1部【聖なる山編】 あらすじ
寿司物語 1部【聖なる山編】のあらすじになります。
忘れてしまっている方の為のものなので、しっかりと覚えていますって方は飛ばして読んで頂いても全く問題ありません。
俺の名前は海棠寅次。しがない寿司職人見習いだった俺は、兄弟子である氷雨古廐が放った蔵の火事に巻き込まれて焼け死んだ……はずだったんだ。
だけど、死の直前に師匠・創元から託された古びた包丁が、まさかの規格外アイテムだったことが判明したわけで。
それは神の七包丁の一つ『焔刃』。
包丁に宿る鳳凰ホムラの導きにより、俺は使い魔であるサングラスが似合うトカゲ・グリューンと共に、異世界『エリュハルト』へと転生することになった。
「どんなことになろうとも寿司を握れ」――師匠のその熱い言葉だけを胸に刻んで。
降り立ったのは、魔王軍の呪いによって極寒の地と化した辺境ラベルク。
そこで俺は、魔物に襲われていた聖アルベルト教会の神官フィリナと魔導協会所属のエルフ、エレノールに助けることになる。まさか『焔刃』がこの異世界の女神様シャウザ・ニークの力の宿るキーアイテムだったなんて想像の外だった。
だが、その二人から信じられない常識を耳にする。
『生魚は猛毒』――それがエリュハルトの絶対的な常識だというんだ。
冗談じゃない、俺は寿司職人だ。
女神や師匠の言葉を信じ、俺は焔刃を使って釣り上げた魚を捌いていく。
そこにはなぜか『毒』なんて無くて、初めはフィリナとエレノールも警戒していたのだけど、結局は美味しいとお替りまで求める始末だ。いったいどうなっているんだ。
俺は、この世界で寿司を握りたいという想いに駆られるようにして歩み始める。
フィリナとエレノールと共に、魔王軍に襲われているというラベルク村に向かう。
そこで狼獣人の王国騎士団三番隊隊長ベルガと出会う。
始めは魔王の呪いによって戦意を喪失し、全てに投げやりになっていたベルガ。
女神の言葉に導かれ、俺は焔刃の炎とワラを使ってランガンという魚を炙り、絶品の寿司を握る。飢えと寒さ、そして敵への恐怖で心を折られていたベルガたちにそれを振る舞うと、「美味しい」という声とともに、彼らの凍りついていた心が溶けていった。
自分の握った寿司が、この世界の歪んだ常識を変えられると確信した瞬間だった。
ラベルクに永遠の冬をもたらしていた元凶は、氷の包丁『凍凪』の使い手である魔王軍を従えたヒサメの力だった。
なぜ兄弟子の氷雨が魔王軍に居るのか……
魔王軍がラベルク村に進軍する最中、俺たちはエレノールからの情報に従い『魔力茸』と呼ばれる食材を求めて出発する。このアイテムは自分たちの魔力を極限まで高められるというものだったのだ。一発逆転を信じ、聖なる山へと馬ならぬ山羊を走らせる。
聖なる山の最奥で首尾良く『魔力茸』を手に入れた俺たち四人の前に、ホワイトドラゴンが立ちはだかった。ホワイトドラゴンは凍りの包丁『凍凪』の力により春の精霊と融合させられ、それがこのラベルクの地が春にならない理由だった。
ホワイトドラゴン――エーデルヴァイスの悲痛の叫びに呼応し、光の剣となった神機を駆使しドラゴンと精霊を分かつことに成功する。
茸により最大限に高まった魔力と、凍凪の呪縛より解き放たれたドラゴンの力を借り、俺達四人はエーデルヴァイスの背に乗りラベルク村に舞い戻る。
もちろん俺をこの異世界エリュハルトに転生させるきっかけを作り出した、かつての兄弟子氷雨古廐を討つためだ。
「この世界の歪んだ理は、俺の寿司で握り直す!」
師匠の教えと寿司への情熱を刃に乗せ、焔刃の全力で兄弟子との死闘に挑む。そして見事ヒサメを打ち破り、彼を縛っていた魔王の呪縛を断ち切ることに成功したんだ。
しかし……その場に現れたのは禍々しい魔力を纏う全ての元凶、魔王レイカ。
彼の持つ神の包丁のうちの1本『絶対模倣』の力の前に全く歯が立たず、一人また一人と倒れていく。絶対絶命となったその時、焔刃と凍凪が躍るように融合し魔王レイカを別世界へと飛ばしてしまった。
魔王が居なくなり氷雨は捕えられた。ラベルクの地にはようやく暖かな春の息吹が戻ってきた。しかし俺の中の疑問は解消されないままだ。
なぜ生魚が毒という間違った認識が世界に蔓延しているのか。
魔王レイカの本当の狙いは何だったのか。
師匠がこの世界で本当は何を為したかったのか。
まだ分からないことだらけだ。
だけど、俺は自分の意志でこの世界をもっと知りたいと思い始めていた。
ベルガやフィリナ、エレノールという最高の仲間たちと共に、さらなる食材と真実を求めて、俺はファルナート王国の『王都アイゼルン』へ向けて旅立つ。俺の異世界での本当の修業はここから始まることになる!




