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第一章 彼の夢

さて、ここからが本編となります。詳しくは後書きのほうで書いておきますので、お暇な方は後書きのほうもよろしくお願いします。

一、

 俺はそれまで読んでいた紙を引き裂いてやった。全く、これは・・・・ヤギの餌に調味料(シャーペンの黒鉛)をかけた程度にしかならんな。

「え〜なんでだい?これは完璧に義妹とのむすばれた愛を・・・」

「黙れい!」

 俺はそういって更に紙を引きちぎった。

「・・・実在の人名を使うな!!」

「いや、瑠奈ちゃんは僕の妄想の美少女さ。冗談だけどね。」

「・・・・よく言うぜ。」

 俺は今、部活にいそしんでいる。俺の今の肩書きは小説部部長だ。今年で高校三年生。三年八組(特別クラス)の時柱ときばしら 零時れいじだ。

「それに、俺は魔法を使えるぞ?確かに、高校一年までは使えなかったが、きちんとあの本に載っていた呪いを解く方法も解決したからな。」

「そう?僕としては雅ちゃんとくっついて欲しかったんだけど?」

「・・・・お前の考えた美少女はどうするんだ?」

「勿論、この後は僕とくっつくのさ。いや、冗談だ。この後は零時が苦しむ展開。」

 こいつの名前は俺の昔からの親友と言う肩書きを所持している(早く他人に譲って欲しい。

後鳥河ごとりがわ 瑞樹みずきという者だ。奴の趣味は妄想の少女を脳内に形成し、紙に写し書きしてその後はフィギュアを作って立体的にするというものである。ある意味、出来上がった時のそのフィギュアのオーラはすさまじく、魂が込められていた。作り終えたときの奴は今にも死にそうな顔をしている。

「兄さん、私にも見せてよ!!」

 そういって小説部の一人、まぁ、俺の義妹が手を上げる。

「・・・・ダメだ。お前には見せられん。」

「いいもん!!私は冷たい兄さんも好き!だから見せて!!」

 よってきたので俺は手に持っていたヤギの餌を更に食べやすいように引き裂いてやった。そして、やはりヤギにやるには汚かったのでゴミ箱行きとする。

「・・・・真面目にやってくれ。」

「むぅ。」

「零時、大体・・・・小説部は人数が少なすぎるんだ。ここは明日やってくるという転校生を待とうじゃないか?」

 瑞樹は首を振って俺に告げたのであった。

「・・・・別に他の奴の力なんて使わなくても大丈夫だろ?演劇部から渡された書類には『小説部の皆さんへ この前の予算のお返しとして筋のあるものを書いてください。出来れば、恋愛物をよろしくお願いします。』って書かれてたんだ。別に犬とかの話でも良いんじゃないか?」

 たとえば、

「わんわん!!」

「わんわんわん!!」ってなもんでどうだろう?

「・・・・やれやれ、雅ちゃん、君のお兄さんは脳内の中に何かが潜んでいるんじゃないかな?ワンちゃんじゃ話にならないよ。」

「・・・・いや、そんなことは無いと思うけど・・・」

「今度、彼の頭の中を拠点とした悪役の砦でも作ってみようかな?」

 おいおい、そんなことを言っている場合ではないだろう・・・・そろそろ期限なのだ。その期限を破れば俺たちは生徒会長様に呼び出され(呼び出されるのは俺だ。)お叱りを受けた挙句に黙って金を借りていたので間違いなくこの弱小部は跡形も無く、消え去るに違いない。大体、部活には五人必要なのに俺たちは三人しかいない気がする・・・。

「零時、後二人は見えない幽霊だ。」

「・・・いや、無理だろう。」

「あ〜でもさ、私たちのところにも明日二人の転校生が来るって言っているからその三人を入れれば六人だよ?」

 確かに、そうすればなんとなるに違いない。そういう会議を行ったところで俺たちは帰宅することにした。瑞樹の家は俺の家の隣なので結局のところ帰るときも一緒である。

 夕日を眺めながら俺は部活の存続を考えてみた。いい案は浮かばない。

「・・・どうしたものかな?」

「別に小説部じゃなくてもいいんじゃないのかい?『シチュエーション部』とかどうだろう?」

「・・・それはどういうことをする部活だ?」

「・・・それはね、ニーソックスをはいた少女が夕日をバックに走ったところで・・・」

 奴がそういうと目の前を誰かが走っていった。そのこはニーソックスをはいていた。

「・・・あんな感じか?」

「うん、それで・・・・くるって振り返って『大好きです!』っていうやつ・・・」

 走り去っていった少女は途中で止まってくるりとこちらをふりかえった。

「・・・大好きです!!!輝さん!!」

 誰だろうか?輝さんって?

「・・・・・こんな感じだな?」

「簡単にいうと、そういうなんかぐっとくるような感じをどうしたらだせるのかということを深夜までかかってもいい人たちで考える部活。」

 そういっていると反対側のほうから他の高校の男子生徒?らしき人物が声を張り上げる。

「俺もだぞ〜葵!!」

「・・・全く、恥ずかしくないのかね?」

「そうだね、あれはちょっと・・・」

 俺と雅は首をかしげる。そういって先ほど叫んだ女の子は俺たちの前を再び走っていってその男子生徒に抱きついていたのであった。

「・・・・やれやれ、なんだろうな?あの人たちは・・・」

「さぁ?まるで竜のような少女だったね。」

 再び静寂を取り戻した俺たちだったのだが・・・・今度は背後から声が聞こえてきた。だが、俺たちに用事があるわけではなさそうだったので無視しておいた。

「・・・俺としては瑞樹の案は保留にしたい。正直、瑞樹らしいといえばそれらしい。」

「そうかい?それは喜んだほうがいいのかな?」

「雅、お前はどうだ?」

 高校二年生。俺の義妹時柱ときばしら みやびは首をかしげながらも考えているようだった。瑞樹がすきそうな女の子だと思っていたのだが、瑞樹は興味が無いといっていた。不思議に思った俺は瑞樹にそのことを聞いてみたのだが・・・・

「・・・・兄貴の前で言うのは引けるけどね、雅ちゃんは中途半端なんだよ。僕の中では彼女の魅力を見つけ出すのは不可能だ。だって、彼女は僕が萌える様な眼鏡っ子じゃないし、どじっ子でもない。それに、お子様体型ではないからね。あ〜てっきり教え込んだとおりに魔女っ子になってくれるっておもったのになぁ。」

 俺がそこまで思い出していると雅は俺に答えた。

「・・・・私は『ヒーロー部』がいいなぁ。」

 俺の義妹はそういう性格だ。きっと、となりのかっこいいお兄さんに影響されたに違いない。さて、瑞樹に責任をとってもらうかな・・・・。

「・・・零時、彼女の趣味にとやかく君がいうことはいけないことなのだと僕は思うよ。」

「そうか?俺としてはお前が責任から逃げているような気がしてならないがな・・・・。」

 ちょっと、昔話をしよう。なに、ちょっとだから時間はとらせんさ・・・・。

「・・・雅ちゃん、近頃零時が君に冷たくないかな?」

「・・・うん、話しかけても無視するし・・・」

「・・・それはね、君が悪の手先ではないかと疑っているんだよ。なんせ、彼は正義のヒーローだからね。君がヒーロー物の・・・そうだね、正義の魔女っ子になれば・・・・」

「おにーちゃーん!!私、正義の味方になるよ!!」

「あ、ちょっと話を・・・」

「ありがとう、瑞樹さん!!」

「・・・どういたしまして・・・・ちっ。」

 めでたしめでたし・・・っていうことでヒーロー好きになってしまった。強引過ぎる。

「・・・・なぁ、雅・・・それはなにをする部活だ?」

「悪を滅する秘密基地をあの部室にして、基本方針としては悪を見つけて滅するの!」

 嬉々としてそういう義妹を俺はかなり遠いところから見ていたかった。そうだな、地球の裏側なんていわないぜ?具体的に別の世界から眺めていたかった。

「・・・・やっぱり、今のままで結構だ。お前たちに任せたら謎の部活になりかねんからな。そんなのは嫌だ。」

 背後から聞こえてくる声はどうやら先ほどの男子生徒の声のようだった。

「・・・私のアイスクリーム食べたでしょう!!」

「加奈のアイスなんて食べてねぇよ!!」

「うう・・・一口しか食べてなかったのに・・」

「・・・・あ〜すまん!!買って来てやるから・・・・」

 そういって雷の音が聞こえてきた。きっと、何かの事故だろう。そんなことはどうでもいいや。変な人物は両脇の存在だけで一向に構わない。

「あ、そういえば今日はバイト先の店長さんが俺に用事があるって言ってたっけ?」

 雷の音が終わって後ろから叫び声のような感じの声が聞こえてきた気がするのだがそこは無視だ。

「悪いけど、先に帰っててくれないか?」

「わかった、それじゃあ僕たちは我が『小説部』のこれからを詳しく決めていこうじゃないか!」

「うん!絶対『ヒーロー部』にしてみせるよ、兄さん!」

「いや、『魔女っ子部』にしてみせるさ!」

 それぞれがそれぞれ、俺に親指を立ててくるのだが、俺はなんとも返答しがたい顔をしてその場を後にしたのだった。このまま『小説部』ではダメだろうか?

「加奈ぁ!俺が悪かったって!!」

「きえてしまぇぇえぇ!!あのアイスは折角私が苦労してかったのにぃぃぃ!!」

 そんな声を聞きながら、俺は走り去ったのであった。

 そして、バイト先である町の小さなおもちゃ屋さんにやってくる。ここは代々つぶれそうな店NO.1らしいのだが・・・噂では地下へと続く扉があり、そこで人には言えないようなことをやっているらしい。ここでバイトをしていても俺の時間帯では誰も来たことが無いのだが一応、バイト代は貰っている。

「おや、よくきたねぇ。」

 そういって俺を迎える店長(七十代?の老人と思われる。)はエッチな本を読んでいた。

「あの、用事ってなんですか?」

 明日も英語の授業があるので予習はしておかなくては・・・それに今年は受験もあるし、魔法の勉強だってしなくてはならない。三者面談ではこのまま平均点を取り続けていても埒が明かないといわれてしまうに違いない。

「ああ、実は明日から君の時間帯に三人のバイト君がはいってくるんだよ。ちなみに女の子だよ。よかったねぇ?」

 この店主は助平だと有名で・・・これまで女の子以外のバイトを雇ったことが無いのだが、俺を雇ってくれた。理由は・・・実のところ、俺とこの爺さんは過去に一度会っており、そのときたまたま店長が金を盗まれてしまって、愛読していたらしい本を買えずに困っていて俺がお金を出したのだ。もっとも、俺ははじめは出す気が無かったのだが・・・落としてしまったお金を拾うときに店長はこっちをみて

「ああ、あと千円あればのう・・・どこかに千円を貸してくれる学生さんはおらんかのう・・・」とこちらに近づいてきて、わざわざ座っていた俺に目線を合わせて言ったのであった。そこまで言われてはしょうがなかったので俺がお金を貸したのが始まりだったというわけである。あんまりいい出会いではないね。店長と知り合いなので学校では比較的女子から避けられてます。

「バイト君にはきちんと仕事をするように言っておいてくれ。」

「わかりました。」

「とうとう君も先輩じゃな。ああ、そういえば一人は君の知り合いだと言っておった。」

 知り合いの女子に・・・・好き好んで変質者の爺に話しかけるとは思えないのだが・・・それに、大体俺の通っている高校ではバイトは禁止である。家庭の事情(母さんが三社面談のときに先生の前で嘘泣きをしてその権利を取得)にて俺はバイトを許されている。

「しかしまぁ、ワシも堕ちたものじゃ。」

 唐突にそんなことをいってため息を吐く店長。その目は本当に悲しそうだった。

「どうしたんですか?」

「実はな、零時君にしか話さんが・・・バイトは本当は零時君だけでよかったんじゃ。じゃが、どうにも弱みを握られてしまってのう・・・脅されるような形でバイトを許可してしまったんじゃ。あの小娘、やり手じゃな・・・気をつけるんじゃぞ?」

 そのときの店長の顔は本当に俺を心配するような目をしていたのであった・・・はて?俺の・・・女の子の知り合いにそこまで裏があるような人はいたのだろうか?

「・・・よくわかりませんが、注意します。」

「・・・男の威信にかけて・・・・」

 真剣そのものの顔に俺はちょっと怖くなったのだが、頷いた。

「・・・あの小娘のパンツの柄を調査してくれ!!そうしないとワシは死んでも死にきれん!!」

「・・・。」

 そうですか・・・それはまた・・・・安っぽいですね、店長さん・・・・

「じゃ、俺は帰りますよ?」

「おお、明日からはサバイバルの始まりじゃ!!気をつけるのじゃぞ?」

 こうして俺はよくわからない店長さんからのお知らせを受け、明日から来るであろう・・・転校生とバイトの新人・・・なんとなく、ここいらでつながっているような気がしないでもないのだが・・・まぁ、気にせずがんばるとしよう。

 夕日が沈んできている時間帯なので俺は慌てて家へと走り始めたのであった。それに、早く家に帰らねば俺の夕食は義兄に食われてしまっているかもしれん・・・・。

「・・・無事でいてくれよ?俺の夕食・・・・。」

 この後家に帰宅するとすでに義兄は俺の食事を綺麗に平らげており、俺は白ご飯を泣く泣く食べたのであった。黒いノートに復讐を誓ったのであった。


今回はまだまだエンジンがかかっていませんね。自分としてはまぁ、はじめだからこんなものかといったところです。因みに、途中で登場していた方々は知らない方もいると思いますが・・・とりあえず、他の物語でがんばってた人たちです。この方たちを知っているという人はメッセージくれると嬉しいです。次に、なんだかやけに新章出すの遅かったなと思った方もいると思います。そこで、今回はその言い訳をしたいと思います!はっきり言って、既に完成していたのですが、皆さんに受け入れられるかどうか心配で心配で・・・夜も眠れないといった夢を見ました。それは冗談として、登場人物などを考えていました。昔は強力な人たちが多かったのでよかったのですが・・・今回もできるだけ皆さんの記憶に残るような人たちを考えていたらこんなに遅くなってしまいました。長くなってしまうといけないので、次回にもちょっとだけこの物語のことを考えたいと思っています。では、また今度・・・・あ、そろそろ小説書き始めて一年かな?成長したと思っている自分ですが、これからもよろしくお願いします!

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