44話「プレゼント」
『怜奈に渡したいものあるんやけど、今日の午後家行ってもいい?』
突然すぎてびっくりした
『うん、大丈夫やけど』
『なら、よかった。じゃあまた部活で』
家に来ないか?って言われることはいくつかあった。
だけど家に行ってもいいかなんて言われたことがなかった。
「掃除しなきゃ…」
私は自分の部屋を片付け始めた。
勉強とかで机の上は教材だらけ。
今日の午後に優大が来る。だけどあと1時間後には
部活に行かなきゃいけない。急いでやらないと間に合わない。だけど掃除は丁寧にやりたい…
私は今は散らかっている部屋を片付けて、部活から帰ってきたらモップがけをしようと思った。
「怜奈ちょっと遅かったじ?」
「ちょっと掃除してて」
「この後何かあるん?」
「えっとですね…午後から急に優大が家に来ると言ってきまして」
私は少し照れながら言った。
「まじで!?ラブラブやな〜」
「いきなりすぎてさ。部屋散らかり放題やったしw」
「じゃあ今日は早く帰らないとね」
私は部活が終わったあと、急いで帰った。
家に帰ると親はいなかった。2人とも仕事だ。
何か手軽に食べられるものはないか探していると、パンが見つかった。
私は行儀悪かったがパンを食べながら、掃除を始めた。
ようやく掃除が終わった。
『いつ来てもらっても大丈夫だよ』
『了解。今から向かう』
連絡を貰って、私は最終確認をした。
小さなホコリを見つけてはゴミ箱に捨てるという
作業を何度も繰り返した。
何かしていないと落ち着かなかった。
『家の近くまで来たけど、どれやったっけw』
『前出るわ』
家の前に行くと優大がさまよっていた。
私の姿を見つけるとすグに駆け寄ってきた。
「ここ何回も来とるけど本当分かりにくいな」
「つい先日ちゃんと家まで来れたのに?」
「たまたまやw」
「まぁ、どうぞ上がって」
親がいなかったせいか、優大はあまり緊張していない様子だった。
「親は?」
「仕事」
「そうなんや」
少し沈黙したあと
「そうそう、渡したいものなんやけど」
すっかり忘れていた。私の方が緊張しているのかもしれない。
「何?」
これ…そう言って差し出してきた。
私は袋の中を覗き込んだ。中に入っていたのは服だった。
「これどうしたん?」
「おかんがさ、この前怜奈見た時スタイルいい子やなって言っててさ。そんでこれ似合わんかなって。今じゃもう着れんし、捨てるのも勿体ないって」
「そう言えって言われたん?」
私がそう思ったのは服を見たからだ。
この服は最近出て、モデルさんが着ている高校生向けの服だ。これが前々からあるとは思えなかった。
「やっぱバレるよな〜」
「当たり前じゃん。だってこれ先月出たばっかだよ?」
「そうなん?服については知らんからさ」
「でも何か悪いよ。」
「返さんといてや。困る」
そう言われて私は考えた。
「じゃあ何かお礼させてよ。お母さん今仕事?」
「いや、家におるはずやけど?」
私は優大に今電話出来ないか聞いた。
多分大丈夫だろうと優大は電話を掛け始めた。
『もしもし?おかん?今渡したんやけど、バレバレやったぞwうん。先月出たばっかの服なんやってさ。そんで怜奈が話したいことあるらしいんやけど、今大丈夫?』
「大丈夫やってさ」
そう言って私に携帯を差し出した。
『もしもし。こんにちは』
『優大の母です。いつも優大がお世話になってます』
『いえいえ、こちらこそ。服ありがとうございました。』
『気に入ってもらえました?』
『はい、とても。可愛かったです。あの、何かお礼させて貰えないでしょうか?』
『そんなお礼なんて…あ、ちょっと優大にかわってもらえる?』
そう言われたので優大に電話を返した。
何を話しているのかは分からなかったが、どうしたらいいのかを話し合っているのだろうと思った。
少し話して、電話を切った様子だった。
「何かお菓子作ってくれやって」
「そんなんでいいの?」
「怜奈が作ったもの食べたいんやってさ」
「お母さん何好きなん?」
「コーヒーのパウンドケーキ1本ご希望だそうです」
「任せてください」
いつがいいかを聞くと、もう少しで誕生日なんだそうだ。その時にサプライズとして作って持ってきてくれないかと言われた。その日は丁度部活も休みだったので、その前日に作って、当日に持っていくことにした。
「優大にも何か作りましょうか?」
「俺か〜いや、今は大丈夫。バレンタイン楽しみにしとくわ」
「分かった」
その日は楽しく話してお別れした。




