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久しぶりの更新です。
四、
俺としてはさっさと家に帰って魔法を教えてもらい、一人立ちできるほどに上達したい。そうすればこの二人ともお別れできるだろう。円満に終わるだろうな。
「・・・わかった。」
「さ、ソーラも行こう?」
三人で公園の中に入り、俺はブランコに座った。二人は俺の前に立った。
「・・・ええと、私の名前はセレネ・ルーン。十六歳で・・・得意な魔法は基本的な奴かな?趣味は・・・教えない!知りたいなら教えるけどね?」
「いや、そこまで言わなくたっていいぞ。別にそのうち分かるだろうからな。」
「そ、そう・・・?」
興をそがれたような感じでセレネといった女の子はしゅんとなった。まぁ、ちょっと悪いことしたかもしれんが、ここで油をうってるほど俺たちは暇なのか?
「・・・・名前はソーラ・プロミネンス。同じく十六歳。以上。」
うぅむ、こっちの女の子は表情がなかなか読めんな。
「じゃ、帰るか?」
「ちょっと、私たちが説明したのに貴方が自分の紹介しないなんておかしくない?」
指差して俺を睨んでくる。おいおい、全く・・・面倒なことをしてくれる奴だな。だが、俺は説明をしなくて良かった。何故か?説明してくれた人がいたのだ。
「・・名前は剣山 零時。徒築地高校二年生、部活は帰宅部。趣味は機械関係の事で・・・・嫌いなものは不明。好きなものはネジである。彼は人間よりも機械に興味があり、その趣味のために女の子の知り合いは少ない。根は意外と優しい。」
そんな、そんな・・・辞書を読んでいるみたいに言わなくても良くないか?もっとさぁ、なんかこう・・・まともな説明をお願いしたいね、動物の説明欄みたいじゃなくてさ!さしずめ、『チンパンジーの親戚』といった感じだろうな。
「ま、まぁ・・・そういうことだ。ソーラちゃん、説明してくれてありがとう。」
「・・・・礼にはおよびません。零時君。」
隣のセレネはびっくりしたような顔をしている。そりゃそうだ、俺だってびっくりしている。何故、知っているのか・・・かなり気になる。ストーカーか?
「ソーラ、なんでそこまで知ってるの?」
無機質な顔に初めて表情が表れた。その表情はちょっと幼い女の子が恥らっているような感じだ。きっと瑞樹だったら喜んでいるだろうよ。
「・・・・昔、零時君に会ったことがあります。・・そうですね、小学四年の頃でしょうか・・・。そのときは名前を知っただけです。ほかの事は彼の親友だといっていた方に情報を提供してもらいました。それ以降、話した事はありません。」
親友=瑞樹。ああ、そういう事か・・納得・・・全く、人の個人情報を教えやがったな、あの野郎!!しかも、なんか失礼なことを言われたような感じだ。
一人納得していた俺だったが、セレネが口を開いたので視線を向けなければならなかった。ほら、人と話をするときは目を見て話さないといけないだろ?
「零時、今日は本当にごめんなさい!!私の不注意で・・・・。」
「・・・・重ね重ね、すみません。」
二人して頭を下げられたら俺はどうすればよろしいのでしょうか?そこまで何かをされたってわけでもないし、面倒だ、さっさと頭を上げさせて皆で帰ろう。
「そう思うのなら、俺に早く魔法を教えてくれ。後、魔法が暴発しなくなったら帰ってもらって結構だ。そのほうが二人にとってもいいだろ?」
だが、間違っていたようだ。何故かって?顔を上げた二人は悲しい顔をしていたからだ。他人が悲しい顔をしていると俺はなんだか無性に自分が悪いのではないかと思ってしまう。うぅむ、なんだか存した気分だ。
「・・・残念ながら、それはできません。私たちが帰れるのは一番早くて一年。それまでずっと零時君の元に居ないといけません。おいそれと帰っては私達の身に危険が出てきますから。」
「それに、『古代魔法振興会』の事も詳しく話しておかないと・・・。」
『古代魔法振興会』?なんじゃ、そりゃ?きっと名前のまんまなんだろうな。
「セレネ、何だそれ?」
「それはね・・・・。」
セレネが言おうとして、口を開きかけたのだが・・・・何かが、いや、誰かが公園にやってきた。
「おほほほっ!!このドジウェイトレス!!この前の仕返しをしに来たわよっ!!(ああ、この話し方恥ずかしい・・)」
黒フードを被っており、顔が良く見えない。だが、声から考えて女の子のようだ。まぁ、黒は日光を吸収するだろうね〜。きっと、暖かいんだろうね。
「・・・あんなのが、『古代魔法振興会』なのよ。黒いフードを着てて・・・それ以外はちょっと私は分からないわ。でも、敵対する魔法使いを襲ってるって師匠が言ってた。」
「ふぅん、冷え性?なんで黒いフード被ってるの?」
「きっと、夜に活動してるからよ。ほら、色が黒いと奇襲しやすいじゃない?」
二人で話していたら飛んできた謎の紐によって体の自由が奪われる。うおっ!
「・・・全く、敵である私を無視して彼氏と話なんて余裕ね、セレネ。」
「・・・すみませんが、あいつは俺の彼女でも何でもありませんが?それに、彼女たちとは今日初めて会ったのですが?因みに言うなら貴女も初めて。」
意外と力持ちのようだ。俺を小脇に抱えているのに体重が片方に傾いてるってわけでもないようだし・・・いや、俺の体重はどちらかというと軽いな。
「セレネ、この彼氏を返して欲しいのなら・・・・午後十時にまたここに来なさい。それじゃあね?あ、きちんと来てなかったらそのときは覚悟してね?」
こうして俺はあっさりと捕獲され、連れて行かれたのであった。以下の会話は俺の誘拐現場に居合わせながら呆然としていた二人の会話である。
「・・・・セレネ、『古代振興会』に知り合いが居たの?」
「いや・・・この前お店に来て私が間違ってシチューをぶっ掛けた相手だったわ。」
「・・・じゃ、何で零時君を助けてあげなかったの?彼、慌てたわよ。」
「それは・・・いや、あんまりあいつがあっさり捕まってしまったから呆然としてただけよ。それに、同行するって分けないはずよ・・・次は何とかするわよ。」
次、何とかじゃなくて連れ攫われる前にどうにかして欲しかった。まぁ、こんな話があったことを書いておこう。念のためだ。
そして、連れさらわれた俺は小さな事務所のようなところでロープで縛られていた。ああ、ロープで縛られたといってもかなり緩められていたがな。
「ねぇ、貴方、どこの高校通ってるの?」
「・・・何で、誘拐犯にそんなことを教えないといけないだ?」
「暇だから。それに私は静かなのは嫌いなのよ。」
ああ、確かに暇だな・・・・この悪のアジトっぽいところに来たとき、中に居た人達(三人)は皆夕飯の買出しに行くとこの少女に告げて黒フードを脱いで出て行ってしまった。残された俺たちは別にすることもなく、座ったまんま確かに暇だ、暇すぎる・・。魔法の使い方ぐらい教えてもらえばよかったな。
「俺か?俺は近所の高校に通っている一般人だ。」
ここいらで近所といえばあそこしかないのでわかるだろう。
「ああ、あそこね・・・なら、学年は?」
「今度で二年生。」
「あのドジウェイトレスとの関係は?」
「関係?ああ、俺か?俺は・・・・あいつに水をぶっ掛けられたんだよ。二回。」
「へぇ・・・私とお仲間?」
「じゃ、あんたもか?水を掛けられたのか?」
首を振る謎の黒フード。いや、もうフードはずしているから顔は見える。うん、可愛いんじゃない?パッチリしているし、元気娘な感じがするな。
「私はシチューを掛けられた。いやぁ、あの時は頭にきてお嬢様口調になったなぁ。だけど、私はあんたって名前じゃないわよ?いい、女の子を呼ぶときにそんな代名詞をつかったら駄目なのよ?嫌われると思うわ。」
「そうかい、俺には女友達なんてほとんど居ないから知らないね。まぁ、名前を教えてくれなかったあんたにも責任があるんだろうけどさ?」
「私の名前?ああ、ノワル・ダーク。古代の魔法を信仰している会の下っ端ね。まぁ、主に雑用とかしてるんだけど、いかんせん、古代魔法の腕が駄目なのよねぇ・・・ふふ、一般人から見たら頭がおかしな連中だって思ってるでしょうねぇ?剣山もそう思うでしょ?いい年して魔法だ〜とか叫んでんだもん。」
いや、残念ながら俺は自分の身をもってして魔法は存在するものだと知ってしまったからな・・・・否定したいのだが、否定できないな・・・・まさか、ロボットよりも魔法に遭遇してしまったとは俺自身、信じられん。そして、今度は誘拐と来た。俺が去年まで通っていた中学にて、変質者が声をかけてきて女子中学生が誘拐されそうになったという話は聞いたことがあるが・・・まさか、男の俺が捕獲され、謎の事務所にロープでぐるぐる巻きにされるなんてね。
「いや、魔法は存在するんじゃねぇか?」
意外そうな顔をしてノワルは俺を見る。おいおい、今度は珍獣扱いか?
「・・・へぇ、剣山ってファンタジーな頭してんだ?」
「いや、どっちかというとSFとか機械にしか興味ないんだけどな。しかし・・・俺は誘拐犯と何を喋ってんだ?全く、誘拐犯は誘拐犯らしく怖い顔をして俺を見張ってた方がいいと思うぞ?誘拐された俺がこういうのもおかしいがな。」
だが、ノワルは金髪を揺らし、首を振った。その顔は嬉しそうだった。
「そりゃ無理だよ。だって、私も剣山と同じ高校に通ってんだもん。モンタージュとか書かれたら一発で正体ばれちゃうし、そんなことになったら警察に行かないと・・・・。え、何そんな面白い顔してんの?あ〜言ってなかったかな?私、剣山と同じ高校で、確か二年から同じ教室だよ?よろしく、剣山!」
今回の話はどうだったでしょうか?短編のほうでは微妙に登場していなかった『古代魔法振興会』を初登場させてみました。話に本格的に影響してくるのはもうちょっと先になると思いますが、よろしくお願いします。




