頼ってしまう彼は
もし、谷山と違う出会い方をしていたらこんな風にならなかった。いつも助けてくれる、救ってくれるからすぐに頼ってしまう。ダメだって分かってるのに。
「にしても寒いな。こんな時間でも風が強いし」
「そうだね…」
谷山なら私が苦しんでるのも分かると思って部活を一緒に早退した。甘え過ぎてる。でも、先輩からの目には耐えられなかった。
「さっき、先輩と話したんだよ。気をつけた方がいい」
「男子からでも分かるの?」
「分かるよ。笹原のこと女子としてみてたけど明らかにおかしい」
「そっか」
部活、辞めたいな。でも、照明を触れないのは嫌だ。こんなにも真剣に関われたのは初めてだった。だから、卒業するまで関わっていたい。
「彼氏とか作らないのか?」
「無理だよ。こんなに男子嫌いが激しいのに」
「作ったら先輩、諦めるんじゃないのかなって」
「相手がいない」
クラスでも男子とは滅多に話さないし、向こうからも話しかけてこない。友達に話しかける男子はいるけどね。多分、話しかけるなみたいなオーラが出てるんじゃないかな?
「…俺との噂が先輩の耳に入ったら」
「え?何か言った?風強くて」
「いや、いい。とにかく気をつけろよ。お前、自分のことを男子みたいに考えるところがあるから」
否定できない。男子嫌いのくせに男子のように振る舞う時がある。きっと「女子だから」っていう言い訳が嫌いなんだ。荷物とか運ぶ時もそういう扱いをされるのが癪にさわる。
「わかった」
「あんまり助けられなくてごめんな」
「ううん、話を聞いてくれるだけでいい。すごく救われる」
このまま抱え込んでいたらどうなっていたのだろうか。きっと私の胃は崩壊し部活に行けなくなってただろう。そして、誰になにを聞かれても答えられずに黙った。
「笹原はすぐ溜め込むから。いつでも話は聞く」
「ごめん…」
「気にすんな」
「…谷山に彼女が出来たら」
「え?」
「ううん、なんでもない。鼻血、大丈夫?」
「ん?あーうん。もう止まってる」
「気をつけなよ?」
さっき、立花からラインがきてた。その内容は谷山が先輩と話してたということだった。まあ、知ってるけど。その後に谷山はボールに当たったらしい。いつもしっかりしてるから、そんなことありえない。先輩に何か言われたのかな?でも、谷山にとって先輩から何か言われてもなんともないのでは?
「笹原、あんまんと肉まんどっちがいい?」
「ピザまんがいい」
「おし、あんまんな。送ってくれたお礼に買ってやるよ」
「え、だからピザまん」
「ちょっと待ってろ」
あんまんはこの間おごってもらったばっかりなのに。しかも私、ごまあんまんの方が好きなのにな。ここのコンビニのはあんこなんだもん。
「ほいよ」
「ありがとう…」
「ピザまんでよかったんだろ?」
「うん!」
やっぱり谷山は優しい。




