表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/28

偶然の新素材


コンドウ家定例会議。

徐々に工房の建設が進み、人も増え、自ずと報告事項も多いのだが......相変わらずカレーを食べながら呑気に会議している面々。

「カツミのとこは人足りてるか?」

「うん。村の人も来てくれてるし、そろそろ本格的にラーメンいける」

「ほなグラニオスとの交渉に入るで」

「はいはーい」ナターシャが手を挙げた。

「それ、わたくしが担当いたします」

「大丈夫?」とルーク。

「皆さんが大変な時期に、わたくしだけのんびりしていられませんわ」

「まあ大変やー言いながらカレー食ってるけど」

「じゃあ任せてみれば、タケシ。僕もフォローするから」

「ほな任せよか。あんじょう頼むわ」

「じゃあ近いうちにわたくし、グラニオスへ参ります」

「あほ、ここに呼べ。こっちの方が上」

「まぁ。そうでもそうですわね。わかりました」

「ルーク頼むな」


「そうじゃ。こんなもんをね」と、バルザが取り出した固まり。

「職人が持ってきたんです。変なもん出来たって」

「何や?」

タケシが触っている。

「カメスラパウダーに、ビールこぼしたらしくて」

「おいこれ.......」

形こそ歪だが、よく見ると気泡が細かく入っている。

「サーシャ。これすぐ検証や」

「何ですか?」

「これなー。べちょっとしてて分かりにくいけど.....スポンジみたいになってる」

「??」

「スポンジって何です?」

「いやだからな、ここ、隙間」

引っ張って割った。

「ほら、小さい穴。ぎっしり」

指でつまむ。

「な、押したら戻る。アキラわかるやろ」

「うん。スポンジ状だね、薄くてわかりにくいけど」

「アキラ、ナターシャに指示してわかる形に仕上げて」

「オッケー」

「またライン増やさなあかんかも」

「またですか」

「何になるんやろ」

「ワシ全然わからん」

「あぁ。もうちょい待って。ちゃんと出来てからな」

と言いつつ冷めたカレーを口に運んだ。



「でさ、何になるの?あれ」

「そうやなー。お前の布団?」

「え?」

「なんちゅうか.....押すと反発するけどゴムみたいにボヨンボヨンせえへんから、マットとかソファーにええな。

んで水にも浮くし、中に空気含むから断熱性とか。

ほんで穴あるからフィルター、つまりろ過する時使うやつ」

「んー。後半わかんない。でもそのお布団待ってる」

「はいはい領主様」


でもーータケシは思う。

ゴムもスポンジも消耗品には出来んしな。

やっぱり本業に使うのがええよなー。

便利よりーー必要。

個人よりーー公共。

難しい........



「タケシさん、スポンジ簡単に行けそうですよ」

「そうかー。ほな畳1枚位の板状で作れるラインだけかんがえといて。次の会議の時にみんなに特徴言えるように整理してな」

「何作ります?」

「いや。まだ決めてない」

「そうっすか。僕もあんまりいいの浮かばないんです」

「まぁうちらの工房で使えるものは優先やからな。そこからみんなで考えよ」

「そうですよね。本当に必要なものって難しくて。ゴムもね。たくさん作れる訳じゃないから......」

そうか。アキラも同じか。

タケシはちょっと嬉しかった。


「そうや。サンプル作っといて。座布団サイズでぎょうさん」

「何するんですか」

「耐久試験いるやろ」

「あー。ヘタリ具合とか?」「そや。あと使用感な。長時間座ったらどないかとかな」

「そうですね」

「乗合馬車に配って、ケツに敷いてもらお。タダでええから。感想だけもらお」

「あー。喜びますね。それ」

「一石二鳥や。データ取れて、宣伝にもなるわ」


スポンジ座布団が出来てくると、ルークはこっそり部屋に持ち込んだ。

「おい。取ったやろ」

「え?お布団でしょ」

「座布団や」

「並べるよ」

「マットとどっちがええ」

「.......返します」




ゴロゴロゴロ。川べりに荷馬車がやってきた。

「あっ、また来た」と集まってくる子供たち。

しばらくすると、荷台から何かがビュンと飛び出してポチャンと落ちた。

何度やってもポチャン。

「今日もあかんかったなー」と、子供たちは帰っていく。

カイエンタイのパチンコ大砲。

大砲とは名ばかりの地味な代物だ。

帰っていく荷馬車を見ながら、タケシとリゥトスがため息をついた。

「子供に笑われてるな」

「笑われてナンボや」

「せっかく様子見に来たのに....がっかりだな」

「まだ発射できるようになっただけまし」

「そうか」

「一発目、木が折れて。鉄に変更したらゴム切れて。ゴム太したら引けんで。その次引っ張っとる奴が飛んで。マジおもろかった」

「なんか、楽しんでるんか」

「いや。俺らもそないして製品化したんや。最初はずーっと失敗するもんや」

「そうか」

「めっちゃがんばっとるぞ。ねぎらってやれよ隊長」

「分かった」

「まーそれにしてもなー」

タケシは、飛んだ男を思い出して笑い出した。

「ギャラリー増えるな、これ」


あ。飛んだ男で思いついた。

「リゥトス、ヘルメットできるかも」

「何?そのヘルメットって」

「頭守るやつ。兜みたいに重くない」

「??」

「そうかー。防具にも使えるぞ」

「防具?」

「大砲出来上がったら、次にやらせるわ」

「え?何を?」

「先に大砲やろ」

「わからんのは気持ち悪いーー」

「あー。めんどくさ」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ