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男の娘の成長

 2人は目的だったモンスターシリーズをゲットしたので城下町の広場に戻った。

 今は明日に備えて支度しないといけないので2人とも真剣だ。

 いつもよりピリピリするような空気をまとって2人はランキングの掲示板の前に立った。


「やっぱり、モンスターシリーズを持ってるだけで2位になってるね」


「それだけで実力が倒せてない連中より上ってことですよ」


 2人は自分達が1位と2位なのを確認してその場を後にした。

 本気のプレイヤーは今の2人のように上位のプレイヤーを警戒しているので、今下手なことを言って刺激すれば危険だと考えたのだ。

 実際、あの場には最上位を危険視した3位と7位と10位がいた。

 超トッププレイヤーはランキングにもこだわりがあるから、絶対に1位になろうと必死に妨害も含めてやってくるので、スペードはよく知らないライトの手を引いて離れたのだ。





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 いつもの宿に戻ると運営からの通知で2人目のボスモンスターの撃破者が出たことが知らされた。

 そして、それがちょっと有名なスペードであることは掲示板サイトで広まって騒ぎになっている。

 ただ、そのスペードの上に相変わらずライトがいるのがみんなの謎になっている。


「ふぅ、あの程度をみんな倒せないなんてどうしてでしょう」


「多分、魔法の取得や装備の強化に手間取ったり、難易度の低い森のボスモンスター以外に手を出したせいかも。森のボスモンスターは五体確認されてるみたいで、その中でもスピードパワー特化のバジリスクと防御と魅力特化の巨大桃色蟷螂(クイーンマンティス)はちょっと強い魔法があれば勝てるって公式でコメントされてるみたい」


「つまり、先に弱い二体を倒したからみんなが次を見つけられなくて倒せてないんですね」


「それだけじゃなくて、ボスモンスターは住処をランダムで少し移動させてるみたい。そのせいでバジリスクがいた場所に他の強いボスモンスターがいて負けたとか、掲示板に結構書いてあるよ」


 超真剣に情報収集して始めたばかりの昨日から急成長したライトにスペードは感動して少し泣いてしまった。

 それを隠しながらスペードは言った。


「とりあえず僕達の運が良かったんですね。それなら、僕のモンスターシリーズを見ましょう」


 そう言いながらさっさと涙を拭いて戦利品を取り出した。

 カマキリの姿が彫られたナイフと同様の大鎌が一本ずつ。

 桜の花びらが刺繍(ししゅう)された白の衣服と水色のショートパンツに、カマキリを中心に桜の花びらが舞うデザインが背中にある白いマント、茶色のロングブーツにも桜がある。

 そんな桜とカマキリの装備を手に入れた。


「えっと、男の娘にショートパンツとかイカれてますね」


 スペードは運営が差し出したショートパンツに汚物を見るような目を向けた。

 こんなの着たところでスペードのアレが見えそうになる程度しか無いだろうに、得のないチラリは意味がないと運営に言いたくなっていた。

 そこに一言だけ運営の救いになりそうな言葉がライトの口から出た。


「いや、とても可愛いと思うよ。ていうか、男の娘なら何事にも挑戦だよ!」


 可愛いという単語にスペードはドキッとした。

 それで赤面して履いてもいいかなって気になった。


「なら、着てみますね」


 そう言うと操作画面をいじって装備した。

 白い肌と茶髪のセミロングにあの装備はとても合っていた。

 それが似合いすぎてライトはパァーと嬉しそうな顔になった。


「どうですか?」


 赤面させて恥ずかしそうにするスペード。

 それにライトが食い気味に答えた。


「最高に可愛いよ!やっぱりボーイッシュなのはスペードが似合うね!僕じゃそうならないもの!」


 ライトは勢いよくそう言った。

 そのせいでスペードが恥ずかしさの限界に達しそうになっていたので、ライトは一度少し距離を取って謝った。


「あっ、ごめん。一気にやりすぎたね」


 ライトが視界から少し消えてくれたのでようやくスペードは落ち着き始めた。


 完全に落ち着いたところでスペードが提案した。


「さっきのは運営が悪いってことにして、明日の作戦を考えましょう。パーティーだから2人で上を独占しますよ」


「うん。作戦がダメになったらゴリ押しで行くからね」


 仲良しに成長した2人はハイタッチして互いにやる気があるのを伝えあった。

 そこから夜まで2人して作戦を考え続けたので、この日はあれだけでログアウトすることになった。

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