男の娘の初イベント 前編
ようやく来た。
全プレイヤーと運営が待ち望んだ最初のイベント、第1回バトルロイヤル。
個人成績で順位がつけられるこのイベントは、モンスターシリーズの宣伝とゲーム自体の宣伝のために行われるが、そんなことはプレイヤー達にはどうでも良かった。
戦い好きにとっては結果さえあればそれで十分なのだ。
そんなイベントに参加しようとする約3000人のプレイヤーがいつもの広場に集結した。
広場から溢れてもいるけど、城下町に集まってるプレイヤーは全員がバトルロイヤルの参加者だ。
観客は専用の空間に先にワープして待機している。
あのクラスメイト達も明の無様な姿を期待して待っている。
しばらくして時間になった。
その瞬間に城下町に複数のモニターが現れて、そこには運営の誰かがアバターを使って映っている。
「みんなお待たせ!予想より早かったけど、第1回イベントの開催です!城下町にお集まりの戦闘好きは早くしろと言いたいでしょうけど、一応説明があるから待ってね!あと、ライフのみんなは確率アップを開始したから生活を豊かにしてね!」
可愛い猫耳女の子のアバターは明るくそう言った。
そんな話を戦闘狂が聞くわけもなく、今にも暴れそうな状態で準備体操などを始めた。
「それじゃあ、ルール説明を始めるよ!まず今回のイベントは個人成績で10位以内に入った人にはプレゼントがあります!そのご褒美を得るには何度もランダムな場所に復活するプレイヤーを倒してキル数を稼いでください!2時間の時間制限で途中経過もちゃんと発表します!見事3位以上になれた方には表彰台でコメントをいただきますからね!」
とても簡単なルールにライトとスペードは鼻で笑った。
その様子を近くにいたプレイヤー達は見ていた。特に金髪の少女と茶髪の大男が注意深く観察するように目を向けていた。
「さて、もっと話したいところですが、これ以上は無駄でしょうからそろそろ始めましょう!おっと、このイベントは動画サイトに中継されるのを忘れてました。まぁ、頑張ってください!それじゃあ、スタート!」
運営のアバターが色々と言ってからスタートを宣言した。
その途端、プレイヤー達は光につままれてテレポートさせられた。
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移動したのは広いマップで、中心に廃墟になった古代の街と周りに森という感じになっている。
そこに親切な運営がパーティーをセットで飛ばしてくれた。
お陰でいきなり1位と2位が揃った状態で始まった。
ちなみに、着いたのは廃墟と森のちょうど境目だった。
「さて、運命の時ですね。あのバカどもにゲームでも強くなれるところを見せましょう」
「才能がなくても直感で戦えばいいことを見せてやる」
2人ともやる気で身構えた。
スペードは使ってみたいという理由で今回は大鎌を使用することになった。
ライトはそれを許可してスペードに守ってもらうことになっている。だから、今は刀を抜かずにいる。
2人はまだ敵が来ないのを確認して〈全集中〉と〈完全集中〉を発動した。
ライトの全ステータス上昇とスペードの察知能力などの上昇は相手に気づかれる可能性を上げる。
手っ取り早く狩りをするためにわざと力を溜めてるのだ。
そうしてるとすぐに10人のプレイヤーが襲ってきた。
「まずまずだね。スペード、やるよ」
「分かってます。準備は完璧です」
敵が近づくのを2人はひたすら待った。
完全に射程圏内に入るまで2人は目を閉じて集中し続けた。
そして、あと6mというところまで引きつけて射程圏内になった。
敵が射程圏内になったのでカッと2人同時に目を開けて武器を振った。
「切れろ!〈バジリスクの牙〉」
「逝きなさい!〈デスサイズ〉」
2人してボスモンスターを倒した時にいつの間にか手に入れていた技を発動した。
ライトは〈全集中〉でステータスを上げているので切った相手が消しとんだ。
毒を纏った強力な横切りだから、超酸性の毒で溶かして吹き飛ばした可能性もある。
スペードは察知や回避の裏ステータスを上げているので、寸分の狂いもなく即死の大鎌を当てることに成功した。
これで2人とも幸先よく5キルずつ手に入れた。
イベントはまだ始まったばかり、どこまでライト達が伸びるのか一部のプレイヤーは楽しみにした。




