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外星戦記~異星人に家族を殺された少年は、自衛官になって復讐を誓う~  作者: 無名の凡夫
第3章 九州奪還へ

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第347話 福岡空港戦、開戦

「もう間もなく、福岡空港が見えます」


マメッドはタブレットに表示された地図を確認すると、運転席でハンドルを握っているゴルムへ声を掛けた。


久留米の戦場を離れたアルバトロス班は、旧福岡空港を目指して北上していた。目的は、帝国軍の航空機が空港を利用しているかどうかを確認することだったが、仮に敵の航空拠点となっているのであれば、周辺にも相応の警備部隊が配置されている可能性が高かった。


助手席から前方の様子を確認していたブエンテロは、マメッドの報告を受けると、車両を停止させるよう指示した。


「なら、この辺で降りる。ここからは徒歩移動だ。」


「了解」


ゴルムは短く返事をすると、高機動車を停車させた。


ブエンテロの命令を受け、アルバトロス班の隊員達は車両から降り、それぞれの装備を確認してから徒歩での移動を開始した。


日本側が保有する九州本土の地図は、帝国軍による占領が始まった2000年を最後に更新が止まっている。そこから22年が経過した現在、タブレットに表示されている道路と実際の道路状況が一致しない場所が幾つもあり、そのたびに進路を確認し直さなければならなかった。


無理もない話だった。九州が帝国軍の支配下に置かれて以来、日本側はこの地域の正確な地理情報を収集できずにいた。少なくとも、アルバトロス班が現在進んでいる一帯については、地球人が長らく足を踏み入れていない場所も少なくない。


そのため、地図に頼り切った移動は危険だった。道路が存在していても、帝国軍が利用している可能性があり、逆に地図にはない道が通っていることもある。敵地である以上、進路を誤って警備部隊の正面に出るような事態は避けなければならなかった。


アルバトロス班は周囲を警戒しながら移動を続け、やがて見通しの利く場所へ辿り着いた。そこで隊員達は、周辺の様子がそれまでとは異なっていることに気付いた。


「班長」


クラウスレイが声を抑えてブエンテロを呼んだ。


彼の視線の先には、複数の帝国兵の姿があった。いずれも周辺を警戒しているようで、銃を携えたまま持ち場を移動している。


ブエンテロも同じものを確認していた。


「ああ、歩兵がやたら多い。どうやら当たりのようだ」


これまでの移動中にも帝国兵の姿を見掛けることはあったが、ここまで警備が厚くなっている場所はなかった。


単に市街地を巡回しているだけなら、これほど多くの歩兵を配置する必要はないだろう。しかも、彼らの警戒する方向を考えれば、空港へ近づこうとする者を意識しているようにも見えた。


その時、双眼鏡を覗いていたゴルムが、空港の内部について報告した。


「ちらっとだが、空港内部も見えた。敵さん、中で待ち構えてるとみていい。」


ゴルムが確認できた範囲は限られていたものの、空港の内部にも帝国兵が配置されていることは分かった。


ブエンテロは周囲の地形と敵兵の位置を見比べた。空港の周辺だけでも相当数の敵が確認できる以上、内部にはさらに多くの兵力が控えている可能性がある。偵察を目的として派遣されたアルバトロス班だけで、正面から戦闘を仕掛けるのは無謀だった。


その時、上空から航空機の飛行音が聞こえてきた。


隊員達が視線を向けると、帝国軍の航空機が頭上を通過していくところだった。機体はそのまま空港の方向へ進み、徐々に高度を下げていった。やがて航空機は空港内へ降りていった。


それを見届けたブエンテロは、ビービとの無線通信を開始した。


『アルバトロス01。あんたの読み通りだ。空港に敵がわんさかいるぜ』


久留米で戦闘を続けていたビービは、ブエンテロからの報告を聞くと、旧福岡空港が帝国軍に利用されていることを確信した。


航空機が実際に空港へ降りていったのであれば、単なる通過地点ではない。少なくとも、敵が航空機を受け入れられる状態にしていることは間違いなかった。しかも、周辺には多数の帝国兵が展開しているという。これではアルバトロス班だけで対処できるはずもなく、戦闘を仕掛けるのであれば、相応の戦力が必要だった。


『そう、ならばそっちに援軍が必要ね』


ビービがそう口にした時、近くにいた浪城と目が合った。


彼も無線で交わされた内容を聞いており、ビービが何かを言うより先に、自ら申し出た。


「俺達が行こう。ここは、生野や河内でも問題ない。」


浪城はそう言うと、ビービの返答を待った。


旧福岡空港に帝国軍の航空機が着陸した以上、そこが敵の航空輸送に利用されている可能性は極めて高い。しかも、アルバトロス班の報告によれば、空港周辺には相当数の帝国兵が展開しており、敵の警備が厳重であることもうかがえた。


浪城は、久留米での戦闘を生野や河内に任せ、自らの大隊を空港方面へ向かわせるつもりだった。


そのやり取りを聞いていた第36普通科連隊第1中隊長の八重(やしげ) 豪太(ごうた)三等陸佐が、2人の会話に加わった。


「浪城二佐、我々も同行させてください」


浪城が振り返ると、八重は真剣な表情を浮かべたまま、自らの考えを伝えた。


「空港に相当数の敵兵がいるのであれば、浪城大隊だけでは負担が大きいはずです。我々も戦闘に参加します」


36普連1中隊も、これまでの戦闘で疲労を蓄積させていた。帝国軍との交戦が続く中、隊員達は十分な休息を取れないまま任務を遂行しており、決して余力があるわけではなかった。それでも、敵が航空輸送を行っている可能性を知りながら、自分達だけが後方に留まるつもりはなかった。


八重は、浪城大隊だけで空港へ向かうことの危険性を理解していた。敵の兵力が不明な以上、できるだけ多くの戦力を投入できるようにしておいた方がよいと考えたのである。


浪城が返答しようとしたところで、今度は同連隊の重迫撃砲中隊長である周防(すおう) 凪兎(なぎと)一等陸尉が口を開いた。


「それなら、我々も同行します」


「重迫撃砲中隊もか?」


浪城が尋ねると、周防は迷うことなく頷いた。


「ええ。空港周辺に敵が多数展開しているのであれば、火力支援が必要になるでしょう。我々の迫撃砲も役に立つはずです」


空港周辺で戦闘になった場合、浪城大隊や第1中隊が敵の歩兵と交戦する一方、重迫撃砲中隊は後方から砲撃を加えることで、その行動を支援できる。迫撃砲による支援を受けられる方が有利であることは間違いなかった。


浪城は八重と周防を見比べた。


両名が率いる部隊も、自らの大隊と同様に疲弊している。空港方面へ向かえば、さらに激しい戦闘に巻き込まれる可能性があり、損害が増えることも十分に考えられた。


しかし、2人とも危険を承知したうえで、自ら参加を申し出ている。浪城が同行を求めたわけではなく、空港での戦闘に必要な戦力を考え、それぞれが判断した結果だった。


「分かった。助かる」


浪城が応じると、八重と周防はそれぞれ部下へ移動準備を指示した。


周囲では、隊員達が装備の確認や車両の準備を進め始めていた。久留米での戦闘が終わったわけではないため、出発する部隊と現地に残る部隊との調整も必要だったが、空港方面へ向かうという方針は決まった。


ビービはその様子を見ながら、浪城へ声を掛けた。


「なら、空港の方はお願いするわ。アルバトロス班にも伝えておく」


「任せろ」


浪城は短く答えると、出発の準備を進める隊員達へ目を向けた。


こうして、浪城が率いる第1空挺団第2普通科大隊に加え、第36普通科連隊第1中隊と重迫撃砲中隊が、旧福岡空港へ向かうことになった。


     *


「今、ビービより連絡が来た。浪城大隊と36普連が来るそうだ」


ブエンテロは、無線で受け取った情報をアルバトロス班の隊員へ伝えた。


増援が向かっていると聞き、隊員たちは旧福岡空港での戦闘が現実味を帯びてきたことを察した。


浪城大隊が加わるのであれば、戦力としては心強い。さらに第36普通科連隊の部隊も同行するとなれば、部隊の練度だけでなく、投入できる兵力や火力の面でも期待できる。


しかし、現時点で把握できているのは、空港周辺に多数の帝国兵が展開していることと、航空機が空港内へ降りていったことだけだった。


敵の総兵力は不明であり、どこにどれほどの戦力が配置されているのかも分かっていない。増援が到着したとしても、敵の全容を把握できなければ、戦闘を有利に進められるとは限らなかった。


ブエンテロは、隊員達が早まった行動を取らないよう釘を刺した。


「戦闘は援軍が来てからだ。それまでは、偵察を続けるぞ」


「了解」


隊員達はブエンテロの指示に従い、空港周辺の偵察を再開した。


アルバトロス班は二手に分かれ、それぞれ別の方向から敵の配置を確認することにした。周辺の警備が厳重である以上、一か所に固まって移動するよりも、複数の方向から状況を把握した方がよい。


ただし、敵の存在が確認されている場所へ不用意に近づくことは避けなければならなかった。


アルバトロス班は周囲を警戒しながら移動を続け、空港へ向かう増援のために、少しでも多くの情報を集めようとしていた。


     *


『中隊長殿、敵5匹を確認。市街地周辺を動き回っています。』


旧福岡空港の警備に当たっていたセフィリアーナ・ミーゴ曹長は、周辺を移動している地球側の兵士を発見すると、直ちに中隊長へ報告した。


その最中に発見した5匹の地球人は、周囲の様子を覗いながら移動しており、通常の通行人とは明らかに異なっていた。中隊長からの返答は、すぐに届いた。


『了解した。射線に入れば、撃って良いと命令が出ている。見失うな。お前の分隊で始末するくらいの気持ちでいろ』


『了解しました。』


ミーゴは通信を終えると、部下へ敵の監視を続けるよう指示した。


発見した下等生物が何を目的としているのかは分からなかったが、空港周辺を探るような動きをしている以上、放置するわけにはいかない。中隊長からは、射線に入れば発砲してよいとの命令が出ている。ならば、敵を確実に捉えられる機会が訪れるまで監視を続ける必要があった。


部下達も、分隊で敵を仕留めようと意気込んでいた。各自が銃を構え直し、建物の陰や道路の先へ視線を向けながら、敵の動きを見逃すまいと集中していた。


ミーゴは部下達の様子を確認した後、近くにいた隊員へ尋ねた。


「ビーはあるか?」


「はい、ここに」


問い掛けられた一等兵は、携行していた超小型自爆ドローン「ビー」を取り出し、ミーゴへ見せた。


帝国軍が運用するこの兵器は、小型の機体に爆薬を搭載しており、敵へ接近させて爆発させることで損害を与えることができる。


一等兵は手元の機体を確認しながら、申し訳なさそうに付け加えた。


「しかし、ビーは1機しかありません。」


「構わん。敵の追跡には、この小型が丁度良い。タイミングをみて爆破させれば、奴等も無事ではあるまい。」


ミーゴは、敵を追跡する手段としてビーを利用するつもりだった。


小型の機体であれば、地上からの監視だけでは確認しにくい場所にも接近できる。敵が移動を続けている以上、分隊の視界から外れてしまう可能性もあり、追跡の手段を増やしておくことには意味があった。


ただし、ビーを使用したからといって、直ちに爆破させるつもりはなかった。


「ビーで仕留めるおつもりで?」


一等兵の質問に、ミーゴは首を横に振った。


「いや、保険だ。選択肢は1つでも多い方がいい。我々の目だけなら見逃す危険性もあるからな」


「なるほど、勉強になります」


一等兵は納得したように頷き、ビーの運用準備を進めた。ミーゴは、その様子を見ながら僅かに表情を和らげた。


(この一等兵は勉強熱心だ)


以前から、ミーゴは彼の勤務態度を評価していた。命令に従うだけでなく、疑問に思ったことがあれば積極的に質問し、その答えを自分の知識として吸収しようとする。戦闘に関する経験はまだ十分とは言えないものの、学ぼうとする姿勢は悪くなかった。できることなら、この戦闘を生き残り、将来は幹部として帝国軍を支える存在になってほしいと考えていた。


(もっとも、昇進は遅いがな)


ミーゴは思わず苦笑した。帝国軍において、誠実さや勤勉さだけで昇進できるとは限らない。能力を示す機会に恵まれなければ、どれほど努力しても評価されないことがある。それでも、彼の真面目な性格は、いずれ部下を率いる立場になった時、自分自身だけでなく周囲の者を支える力になるだろう。ミーゴはそう考えていた。


やがてビーが飛び立ち、地球側の兵士たちの追跡を開始した。


機体から送られてくる映像には、周辺を移動する敵の姿が映し出されていた。分隊員達も引き続き監視を行っており、敵がどの方向へ進んでいるのかを確認できていた。


ただし、現在の位置からでは、まだ銃撃を加えられる状況ではない。ビーを爆発させることも可能だったが、敵との距離を考えれば、十分な損害を与えられるとは限らなかった。


ミーゴは映像を確認しながら、耳にしたことのある格言を思い出した。


(備えあれば憂いなし、か)


この星には、そのような言葉があるらしい。かつては、下等生物の言葉など何の役にも立たないと考えていた。しかし、地球で暮らし、地球の文明について学ぶうちに、その認識も少しずつ変わっていた。


確かに、地球の科学技術はグーリエ星のものと比較すれば劣っている。だが、それは地球の文明そのものが低い水準にあることを意味しない。


上官の話によれば、グーリエ星人がこれまでに訪れた星の中には、地球よりも遥かに文明の発達が遅れている場所もあったという。


地球で生まれたグーリエ星人は、そうした星々について歴史の授業で学んでいた。ミーゴは、グーリエ星生まれのグーリエ星育ちであるが、地球人を一方的に見下す帝国軍の考え方に対して、必ずしも全面的に同意しているわけではなかった。


もっとも、それと目の前の敵を排除することは別問題だった。彼らは帝国軍の管理する空港へ接近している敵であり、ミーゴには警備任務を遂行する責任がある。


「分隊長、敵はビーに気付いているでしょうか?」


映像を確認していた部下の1人が尋ねた。


「この映像からでは分からんな。だが、もう少し近づけば、爆破した時に致命傷を負う。」


「では、近づけますね」


「ああ」


ミーゴが許可すると、部下はビーを敵へ接近させようとした。


ところが、機体が距離を詰め始めた直後、映像に異変が生じた。突然、画面いっぱいに閃光が広がり、映像が途切れたのである。


同時に、ビーからの信号も失われた。


機体が爆発したことは明らかだったが、敵との距離はまだ十分に詰まっていなかった。爆発によって飛散した破片の一部は地球側の隊員たちに届いたものの、致命傷を与えられる距離ではなく、大きな損害を与えた様子もなかった。


ミーゴは、突然の事態に眉をひそめた。


「何が起きた?」


最後に送られてきた映像を確認しても、爆発の原因を特定できるようなものは映っていなかった。


少なくとも、ミーゴたちが起爆を命じたわけではない。


追跡に使用していた唯一のビーを失ったことで、分隊は再び地上からの監視だけで敵を追わなければならなくなった。


ミーゴは途切れた映像を見つめながら、敵の動きを見失わないよう部下たちへ注意を向けた。


     *


帝国軍の小型ドローンが自分達を追跡していることには、アルバトロス班も気付いていた。


その機体が自爆型であることは、これまでの調査で判明しており、爆発による被害が及ぶ範囲も把握している。そのため、隊員達は危険な距離まで接近されないよう注意しながら、あえて気付いていないふりを続けていた。


「班長、あのドローンですが、いつまでも射程圏外にいるのは無理がありますよ」


マメッドがブエンテロへ進言した。


彼はレンジャー訓練中に同型のドローンと遭遇した経験があり、その際、仲間の1人が爆発に巻き込まれて負傷し、訓練を続けられなくなったことを覚えていた。その仲間が後にレンジャーになれたのかは分からないが、マメッドにとって、この兵器は嫌な記憶を呼び起こすものだった。


「分かってる。おい、ソブラウ。お前、あいつを撃て。爆薬がどこに詰っているかは分かるな?」


ブエンテロの指示を受けたソブラウは、追跡してくるドローンの動きを確認した。先程まで一定の距離を保っていた機体が、徐々に速度を上げて接近している。


「了解です。もう撃っていいですか? 何か速度を上げてますよ?」


「お前の判断に任す。味方を巻き込むな」


「大丈夫ですよ。班長じゃないんですから」


「お前、いつか覚悟しておけよ?」


ソブラウはブエンテロの言葉を聞き流し、拳銃を抜いた。


小銃を構えれば、ドローンを通して監視している帝国兵に攻撃の意図を悟られる可能性がある。そこで彼は、拳銃を使って機体の爆薬が収められた部分を狙うことにした。


(神経を研ぎ澄ませば、ドローンを見なくても撃てる。当てれる。)


GAST隊員の多くには、5感や身体能力が通常の人間を大きく上回る不思議な力が備わっていた。その発現理由も正体も解明されていないが、グーリエ星人との戦闘で大きな助けとなっていることは確かだった。


ソブラウはドローンの飛行音へ意識を集中させ、機体の動きを捉えた。


「右」


クラウスレイが位置を伝えた瞬間、ソブラウは目を見開き、拳銃を首元の高さまで引き上げて発砲した。


銃声に続いて激しい爆発音が響き、ドローンは空中で砕け散った。飛散した破片の一部が隊員達に当たったものの、大きな負傷には至らなかった。


しかし、爆発音によって敵に位置を知られた可能性がある。アルバトロス班は増援の到着まで戦闘を避けるつもりだったが、すでにその方針を維持するのは難しくなっていた。


「3時の方向より敵!」


右方向に帝国兵の姿を確認したクラウスレイが警告した。


ブエンテロは敵の位置を確かめると、接近してくる部隊に包囲される前に突破することを決めた。


「一点突破だ、行くぞ!」


隊員達が前進しようとした時、頭上を榴弾が通過した。


「あれは…」


マメッドが声を漏らした直後、前方で激しい爆発が起こり、接近していた帝国兵が身を伏せた。


その直後、無線が入った。


『ブエンテロ班長、我々が到着するまで戦闘は回避するんじゃなかったのですか?』


通信の相手は、36普通連重迫撃砲中隊長の周防(すおう) 凪兎(なぎと)一等陸尉だった。


周防の中隊は空港周辺に射撃陣地を設け、アルバトロス班に接近する帝国兵の動きを抑えるため、援護射撃を実施したのである。


『周防一尉、すまん。そうも言ってられなくなった。』


ブエンテロは苦笑しながら答えた。


ドローンを放置すれば自爆攻撃を受ける危険があった以上、撃破するしかなかった。もっとも、結果として敵との交戦を招いたことは否定できない。


一方、浪城大隊はアルバトロス班とは別の方向から空港へ接近し、すでに塀を越えて敷地内への潜入を開始していた。


浪城は部下の状況を確認すると、ブエンテロへ無線を繋いだ。


『おい、ブエンテロ、俺達はもう空港の中だ。お前も早く来い』


『さすが、浪城二佐…』


ブエンテロは感心したように呟いたが、すぐに表情を引き締めた。


周防の砲撃によって敵の動きは一時的に鈍っているものの、完全に排除できたわけではない。浪城大隊がすでに空港内部へ入っている以上、自分達も目の前の敵を突破して合流を急ぐ必要があった。


ブエンテロは前方の帝国兵を見据え、部下達へ指示を出した。


「まずは、あいつ等を倒す。」


「了解!」

登場人物紹介

ブエンテロ……GASTアルバトロス班の班長

ソブラウ……GASTアルバトロス班の隊員

マメッド……GASTアルバトロス班の隊員

浪城(なみしろ) 激(げき)……第1空挺団第2普通科大隊長

八重(やしげ) 豪太(ごうた)……第36普通科連隊第1中隊長

周防(すおう) 凪兎(なぎと)……第36普通科連隊重迫撃砲中隊長

セフィリアーナ・ミーゴ……陸軍曹長で、福岡市街地警備連隊・第5中隊所属で分隊長の1人


当物語に出てくる架空の装備

自爆型ドローン・ビー……帝国産の自爆型ドローン。小型なので、偵察用に使っている部隊もある。

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ミリタリー SF ファンタジー 自衛隊 戦争
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