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初恋  作者: rein
第3章〜高校3年生〜
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61話「心配と告白」

来週の日曜日にパソコンの検定がある。

1級で、10分間で700文字打たなければならない。


私はひたすら練習していた。だけど焦ってまだ650ほどにしか達していない。


私は焦っていた。検定には受かりたい。でもあと50文字足りない。


焦りもあってか体調があまり良くなかった。



検定1日前。ようやく700文字に到達することが出来た。


『明日検定やんな?頑張れよ』


優大からのLINEだ。


『ありがと、頑張るね』


その一言で少し勇気が出た。


そして翌日。いよいよだ。


私は集合時間より早めに行き練習をしていた。


「神崎早いなー」


「家のばっかでしとったからやばいげん。」


「落ち着いてやれば大丈夫や」


そして本番。私以外受ける人は皆ワープロ部だった。


「開始!」


いよいよだ。私は紙に書いてある通り打ち始めた。


だけど周りの打つスピードが早く、音が気になって仕方がない。


あと3分の時点でようやく580。


焦り出していた。不安な気持ちが抑えきれない。


あと1分。その時点で私とあと2人しか打っていなかった。


残り30秒の時点で私一人だけ。


「終了!」


終わった。文字数は…


恐る恐る確認すると、650


合格数に届かなかった。合格発表は、一週間後。だけど早打ちはもう今の時点で結果が分かっている。


私は帰り支度をして自転車小屋に向かった。


自転車に乗って走り出すと、悔し涙が溢れ出す。

泣きながら漕いだ。


「怜奈」


ふと名前を呼ばれ止まる。声がした方をみると、そこには優大がいた。


「お疲れ、どうやった?」


「まぁまぁかな。」


私は不合格のことは言わなかった。


「今日暑いな、ちょっと家寄ってかんか?」


そう言われたが泣くのを我慢していたので一刻も早くこの場を離れたかった。


「ごめん、今日はちょっと疲れちゃって」


「そっか、そうやよな。ごめんな。気をつけて帰れよ」


申し訳なく思ったがその場を私は後にした。


しかし少し走ると、吐き気と頭痛に襲われた。


私は自転車から降りて座り込んだ。


こんな時に症状出んといてよ…


私は苦しいのを我慢しようとしたが全然治まる気配がない。

下を向いてうずくまっていると、誰かが近づいてきた。


「怜奈!」


優大かな?そう思った。でも足音はもう1つあった。


「ちょっと家連れてこ。自転車車に乗っけて」


女の人の声だ。でも誰かは分からなかった。


私は車に揺られ、家の中に運ばれた。


少し落ち着いてきて、目を開けるとそこは優大の家だった。


「怜奈ちゃん大丈夫?」


さっきの声の主は優大のお母さんだった。


話を聞く限り、お母さんと優大は買い物に行こうと、車に乗って走っていた。でも道端でうずくまっている人がいたので車を停めた。


後ろ姿と自転車で優大が私と判断して急いで駆け寄ってきてくれたみたいだった。


「怜奈大丈夫か?」


水を渡しながらそう聞いていた。


「うん、ごめん。大丈夫。」


「お前さ、何か隠しとることないか?」


私はこれだけ心配かけて黙っていることは出来なかった。


「あのさ、自律神経失調症って知っとる?」


「名前は聞いたことある」


「ストレスとかで頭痛くなったり吐き気がしたり目眩起こしたりっていうのねんけど、それみたいで。」


「何でずっと黙っとったん?」


「変な心配かけたくなかったし、まだこれって確定してなかったから。」


「やからってちゃんと言ってや。ずっと我慢して隠しとったら助けてやれるもんも助けれんて」


「そうよ、辛い時は辛いって言わんなん」


「ごめんなさい」


やっぱり隠さずに言うんだった。私は後悔した。


「でも何でこの病気かもって思ったん?」


「1年の時同じ症状起きてんけど、医者に原因不明やって言われてさ。でもその時は一週間くらいで治ってんけどね」


「2年の時にまた同じようなんなって、その時携帯で調べたらこの病名出てきて、病院言ってこれじゃないか?って言ったら、そうかもしれんって」


「それで今回もそれって思ったんか」


「うん」


「今度からは頼むから何でも良いからちゃんと言って?」


「分かった、ごめんね」


私はその後少し休ませて貰ってから家に帰った。

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