客:見てわかりませんか?一人です。
久方ぶりの更新のような気がします。
三、
三人の真ん中に居た店長らしき男が前に出て再び、俺に頭を下げた。そして、更に後ろの二人も頭を下げる。うん、さすが営業してるだけあって謝り方も板についてるね?って、そんなこと言ってる場合じゃない!!
「・・・お客様、私の勘違いで取り返しのつかないことを・・・」
「ぶぇ、ま、まさか・・・。」
あれを切断してしまったのではあるまいな?ああ、だから店長は雑用係をさせるって言ってたのか・・・成程、俺はウェイトレスとなるのか・・・?それは却下だ!!そんなの誰が許しても俺がゆるさねぇ!!俺はそれが無くても男だ!!
確認してみたところ、きちんとくっついていた。よかった、これなかったら語尾に
「うふん。」とか
「ねぇ。」とかつけないといけなくなるところだったぜ。
「・・・あの、俺の体に何かする前ですか?それで、気がついてやめたとか?」
「・・残念ながら・・既に終わっています。」
しかし、どこにも体の異常は無いぞ?あれだってきちんとついてるし、髪の毛だって抜けてない。なくなっているのは俺の衣服だけだと思ったらきちんとハンガーに吊るされているではないか?無くなったものは何も無いみたいだぞ?
「・・貴方をあの、大鍋の中に放り込みました。」
指差すほうには魔女が使用するであろう、鍋というよりも大釜があった。なにやら虹色の怪しい煙を発している。な、なんじゃありゃ?
「・・あれ、なんですか?」
「古より使われていたお仕置道具の一つです。はっきり言って、使えるのは一回だけだったのですが・・・まぁ、それはいいとして、私どもはあの中に貴方を放り込みました。その後、直にこの・・・」
ドジとその友人を指差して店長は続けた。
「・・・二人が事情を全て私に話してくれました。しかし、既にお仕置マシーンは終わっており、完了を告げるあの虹色の煙が吹き出ていたのです。」
「じゃ、俺はどうなったんですか?どこも悪くなっているところは見当たらないようですが?」
「・・・信じられないかもしれないが、君は普通の人間じゃなくなったんです。」
な、何だって・・・・それは・・・どういうことなのでございましょうか?
「エースパイロットになったんですか?」
「・・・残念ながら、魔法使いです。ほら、魔法使いぐらい知ってるでしょう?」
なぁーんだ、今更って話だな。うん、魔法使いなんて全く持って一般的だろうよ?もっとマイナーな職業みたいなのこいよ・・・って!
「なんで!何で魔法使いなんだ!!」
「・・・それは、私たちが魔法使いだからです。我々、魔法使いの種族は黙ってこれまで生きてきたのです。まぁ、先立つものが無いと大変だから一般人のように働いているんですが・・・」
嘘だと思う。いや、嘘だ!!嘘に決まってる!!俺が決めた!!
「魔法使いなら、魔法使ってくださいよ。ええとですね・・・例えるなら魔法っぽいもので・・・。」
さて、伝わったのか分からないが、店長が右腕を俺に突き出した。
ぽんっ!!クルックー!クルックー!!
「・・・あの、鳩じゃ魔法というよりもマジックなのでは?」
クルックーと鳴いている鳩がパタパタ飛び出した。ばつが悪そうに俺を見る店長。これは・・・・魔法じゃないだろうと俺は思った。
「すみません、とっさに言われたらこんなものか・・・セレネ、悪いがお前の一番得意なものを見せてあげなさい。」
突如名前を呼ばれてあのドジ娘さんが返事をする。セレネという名前か・・・。
「は、はいっ!!セレネ、いきまぁす!!」
ゴォォォォォ!!
「あちちちちちっ!!」
右腕を俺に向け、炎を召喚。飛んできた炎が俺の髪の毛を燃やす・・・ああ、先っちょが焦げてしまった。この髪型、少しばかり気に入ってたんだが・・・。
「・・・貴方たちが一般人じゃないことがよくわかりました。魔法使いって非常識な人が多いんですね?まず、人に向かって放っていいんですか?」
店長は更にばつが悪そうに立っており、俺を危うくローストにしようとした魔法使いのドジは真っ赤になって後ろに下がった。デンジャラスだな。
「それで、俺はどうしたら戻れるんですか?」
「・・・残念ながら、それは無理なんですよ。このお仕置道具はそのために作られたのですから・・・・」
「そうですか、なら・・・家に帰りますんで悪いですが服とってもらえませんか?」
俺は吊るされていた自分の服に視線を動かす。そこには消し炭となった俺の元、服が天寿を全うして昇天してしまっていた。さよなら、短い付き合いだった。
「・・・重ね重ね、すみません。」
「・・いえ、もういいですよ・・・諦めますから・・・それより、すみませんが何か服を貸してもらえませんか?このさい、何でも構いません。」
「それより、ご提案があるのですが、少々いいですか?」
ご提案?一体全体何のご提案でしょうか?これ以上は流石にめんどくさがりやの俺でも場合によっては本気で怒りますけども・・・?
「実のところ、貴方が魔法使いになってしまったのは予定外でした。魔法を使えるようになってしまった貴方にはぜひとも、魔法の知識と技術を魔力が暴走しない程度に習得してもらいたいのです。」
「え、暴走するんですか?」
「ええ、ひょんなことから魔法を使ってしまえばそうですね、素質にもよりますが・・・暴発した場合は他人に迷惑がかかってしまいます。」
うぅむ、それは困る・・・・寝ているときに暴発なんてされてしまったら俺の部屋にある・・・せっかく、親の言うことを聞き、親の要求を全て叶えてきた俺の大きな部屋の所有権が消えてしまう。もしくは、家ごと吹き飛ばすかも・・。
「・・・で、ここで働いて覚えろってことですか?それとも駅前まで魔法を習いに行けばいいんですか?」
どっちにしたってろくなことが無いだろうが、暴走されちゃたまんないからな。
「いえ、貴方の家で十分です。我々魔法使いは基本的に三人で一組のチームを組んでおります。これは、ウェイトレスの制度にも我々は使っております。一人が失敗すれば失敗した一人がお客様の相手をし、残った二人がそのうちに状況を改善する・・・といった感じです。」
あ、成程・・・だからあの時、直にタオルをあの子が持ってきたのか!
「我々の中から、貴方に魔法を教える人を派遣します。ええとですね・・・」
「待って下さい!!」
いきなり後ろのほうに居たセレネと呼ばれた目つきの悪く、ドジな・・・ウェイトレスが声を張り上げた。
「その仕事、私にやらせてください!!」
その目には真剣な表情を宿しており、これは・・・これは物凄くやる気のある顔だ。目の置くには燃え盛る何かが見える。
店長はそれを黙って見ていたが・・・何かを諦めたような顔になった。
「・・・いや、お前じゃ無理だ!うん、君にウェイトレスをやらしていた私が馬鹿だったな。お客様、こんなドジを貴方の師匠にすることは出来ません。」
まぁ、そうだろうな・・・先程の火炎をもう一度ぶつけられた場合は運よくとは行かないだろうね。美少女だからって全てが許されるわけじゃないのさ!それが通用するのはあくまで美少女に興味がある連中だけであって、機械好きの俺には通用しないね。まぁ、そっちのほうが色々気を使わなくていいだろうがな。
「・・・・待って下さい、店長。」
今度は今まで黙っていたあのドジの友達が前に進み出た。
「・・・私が念のために着いて行きます。そうしたほうが、零時君にもいいと思いますし、セレネのフォローにも回れます。」
「そうか、本当なら君だけに行ってもらったほうがいいのだが・・・かなり不安だが、君が居るなら大丈夫だろう。」
店長、それはちょっとおかしいでしょうよ、かなり不安ならやめてください。危険です。俺の今後が懸かってますし、俺もあの子一人のほうがいいです。
「・・・で、零時君だったかな?この二人でいいかね?」
「もう、諦めますから、構いません。彼女が居るなら安心できると思いますから。」
「そうか、なら二人とも・・・がんばってくれ。特にセレネ!」
「「わかりました。」」
さて、これからどうなるのだろうね?俺は魔法の練習中に俺の服みたいになりたくないぞ。天国であの服を着たいとは思わないからな。
「君のお母さんには既に事情を話しているからこの二人が来ても大丈夫だろう。」
こうして俺はコックの服を着て(店長がお古を貸してくれるといったが、ふんどし付きだっために遠慮した。)出来るだけ人に見つからないように家に帰ることにしたのであった。忘れていたが、瑞樹はどこに行ったのかと店長に聞いたら先に帰らせたといっていた。それに、母さんにはもう一度電話するそうだ。
そして、見慣れた公園まで美少女といっていい二人とともに戻ってくることが出来た。
「れ、零時さん、自己紹介がしたいんだけど・・・じゃなかった、したいのですけど?」
「・・・あんたは零時と呼んでもらって構わないよ。後、敬語になってないし、今はお店の客でもなんでもないからあんたはあんたの話し方で構わないよ。」
「そ、そう?なら、零時・・・ちょっとそこの公園で私たちの自己紹介をさせてもらえない?」
みなさまどうも、こんにちは。ええとですね、非常に困ったことが起こってしまいました。左腕を不注意にて、怪我してしまいました。ちょっとばかり更新が遅くなりそうなのですが、よろしくお願いしますね?それと、今のうちに見直しなんかをしたいので、誤字や脱字をもしも作者が見つけるよりも早く見つけた場合は教えてくださるとうれしいです。




