満開
「カルミアくん!!」
まっっっずい、カルミアくんがリンドウの蹴りをモロに食らって気を失って倒れた。
あの速さじゃ逃げてもすぐ追いつかれる。かといって正面からやり合っても勝てるとは思えない。
「次はお前だ…!」
リンドウのギラついた目が僕を捉える。こうなったらもう覚悟を決めて立ち向かうしかない。
全速力の飛び蹴りをお見舞いしようと空を踏みしめた時だった。
急にカルミアくんの体が光って起き上がった。
なにが起きてるのかわからない、けどひょっとしたらチャンスかも...?
「カルミアく...ん...」
呼びかけようとした言葉はここで途切れた。
リンドウも僕の声で異常に気づいたようで、振り返ってカルミアくんの方を見る、けどそこにいたのはいつものカルミアくんじゃなかった。
具体的にこう、とはいえないけど何か雰囲気が違う気がする。いつもの優しい感じじゃなくて、禍々しくて、怖い感じだ。なんか宙に浮いてるし。
なにかぼそぼそ呟いている気がしたけど、僕には聞き取ることができなかった。
◇
何だ?何が起きてやがる。確実にダウンさせたはずのカルミアが起き上がった上に何かしようとしている。このままではまずい、と本能が訴えかけてくるのがわかる。
「やらせねぇ...よッ!!」
翼と跳躍の勢いを乗せた本気の飛び蹴りを放つ。これで確実に止める...!
しかし。
「のわぁぁ!?」
軽く躱され、逆に足を掴まれて投げ返された。
こいつ、こんな化け物じみたフィジカルじゃなかっただろ!?
間一髪で受け身を取り着地。参ったなこりゃ、一人じゃ厳しいかもしれねぇな。
「おいガウラ!あいつ止めるぞ!」
「でも!」
「でもじゃねぇ!このままじゃこの島もあいつもロクなことにならねぇぞ!」
「......わかった!」
カルミアはまだブツブツ何かを呟いている。何を言っているのかは聞き取れないが、あの構えは魔法を撃つつもりだろうか。身体能力がアレなんだ、魔法もおそらく比じゃないほど強化されているはず。いや待て、魔法の構えならあれはまさか。だとしたら相当まずいことになるぞコレ。
「「咲き誇れ!徒花!」」
カルミアのはっきりと、強い声が響くと同時にカッ、と強い光が視界を奪う。
ガウラの驚いた声が聞こえる。あいつはきっと何が起きているかわかっていない。
「クソ、手遅れだったか...!」
幸いすぐ光は弱まり、視界が回復してきた。しかし。
「手遅れって何だ...よ...?」
ガウラもようやくこの状況のヤバさに気付いたらしい。
眼の前に広がるのは一面の花畑、ではなく普段よりギラついた光を纏った花の盾。防御力だけじゃなく攻撃力も桁が違うのがわかる。対処を間違えればおそらく死ぬだろうな。そして何より数が多すぎる。普段でさえ強く、その上分裂して手数も増やせるのに今回は...何枚だ?数えるのもめんどくせぇくらいの量だ。
絶体絶命の状況。だが。
「面白ぇ...!」
覚醒だか暴走だか知らねぇが、もう一回眠らせやるよ。
ギリ失踪回避
まだ読んでくれているあなたに感謝。




