97話「卒業式」
卒業式当日。
私はとても緊張していた。
役割が何もなければ、こんなに緊張することはなかったと思うが、卒業証書をクラス代表として受け取り、退場の際は最後に一礼をして体育館を出なければならない。
周りに心臓の音が聞こえているのではと思うくらいドキドキしていた。
「じゃあ、花配るぞー」
胸ポケットに付ける、花を先生が配り皆つける。
傾むいていないか、友達と確認し合った。
そして、いよいよ…
「卒業生入場」
先生の合図と共に、体育館の扉が開き、1組から順番に入場していく。
そして、私たち3組の番。
私は1番後ろだ。ドキドキしながら順番を待つ。
私は胸を張り前を向いて体育館を歩いた。
両親を探してみたが、見つからなかった。
全クラスが、入場し終わり卒業式が始まった。
最初は、校長先生や役員の方々の挨拶だった。
正直、話が長いので苦手だ。早く終わって欲しいと思う気持ちと、卒業証書を受け取らなければならない、ドキドキする気持ちがあった。
長い挨拶が終わり、卒業証書の時間となった。
「3年1組」
1人ずつ名前が呼ばれていく。
「3年2組」
これが終わったら、自分の番。
「3年3組」
私たちのクラスだ。
一人一人名前が呼ばれていく。
「神崎 怜奈」
「はい」
1人だけ離れた場所で立つため余計緊張する。
そして全員の名前が呼ばれ終わった。
「代表、神崎怜奈」
「はい」
私は手と足が一緒にならないように歩く。
先生方、役員の方々に一礼をし、壇上に上がった。
クラス代表の人は、名前と、誕生日を読み上げられる。立っている間、ドキドキしすぎて内容が頭に入ってこなかった。
「おめでとう」
校長先生から卒業証書を受け取り、壇上を下りる。
その時初めて体育館全体を見た。
生徒、先生、御家族の方たちで埋まっている。その皆の視線が私にある。
卒業証書を決められた場所に置き自分の席に戻った。
その時、隣の男子に、
「お疲れ」
と小声で言われた。
「ありがと」
と、私も小声で言った。
「3年4組」
あと1組。
「3年5組」
全クラス終わった。
この後は、校歌斉唱と仰げば尊しを歌い、退場するだけだ。
歌を歌い終わった。
「卒業生退場」
吹奏楽部の演奏が始まる。
曲は旅立ちの日にだった。
私たちは担任の先生にサプライズを用意していた。
「1組起立」
せーの、とクラスの会長が言うと、
「今までお世話になりました!」
と全員で言った。
「退場」
卒業式が始まる前、クラス代表として壇上に上がる生徒が、クラスの皆に
「最後、退場する時担任の先生に一言言おうってなったので、何を言うか考えて欲しいです」
「いいやん、サプライズ?」
「うん。最後だしこれ今年初だよ、するの」
「いいねー、何にする?」
そして、皆で考えた。
「2組起立」
「先生の授業好きでした!」
「退場」
こんなこと言われると思っていない先生は、ビックリしたあと、涙を流しそれを見た生徒がもらい泣きする。
「3組起立」
「面白くて、優しい先生が大好きです!」
「退場」
先生は泣き笑いながら俺もやぞ。と言った。
私は最後に出るため、1度後ろに下がる。
皆が行ったあとを私はついていく。
最後、皆が出終わり私は回れ右をして、一礼をし体育館を後にした。
ちなみに、4組は
「いつまでも元気でいてください」
5組は
「結婚おめでとうございます!」
だった。
最後の終礼で、先生と一言話し教室を出た。
私は、両親を見つけ、
「この後部活の集まりあるしその後優大と帰るから先に帰ってて。それで、ごめんやけどこれ持って帰ってほしい」
「うん、分かったよ」
「あと、最後に写真1枚撮ってもいい?」
「いいよ」
近くに遥がいたため、写真を撮ってもらった。
その後視聴覚室に向かった。
後輩たちに写真と、メッセージカードを貰い皆で写真を撮った。
後輩の上出くんが、
「先輩、おめでとうございます。これ良かったら」
と、ジュースを1本くれた。
「ありがとう」
周りを見渡すと、誰も貰っていないようだった。
すると、上出くんが
「クラス代表お疲れ様でしたということで」
「あ、そうなんやね笑ありがと。これから頑張ってね」
「はい、神崎さんも」
玄関を出ると、優大が待っていた。
「怜奈、ちょっと写真撮ってもらっていいけ?」
「うん、いいよー」
後輩たちと、一緒に撮りたかったらしい。
「いくよー、はいチーズ」
撮り終わった時、聖司が
「神崎、最後に写真一緒に撮ってもらってもいい?」
「え、うち?」
「うん」
「いいんじゃない?」
と、優大に言われたので撮ることにした。
「ありがとう、前にも言った通り優大に泣かされたら俺が貰うからな」
「だからやらんて笑」
「お前らも写真撮れば?撮ってやるし」
「じゃあ、頼む」
普段なら、あまり写真を撮りたがらない優大が、撮ると言ったのには驚いた。
「もっと近寄って」
私は最後だし、と思い優大と腕を組んだ。
「びっくりした笑」
「最後やし、いいやん?笑」
「まぁ、いいけど。あーあバレた」
「はい、チーズ」
写真を撮ってもらっている間、周りから
「優大彼女おったんか!」
とか、
「俺神崎好きやったんになぁ…」
とか、
「なんとなくそう思っとった」
など聞こえてきた。
「ありがとな、じゃあ俺ら帰るわ」
「おぅ、またな」
優大とは遠距離になってしまうけど、これから色々頑張ろうと思う。
これから私たちは自分の道を歩んでいく。
〜END〜




