男の娘の裏世界入り
時間が経って時が来た。
魔王達は自分達のダンジョンでログインして連続プレイをするつもりで裏世界の扉の前に立った。
そこでチャットをしてそれぞれの入り口から裏世界に突入する。
「いってきます」
そうして魔王達による裏世界攻略が始まった。
裏世界の攻略状況は常に運営によって報告されることになっている。
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到着したらみんな同じ場所にいた。
そこは表と違って常に空が暗い森だ。
「ここでなら魔王が結託しても大丈夫そうだ。リーダーにされた以上は僕が責任を持って4日でクリアさせる」
魔王パーティーの前に立ってライトはそう言った。
それからとりあえず互いの今使える魔法を言い合うことになった。
まずはライトからだ。
「先に進む前に魔法を確認しよう。僕は魔法を統合して〈毒の王〉〈猛毒の支配者〉〈炎の王〉〈カゲロウの力〉〈憤怒モード〉〈日の王〉〈陽光の照らし手〉〈焼き尽くす太陽〉とかだね」
聞いてるだけでみんながこの男の娘のヤバさを実感させられて引いた。
魔王なのにわざわざ太陽神になる時点で狂ってるから分かってたことだけど。
でも、使ってる魔法が習得コスト(覚えられる魔法の数を制限するための数字)の高さのせいでだいぶ範囲が制限されている。
この化け物の次は嫉妬の男の娘吸血鬼バレリアだ。
「私が使えるのは〈血の王〉〈コウモリの軍勢〉〈嫉妬モード〉〈嫉妬の狂気〉〈夜の支配者〉〈女帝の強者感〉〈ブラッドストック〉〈吸血鬼の命〉くらいだよ」
バレリアもまたチート級の強者だ。
しかも、吸血鬼の弱点以外で倒れることがないように設定されている。
ここにいるみんなはバレリアの真の強さを知らないが、本気を出せばライト以外には勝てる。
意外と強い吸血鬼の次は自分の体をいじりまくるホムンクルス的な少女メルタナだ。
「私の使用する魔法は〈鉄の王〉〈肉体変化〉〈金属化〉〈記憶の具現〉〈細胞操作〉〈全身完全支配〉〈紅蓮の鋼鉄〉ですね」
この間まで弱かったメルタナだが、しばらく自分を見つめ直して魔王らしくしようと背伸びをしている。
そんな魔王の強さは何もパワーだけじゃない。メルタナの強さはその両手足以外も武器になる手数の多い攻撃にある。
改造少女の次は男の娘フェアリーのグラスだ。
「私が使ってるのは〈花の王〉〈光の王〉〈裁きの光〉〈光速移動〉〈王の花畑〉〈自在なる花達〉〈光の花畑の絶対王者〉だ」
自分の花への愛を貫き通す異常で可憐な花と光の魔王のグラス。
メルタナは髪を傷付けられることを極端に嫌うが、グラスの場合は花を汚されるのが何よりも嫌いだ。
一度でも花畑を荒らせば他の魔王達でも手がつけられない。太陽の力を持つ
ライトとは意外と相性がいい。
花のために生きる妖精の次は六色の悪魔と呼ばれる男ブレイズだ。
「俺が普段使ってるのは〈六色の王〉〈エレメントエンチャント〉〈光速移動〉〈影入り〉〈悪魔の火遊び〉〈癒しの水〉〈雷帝のブーツ〉〈ウィンドカッター〉〈悪魔の目〉〈マグマ無効〉〈高温支配〉だな」
使ってるのはどれもコストはそんなに高くない。
でも、それを使いこなすブレイズが素晴らしいからこそ魔王としてやっていけるのだ。
ブレイズはライトに負けず劣らずの広範囲属性の使い手になっている。
ほぼ万能の悪魔の次は男の娘なのにそう見えない竜帝女の後継者イプシロンだ。
「私様が使うのは〈竜の王〉〈黒い謎物質〉〈黒い支配者〉〈竜の目〉〈竜帝の力〉〈竜帝女の威厳〉だけだ。私様は強いから本気をあまり出さないけどな」
生意気なのに本当に強い二代目竜帝女はどの魔王より一撃に優れている。
高コストの魔法だけで圧倒的な差を相手に見せつけるやばい魔王こそがイプシロンだ。
戦闘狂の竜王の次はケットシーの平和な女性魔王シロップだ。
「私は平和のなのしかありませんけど〈猫の目〉〈売り手の右目〉〈買い手の左目〉〈平和の守護者〉〈触れさせない金庫〉〈商売データバンク〉などですね」
実はリアルでも経営者をしてるシロップがこの中で一番のお姉さんだ。
ライフ側のプレイヤーらしい魔法ばかりだが、この経営者には目利きも出来るからモブキャラだろうが彼女に高値で売りつけることが出来ない。
平和なはずのケットシーの次はアンデッド最強の骨龍をしているチビ男の娘ナツハだ。
「僕は〈死の王〉〈歪む世界〉〈自在な世界〉〈灰化の息〉〈骨召喚〉〈骨龍化〉を使うんだ」
イプシロンの次に一撃がものすごい魔王ナツハはいつかキャラがかぶってるイプと戦いたいと思っている。
どちらもかわいくてクールな性格で勝利に貪欲。本当に似ていて一緒に戦えば負けることはあり得ない。
そんな2人が実は互いにいろんな意味で気になってるのをみんな黙っている。
かわいくて強すぎる骨龍の次は少女の悪魔だった暴食のサラマンダーのホムラだ。
「私が狩りに使ってるのは〈炎の王〉〈暴食の吸収〉〈火食い悪魔〉〈暴食モード〉〈飢餓化〉〈高熱化発火〉燃やして食べるのが私の食事」
異常者の1人で魔王ホムラは食べたい気持ちが感情系と見なされてあの力を得ている。
その強さはたいしたことないが、一度腹を空かせばかっこいい立ち居振る舞いが一変して炎をむさぼる怪物となる。
魔王も敵になれば容赦なく発火させてただの餌と見て残さず食うつもりでいる。
火を糧としてなんでも燃やす大食い女の次は白蛇のプレイヤーキラーとして恐れられるシャータだ。
「私がプレイヤーをバラすのに使ってるのは〈変化の王〉〈オーバームーブ〉〈蛇化〉〈蛇変化〉〈全身支配〉〈伸び縮む体〉〈猛毒生成〉〈時間停止〉これらだ」
プレイヤーを狩るためなら自身の見た目など気にしないモンスターだ。
伸縮自在の腕や足を人間に出来ない動きで自由に操作してアグレッシブに戦う。
蛇三姉妹の中で一番目立たないが実は一番とんでもない力を手に入れている。
故に妹達には一番上の姉としてかなり尊敬されて本気でガチの姉妹のように愛されている。
プレイヤーに容赦ない女殺人魔王の次はその妹で悲しみによって全てを洗い流そうとする女ティアだ。
「私が皆さんのために使うのは〈水の王〉〈悲哀モード〉〈悲哀の水流〉〈水中自由〉〈洗い流す浄化の水〉〈水中の海蛇〉〈水の弾〉とかなのです」
憤怒の炎のライトや吸血鬼のバレリアなどに効果抜群の水の使い手だ。
操ることも泳ぐことも大得意だが、海をリアルで汚すような人間が嫌いで悲痛な叫びがゲームに反映されている。
汚された海を代弁して全てを洗い流そうとしているのがこの魔王の役割に直結している。
まるで海を信仰してるような彼女は『怒らしてはいけないプレイヤーランキング』で堂々の一位にランクインしている。
全てを洗い流す危険な海蛇姫の次は三姉妹の三女にして黒蛇の男の娘ヤミラだ。
「僕が利用してるのは〈檻の王〉〈病みモード〉〈空間の檻〉〈病みの象徴〉〈トラウマ怪奇〉〈切り取られた世界〉〈病むべき者の目〉だよぉ」
魔王の中で一番読めない謎の男の娘だ。
彼は自分の可愛さのせいで親が育て方について喧嘩していたことをよく覚えている。
そのせいで壊れて病んだヤミラは自分に自信があるけど、親を殺したいほどにどうでも良くなっている。
最近は姉達のおかげで不気味な笑みから本当の笑顔に変わりつつある。
リアルでも義姉妹として連絡を取り合っているから、リアルの世界でヤミラが解放される日は近いのかもしれない。
そんな壊れた狂気の王の次は全てを幻覚に包む悪夢の少年二代目メアだ。
「僕はこれらを使う。それは〈夢の王〉〈幻の王〉〈夢幻悪夢〉〈覚めない悪夢〉〈リアルナイトメア〉〈悪夢具現化〉だよ。魔王メアの名の下に悪夢に沈める」
現魔王の中で一番倒せない存在だ。
倒せない理由は一定範囲内に入れば悪夢に閉じ込められて、離れていれば悪夢で攻撃して、攻撃を当てようとすれば幻影を掴まされる。
そこに居てそこに居ない夢、幻の最恐最悪の魔王。
全魔王の中でトップクラスのバランスの良さを誇り、戦闘において無敵と言われ、竜帝女さえこの魔王には手も足も出ない。
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こんな化け物集団の魔法の確認を終えて全員が不気味に笑った。
十三魔王のパーティーが出だしから上々だからだ。
「これなら負けるわけないな。とりあえず、怯える雑魚モンスターを消し去ろうか」
ライトがそう言うとみんなで戦闘態勢に入った。
そうすると周辺の木々の裏から弱そうなモンスター達がたくさん姿を現した。
相手が雑魚だろうと魔王達は肩慣らしのために手を抜かない。
まずはライトが太陽の力を発動する。
「まずは戦場を整えるか。〈焼き尽くす太陽〉で木を破壊」
次の瞬間にライトから光が放たれて木々が発火した。
その火をホムラが目を輝かしてつまみ食いした。
しばらくして悲鳴がしてライトは「あっ」と小さく言って振り返った。
そこには太陽の光で火傷した吸血鬼バレリアがいた。
「ごめん!」
ライトはそう言って魔法を停止させて下がった。
すると、今度はティアが前に出た。
「暑いのは嫌いです。それに、火の海なんてかわいそうなことはせずに、敵ごと森を洗い流してしまいましょう」
そう言い終えた瞬間にティアは〈悲哀モード〉発動からの〈悲哀の水流〉を発動した。
その水はティアを中心にして魔王になるべく当てないようにしながら森を洗い流していった。
その途中でまた悲鳴がしたので振り返ると水流が少し当たってダメージを受けたバレリアがうずくまっている。
「悲しいことです。弱点が多すぎるなんて」
ティアの言う通りだ。
吸血鬼は異様に弱点が多いが、その代わりに他の魔王にも引けを取らない力を持っている。
「まぁ、私の出番はここまでですね。そろそろ嫉妬の時間ですから」
そう言ってティアも下がった。
そして、2人にやられて暴れたがり始めたバレリアが前に出た。
「やられた分は雑魚で発散するよ。強い人達への嫉妬もこいつらにぶつける」
次の瞬間にはモンスター達が狂ったように互いに攻撃を始めた。
その様子に困惑した魔王達だが、振り返って顔を見せたバレリアによって原因がすぐに判明した。
「〈嫉妬モード〉は目を見た魔法発動対象を狂わせて嫉妬させる。近くに自分ない部分を持つものがいればそれを襲う。あー!妬ましい!」
そうやって居るだけで敵を狂わせる赤より赤らしい真紅の瞳を持つ吸血鬼。
暗い世界では陽の光も弱いから吸血鬼が本気を出せる。
その結果がみんなも本気で引く惨状だ。
しばらくしてモンスター達は同士討ちで全滅した。
ライトとティアのお膳立てによってバレリアはここまでの力を発揮できた。
これだけでも魔王達は力を合わせる強さを実感した。




