特別篇 第12話 ガールズサイド 結城玲奈
しばらく投稿は無いと言ったな？…あれは嘘だ。
5/9 PM05:30 新川市体育館にて
「やっと着いたな先輩」
「そうだな」
「確か私たちは6時に中に入るのだよな？」
「そうだ…とりあえずロビーには入るとしてあと30分なにして待ってるんだ？」
「体育館にカフェがあった筈だぞ」
な、何を言っているんだ私は…そこで何をするって言うのだ？
「じゃあそこ行くか？」
「せ…先輩は良いのか？」
い…良いのか？
「別にいいぞ？」
えぇ！？先輩…もしかして意外と鈍感なのか？
「そ、そうか…では行くとするか」
「そうだな」
PM5:45 新川市体育館にて
馬鹿だ馬鹿だ私。どうしてこうなってしまったのか全然覚えてないのだが、大丈夫だろうか。
「なんで結城さんはこんな所知ってたんだ？」
「なっ！？…そ、それは…少し前に友達と来たのだ」
うぅ…先輩と一緒にいると何だか調子が狂いそうだ。
「…」
あれ？
「先輩？なんでそんな眼で見るのだ？」
「…いやいや…もうこんな時間か。もうそろそろ入らなきゃ行けないと思うし、とりあえず出るか」
「そうだな」
PM06:00 新川市体育館にて
「…では、説明を開始したいと思います。まず資料の一枚目をご覧下さい…」
うーん…話が長いぞ。あれ？先輩は誰を見ているのだ？もっと私の事を見てくれても…あれ？私今日ちょっとおかしくないか？
「結城さん、あの人が新川南高校のリーダーの萩さんだ」
「あの人がそうなのか」
「確か今は…三年生だったと思うが」
「私の二つ上だな」
「ああ」
「あの人は多分今川さんと同じくらいの実力があるぞ」
あの今川先輩と！？
「うぇ！？そうなのか？」
私が遥か遠くに思える人物に並ぶ人がいるなんて、まだまだ世界は広いものだな。
…確かに私の事を見て欲しいとは言った…かもしれないが…いや、あれは私の気の迷いなのだ。きっと。でも、どうしてそんな目でしか見てくれないのだ…？
5/10 PM04:30 アイドル同好会 部室にて
「じゃあ今から貰ってきた資料の説明をするぞ…ちょっと結城さん手伝ってくれ」
「わ、分かったぞ」
やっぱり昨日から先輩に話掛けられるとドキドキする。うーん…私は一体どうしてしまったのだ…？
「まずは開会式の時間だな。7時半には始まる予定だから、7時には着いていないといけないな」
「ちょっと早いですねっ…」
「最上さん？」
「意外と私お寝坊さんなのでっ…」
「あはは！大丈夫、いざとなったら私が起こしに行ってあげるから」
先輩は今日も皆に優しいな。流石は私の憧れの先輩だ。
「次は、俺たちの出場の時間だな」
「私たちの一回戦の時間は12時45分の予定だな」
「ボクたちの出番まで結構時間が空くんだね」
「とりあえず上に上がって来そうな高校はビデオを撮っておくとして…撮るのは第3試合と第13試合、あと第21試合だな」
「他にもなにかあるの？」
「ああ、この資料全員分貰ってきたからそれ配るぞ。詳細は各自で見てくれ…と。まあこんな所だな。なにか質問はあるか？」
…私も手伝えたら手伝おう。
「いいですか？」
「大友さん、どうした？」
「このトーナメント、勝ち目はあるんですか？」
意外私も気になっていた所なのだ…
「まあ一回戦と二回戦は勝てるだろう。問題は三回戦だ。ここはもう種目によるな。今川さん、勝てそうなのは何の種目だ？」
「わ、私？うーん…ダンスでは多分勝ち目は無いだろうし…複合もいい勝負だろうから、演技とルックスじゃないかな？みんなメイク上手いしね」
複合って言うのは全ての要素を全体的に見る種目のことだ。これの各チームの実力の高さがアイドルコンテストの真骨頂だな。…と先輩が教えてくれたぞ。
「新川南高校に勝った前提で話を進めるのはどうかと思うが…四回戦ははっきり言ってどのチームが上がってくるか分からないな。五回戦は多分月島東高校だな。ここも強いぞ」
「そこに勝ったら決勝だしね。決勝は多分緑川聖高校か東牧高校だね」
「まあ、俺たちに出来るのは目の前の壁を一つ一つ超えて行くことだけだ。超えられなかったら廃部だしな」
「じゃあ今日は波多野君でメイクの練習しようかな？対応力をつける練習にもなるし」
「はぁ！？」
それは楽しそうで良いな。
「じゃあまずは彩希ちゃんやってみてね」
20分後…
何だか先輩が別人のように見えるのだが…
「いいね！…じゃあ次は唯ちゃんお願いね」
さらに20分後…
二人とも上手いな。私なんかじゃ絶対できない。
「やるね…次は玲奈ちゃんお願いね」
いよいよ私の出番だ…上手くできるといいのだが。
さらにさらに20分後…
中々上手くできたと思う。時々手が震えてしまったのは秘密なのだ。
「おお…じゃあ次は綾香ちゃんお願いね」
さらにさらにさらに20分後…
「「「「「おお…」」」」」
もう完璧に先輩じゃない。
「そういえば、なんで最上さんはこんなにメイク上手いんだ？」
「昔からこういうのが私好きでっ…いつの間にかこうなってたんですよねっ！」
「ところで波多野君…この鏡に映っている人は誰？」
「ちょっと流石に酷すぎやしないか？」
「あはは！じゃあ次は私だね」
さらにさらにさらに20分後…
今川先輩もとっても上手い。
「「「「「おお…」」」」」
「先輩もなかなかやるな」
「でもボクたちも負けてないからね！」
今川先輩にも追いつけ追い越せで頑張るのだ！…先輩が少しでもこっちを見てくれるようにする為にも。
急に思いついたので突貫工事で書き上げました。こんな感じの事もやっていきます。
