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初恋  作者: rein
第3章〜高校3年生〜
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87話「マラソン大会当日」

「おはよう。今日は頑張れよ」


朝礼を済ませ、各自自転車等でマラソン大会の実施場所へ向かう。


そこは自転車で5分ほどで着くところだ。


みんなが揃った所で開会式が始まった。


「とうとう来ちゃったね」


「だね、まだ曇りなのが幸い」


「確かに。これで快晴やったら地獄だよ」


開会式が終わり、準備体操をしていよいよ始まる。


まずは女子。大体ゴールした所で男子が始まる。


授業でタイムを測るのだが、それで早かった50位までの人達はほかの人たちより少し前からのスタートとなる。


私は35位くらいだったので前からスタートだ。


スタート地点に向かっている途中でふと横を見ると優大がいた。


優大もこちらに気づいたみたいで、口パクで


『頑張れ』


と、言ってくれた。


「よーい、スタート!」


先生の合図と共に始まる。


コースの中であればどこで見てもいいというルールのため、色んなところに男子がいる。


「ちょっと見られとると恥ずかしいね」


「やね」


私は授業と同様、美鈴と走っていた。


1周目がもう少しで終わる。ということはあの花道が…


「うわー、やっぱここ多いね、男子」


「本当に。これならまだ公園とかにいてくれた方がましだよー」


集会か!というくらい男子が集まり花道を通る女子を見ている。


私と美鈴は少し下を向いてそこを通り抜けた。


久々にこんなに走るせいか、少し脚が痛くなってきた。


ちょっと走り方を変えてみようと意識したその時、


「いった…」


「怜奈、どうした??」


「ちょっと吊ったみたい(汗)」


「え、大丈夫?」


「大丈夫、大丈夫」


少しだけ違和感があったが、全然走れる程度だったのでそのまま走り続けた。


が、どんどん痛みが増していっている。


「怜奈、大丈夫?ちょっと顔色悪いよ?」


「んー、なかなか脚の違和感が消えなくてさ。ちょっとスピード緩めるから美鈴先行ってて」


「本当に大丈夫?」


「大丈夫だよ、あと半分でゴールだし」


「分かった、じゃあ行ってるよ?」


このまま美鈴と走っていたら迷惑をかけてしまう。そう思った私は少し平気な振りをして美鈴を先に行かせた。だが、全然平気ではない。


さっきまで片足だけだったのに、今では両足吊っている。やばい…とは思いつつもここでやめたくくない。そう思った。


ゴールまでもう少しという時、美鈴はゴールしていた。


「先生!」


ゴール付近にいた体育の先生と保健室の先生に私がどういう状態かを話していた。


「それはちょっとやばいな…どのくらいで別れたんや?」


「あと半分って所だったので、あともう少しだと思うんですけど…」


「でもその状態やったらもう少しかかりそうやな」


「とりあえずブルーシートここに敷いておいて…神崎さんタオル持ってきてた?」


「はい、持ってきてました。」


「じゃあそれ持ってきてもらってもいい?」


「はい!」



花道の入口が見えた。あと少し。


だけど私の脚は悲鳴をあげている。


とりあえず慌てないように、と深呼吸をした。


「あ、来た」


私は花道に入り、ゴール付近にいた美鈴を見つけた。


そして私はゴールした。と同時に脚の力が抜けた。いや、ゴールした安心感と共に、激痛が走り倒れ込んだのだ。


「先生、とりあえずここに」


周りはどうしたんだ?とざわついている。


「神崎さん、大丈夫?ちょっと痛いかもしれんけど脚伸ばすよ?」


私は美鈴からタオルを受け取り顔に当てた。


こんな顔誰にも見られたくなかった。



しばらくして、痛みが引いてきた。


「これ飲んで。脱水症状起こすといけないから」


「ありがとうございます。」


「先生、神崎さん車で学校までつれていけますか?」


「はい、大丈夫です。じゃあ行こっか?」


私は保健室の先生と先に学校へ戻った。



男子の部も終わり、みんなが続々と学校に帰ってきた。


私は保健室を出て教室へ向かった。


終礼をし、解散となる。


私は先生にお礼を言い、先生が乗って帰ってきてくれた自転車へとまたがった。


「怜奈、待って」


後ろから優大に呼び止められた。


「脚、大丈夫か?」


「うん、今は大丈夫。もしかして見てた?」


「まぁ、暑いはずなのに顔真っ青やしどうしてんろ?って思ったら倒れ込むし周りざわついとるしで心配やった」


「ごめん、脚吊っちゃって」


「そっか。大変やったな。お疲れ様」


「お疲れ様は優大もだよ。見られなかったのが残念」


「見られなくて良かったわ笑じゃあまぁ帰るか」


「うん。」


優大は何も言わなかったが、いつもなら自転車を漕ぐのが速いのに、今日は私に合わせてくれて遅かった。


「じゃあ、ありがと。また来週学校でね」


「おぅ」


そういったものの、全然会えなかった…

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