だけど、零時君は異なる標的を定めそして見事、当てた。それは凄いことで、こんなことを出来るのは古代魔法しかない。」
残念だが・・・・よく理解できん。え?簡単な事だって?いやいや、俺には難しいね。大体、魔法を真剣に覚えようとは思ってないんだから、覚えようとしていないものを覚えることなんて無理さ。まぁ、俺は凄いのだろうがどうでもいい。
「・・・実際にやってみればわかる。今ここで、私とセレネが貴方に襲い掛かるから、貴方は私たちを捕らえてみて。いくよ、セレネ!」
「う、うん!!覚悟して、零時!!」
問答無用で、右腕を掲げ、セレネは炎を俺にぶつけてくる。そして、ソーラは月光のような光り輝く美しい・・・光線?って、ビームかよっ!!ひどっ!!
「時代は光なのか?ぐわぁぁぁ!!しぬぅぅぅ!」
「ちょ、ソーラ!零時が・・・あれをまともに喰らっちゃったわよ!!私、本気で炎を出したんだけど?人間相手の威力は遥かに超えてるわ!」
「・・・・私も本気でやった。だけど・・・あれを見て?」
「・・・助かったのか?・・・おいおい、素人には手加減してくれよ・・・。」
とっさに守るような盾を想像したので俺は助かったようだ。更に盾は無傷だ。
目の前に現れた二人のうちの片方は信じられない、こんなの人間じゃないわという失礼な顔をして俺を見ている。む、なんて失礼な野郎だ。それならこうだ!
「・・・・・えいや!!」
俺は仕返しとばかりにロープでセレネをぐるぐる巻きにし、ソーラには・・・・捕まえたとかかれているフラフープを首に巻いた。いい子には手加減する派です。
「・・・・間違いない、零時君は強い。いや、無駄に強すぎる!」
「はぁ?俺は強くても弱くても別に構わないんだが?ほら、一般人だし・・・。」
「零時!さっさと縄を解きなさいよ!!解かないと警察に訴えるわよ!!」
俺は右腕をはらい、ロープを消した。やれやれ、俺は一体全体、何になっちまったんだろうね?最強の魔法使い?俺としてはどうでもいいのだが?
「・・・・零時君、貴方はとても強い。だけど、魔法の使い方を知らない。それに、貴方が使ってるのが古代魔法だとばれたら色々大変。古代魔法は何でも出来る。それ故、使う際には色々と注意が必要。私たちがいるから大丈夫ですよ?」
「・・・いや、そういわれてもわからんのだが?」
俺はよく、空気を読めないといわれている。そりゃそうだ、どうやって空気を読むんだ?まず、英語みたいに訳し方を教えてもらいたいね。はんっ!!
「・・・・そのために、私たちがいる。今日のところはこれで終わり。明日も零時君が休みなら、魔法を私が教える。」
「私は・・・?」
セレネが面白くなさそうに俺を見ながらソーラに質問する。かすかに、恐い。
「・・・・セレネは・・・・(どうしようかしら?)」
ここにきて、初めて言いよどんだ。何だか、俺を見ている気がする。その目は、俺に・・・『言い出すことが出来ない。何か、彼女にとって意味あるものを告げて欲しい。』といっているように見える。いや、実際に言っているのだろう・・・。
「あ〜、セレネはソーラだけじゃカバーできない部分を俺に教えてくれないか?ほら、お前さん方はウェイトレスの仕事があるだろ?居ないときもあるだろう?」
「あ、そうだった。じゃ、私はソーラが教えてないときに零時を教えるわ。私の教え方はソーラと違って厳しいから、覚悟しておきなさいよ?零時。」
「へいへい、覚悟は決めさせてもらいますよ。きちんと教えてくれよな?」
なんだろうか、まだ・・会ってそこまで経っていないのにここまで親しくなれるようなものなんだろうか?いや、俺としては親しくなった気がしないようなするような・・・・・。それとも、俺が率先して仲良くなろうとしてるのか?
俺が悩んでいると、セレネは顔を真っ赤にしていった。何か言おうとしている。
「それと一応言っておくけど、た、助けてくれてありがと。」
「?はて、俺はお前を助けたか?」
「・・・・だ、だって・・・私が倒されそうになったとき、ノワルっていう敵も押さえてくれたし、私をソーラのところに送ってくれたじゃない?」
いや、あれは・・・まぁ、あの時ノワルに言った事は嘘じゃないし、実際俺は他人の苦しむ姿が蜜の味だとは思えない。本当のところは蜜の味だと思いたいのだが、自分に嘘をつけないのだ。もう一度言うが、俺としては、蜜の味を楽しみたいのだ。それが出来る人間を少しばかりは尊敬するね。俺には無理だから。
「ま、まぁ・・・その場の空気を読んだだけだ。うん、俺だって空気は読めるぞ?」
「へぇ、そうなの・・・?実際のところはどうなの?もう一度私を助けてくれる?」
強気に出てきたセレネは俺に向かってきている。ぐぅ、ここは・・・先程救援したソーラに助け舟を濃い出来てもらいたいので・・・・・SOSを出すしかない!!助けて、頼れる文武両道のドジの親友さん!!
「・・・・零時君、私があのような状況に陥ったら助けてくれますか?」
「・・・は?」
思わぬところからの奇襲攻撃。
仲間だと思って信じた俺が馬鹿だった・・・今のソーラの顔に浮かんでいるのは面白い虫を発見したような無邪気で、明るく、俺がはじめてみる表情の一つだ。俺としてはまぁ、ドラ○ちゃんの笑顔を見れたような感じだ。うぉ、人間相手にここまでぐっとこられたのはこれまで・・・・右手内で事足りると思っていたが、そうはいかないようだな。調子が狂うな。
「ねぇ、零時!教えてよ。あんた、いつもそんなに優しいの?」
「零時君。どうなんですか?助けてくれるんですよね?」
全く、これだから女の子って言うのは嫌なんだ。そうだな、俺としては・・・まぁ、他人からよくかっこいいだの言われるからできれば、不細工な顔で生まれてきて欲しかった。そうすれば、誰も俺に関心を持たないだろうし、こんなことにもならんかったはずだ。俺は機械さえあれば、それで構わない。
「だーっ!!そのときになってみないと分からん!!事と場所、気分によって変わる!!俺はどっちかというとクールに、機械的に、事を収めたいんだよ!!」
疲れた。そろそろ、母が決めた門限だ・・・今の俺に守るものは門限だけだ。可愛い彼女なんていらん。機械は・・・まぁ、守らなくても自分で助かるだろうよ。守るべきものは親が定めた門限だけ・・・なんだか、寂しい気がするかもしれないが、それはそれで・・・・いいだろうよ。今の内だけだがな・・・。
「・・・さ、二人とも帰るぞ?もうちょっとで門限だからな。(調子狂うな。)」
「何よ、私たちはあれからずっとここで待ってたのよ?お礼の一つぐらい、してくれてもいいんじゃない?」
お礼?何のことだ?と言おうとして、二人の腹が鳴った。
「「・・・・・」」
ああ、俺は『古代魔法振興会』の事務所でチキン南蛮を四つぐらいご馳走になったから忘れていた。そうだな・・・そこまでして俺を待っていたのなら、何か買ってやるか。ま、コンビニのおにぎりぐらいでいいだろうよ?
「・・・零時、コンビニのおにぎりとかじゃ、嫌よ?」
「・・・・私は・・ええと・・・自分たちのお店の料理が食べたいです。まだ、食べてない料理がありますから・・・・。」
はっきり言おう、あそこの料理はうまいが、高いと評判だ。
いや、俺は実のところ・・・何回か行ったことがあるんだよ。
うん、瑞樹が一緒にいるときは余計なことを考えているとろくなことがないからな・・・・。一度、考えていることがマジであいつにばれ、それを教室にいた連中にばらされたことがあったんだ。一般的に平穏というものをこよなく愛する俺としては二度と、そんな状況になって欲しくないと思って生活している。その為には無理でも自分に嘘をつくさ!
「・・・わかった、わかった。じゃ、二人とも・・・最後にレストランに着いた奴が全員の分をはらうってことだ。ふふっ!負ける気がしねぇ!!」
俺はよーいどんとも言わずに走り出す。体力に自信のある俺ではないが、女の子二人に負けるほどやわじゃない。くっくっく、勝ちはもらったぁ
「あ、ずるいわよっ、零時!!」
「・・・・甘いですよ、零時君。」
こうして、俺VSセレネVSソーラの三つ巴、『第一回 誰が一番先に目的地までいけるかな〜君の涙は喜び?それとも悲しみ?〜』が開催されたのであった。
「・・・負けてたまるかぁ!!」
「へっ、何よ、その走り方は?魔法は出来ても駄目駄目ね!」
「・・・これは、魔法以外にも色々と教えないといけないみたいですね。」
俺は、圧倒的な差を広げられ・・・・連中に敗北を喫した。どうも、この屈辱をばねにして成長することは俺には無理のようだ。そういえば、これまで・・・・かけっこ関係はほとんど中くらいってところだったか?無理なことはやめよう。
「・・・・ぜぇ・・・・」
息が続かない。足が動かない。やる気がおきない。そりゃ、最後まで走れればの話であったが、俺が負けを喫したと思ったところはレストランから結構遠く離れている場所であった。俺は手持ちの中身を確認する。うぉ、少ない・・・。
「ぅぅむ、財布はトイレに落としていたのをソーラに見つけてもらったからいいとして、財布の中身は全て飛んでいくだろうな。ちょっと食い逃げするかな?」
こうして俺は・・・・俺の一般人卒業の日は慌ただしくも、面倒に始まったのであった。まぁ、途中で諦めたくなったときは辞退しよう。それに限る。




