神の国とはいかなる国か
しくじった、我ながら不甲斐ない。あんな色ボケ阿呆王子の計略に嵌められるなんて。そんな事を今更思っても仕方のない事。頭の中のお花が溢れたみたいなピンク頭の似非令嬢を侮っていた私の失策。あの似非令嬢は母親譲りの演技力でもって、私に殺人未遂という罪をでっちあげた。全く忌々しい。
本来なら家格の序列でどうにでもなるはずが、無駄に頭を回した阿呆王子がタイミングを図ったらしく、事が起きた次の日に処刑なんてバカバカしい日程が組まれた。まぁ、おかげで何より頼りになるお守りを身に着けたまま処刑場に入れた訳だけど。
けれどこのお守り、どんな作用なのかしら?作った人の魔術や魔道具開発の腕前を思えば、身の安全の確保だけは信じられるのだけれど。
処刑場で、彼を見つけた次の瞬間温かな光に包まれました。一瞬の浮遊感が止むと、身を包む温かさが不快なネットリした暑さに変わっています。
目を開ければ、まばらに置かれたテーブルで寛ぐ人々がいて、右手には信じられないくらい大きな建物が建っていて、その大きな建物の壁には屋号なのか丸と縦棒が交互に並んでいます。正面には大きな黒い建物、右には城の様なベージュの建物が建っています。
足元に目を落とせばタイルを敷き詰めた様な模様ですが、タイルにしては光沢がなく、そして敷き詰めた隙間も凹凸もないとても整えられた地面なのです。周囲には拡散の魔法を使ったかのような人の声が響き、遠くから、ガタガタという聞き覚えのない音も聞こえて来ます。
行き交う人々は、質の良い布なのに簡素な服を纏う人が多いです。ギョッとするほど大胆な、露出の多い下着のような服の方もおられます。どなたもあの服装は気にならないのでしょうか?
あの時彼が唱えていた呪文がこの現象を起こしたのならば、ここは神の国という事でしょうか?神様というのはこんなに大勢いるのでしょうか?そしてこんなに個性的な方々ばかりなのでしょうか?わたくしは主神にしか祈ったことありませんが、他の神様方はどの様にお思いなのでしょう。
「エレオノーラ・ヴァレリアだね?」
名を呼ばれて振り向くと少し見上げるくらいの背の高さで、ほっそりとした黒い方が立っていました。いえ、この方自身は色白ですわね。黒い上着に黒いズボン、髪も瞳も黒いので黒い印象になってしまいますが、周りの神様方と比べてもかなり色白です。
じっと顔を見つめてしまいましたが、神様の顔をマジマジと見るなど、わたくしはなんと失礼な事をしているのでしょう。
「はい、エレオノーラ・ヴァレリアにございます。このたびは……」
「あー、待って待って。もしかしなくても、状況掴めてない?」
私の正面に立った黒髪で細身の男性は私が跪こうとするのを手で留めると空を見上げてからため息を吐きました。
「僕の上司から説明聞いてない?」
「上司というのは?わたくしが気付いた時にはここに立っておりました」
私の返答に額に手を当てて、眉を下げました。私に声をかけて下さったという事は、目の前の男性は事情が分かっておられるのでしょう。事情を分かっていて尚困る様な返答をしてしまったようで申し訳ない気持ちになります。
「君、お腹空いてない?僕は空いてる。うん、とりあえず飯だ飯。飯食ってから考えよう」
えぇ、確かにお腹は空いています。私は小さく頷きました。
スマホでサクサク読む流さ、というのを意識しつつ更新していきます。
短い分、更新頻度を多くできれば、と思ってはいます




