21/24
フィルターの消失
その瞬間は、唐突に訪れた。
蓮が、石の指先で最後の
「強制発火」を行おうとした、
その刹那。
世界中の、
そしてスタジアム内の数万人の
スマートフォンの画面が、
同時に、真っ暗な沈黙に包まれた。
『 契約終了。……ゲートウェイを閉鎖します 』
黒い靄の囁きが、蓮の脳内を通り過ぎた。
直後、スピーカーから流れていた美しい歌声が、
耳を劈くようなハウリングと共に途切れる。
「……え?」 「……なんだよ、これ」
スタジアムを支配していた
「魔法」が、霧散した。
数万人の観衆は、スマホを掲げたまま、
呆然と目の前のステージを見つめた。
そこにいたのは、
自分たちが夢見た「神」ではない。
ワイヤーで無様に吊るされた、朱色の血を流す、
醜悪で重苦しい「石の怪物」だった。
数秒の、死のような沈黙。
そして、それは一気に爆発した___。




