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太陽のカケラ  作者: のえる
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側妃4

「・・・・・・イェニセイ族ルゥーヤン殿、我が許婚セレンゲを

返して頂きたい。」


フールンの真剣な顔を見ながらイェニセイ族長ルゥーヤンは

ニヤリと笑う。


「さて・・・・どうしたものかな・・・

父としてはどうかな?・・・なあ、バイカル族のお方」

ごく近くに座らせられていたバイカル族の族長、セレンゲの父の

方を振り向いてイェニセイ族長ルゥーヤンは言う。


「久しぶりの娘の顔、さぞかし見たかろうと思って

宴に招待したのだ。

可愛い娘の顔、見れて満足されただろう?」

一部族の族長として、草原の戦士として

強靭な精神力を持っているだろうバイカルの族長ではあるが

愛娘の幼い泣き顔を見ては流石に

平静では居られないようで

すっかり顔色が変わっていた。


「・・・・・・知っています。バイカルの長からは

宴に招待されたがどうしようかと相談を受けていましたので。」

いかに大きな影響力を持つ部族の長だと言っても

傘下である本流のことを

しかも愛娘を嫁入りさせようとしている所の一族を

通さずに敵の一族の宴に出席する訳にはいかなかった

バイカル族長はハンガイ族に話を通しに来ていた。

ハンガイ族だとて愛娘に会えるものを止めろとは言えない。

また、バイカル族と共に宴に招待されたハンガイ族も

後継の許婚セレンゲに会わせると言われているものを

宴に出なくて、セレンゲを軽んじているとバイカル族長に

感じさせて一族の中で大きい影響力を持っている

バイカル族との仲を<ただでさえ後継フールンの許婚

としてくれた族長の娘、セレンゲを

みすみす奪われてしまったのに>

これ以上損ねたくない。





「ところで、ハンガイの後継殿は、もしそなたの

大事な許婚のセレンゲ姫と

幼い頃から共に育った

大事な従妹のケルレン姫と、どちらか一人をお返しすると

言ったらどちらと言うかな?」

イェニセイ族長ルゥーヤンの笑いを含んだ声が

名前を出されたセレンゲとケルレンの耳には妙に響いて聞こえる。

フールン、チーフォン、バイカル族長も心なしか

表情を少し変えてどういった意図を持って言っているのか

図ろうとしている様子でじっとイェニセイ族長ルゥーヤンを

見ている。



「許婚のセレンゲです。我が一族の許婚に定められている

彼女以上に選ぶ者などありません。

・・・・それ以外の言葉があるとでも?」


にやりと笑いフールン、チーフォン、

そして自らの横に座る側妃にしてケルレンの姉チョイルンを

見て最後にケルレンに話しかける。


「これはこれは・・・・・ケルレン姫

セレンゲ姫しか選ぶ者は無いとは寂しい言葉ですな

共に育った兄弟のような存在だというのに」


「・・・・・自らの伴侶になる人が・・一番だと言うのは

当たり前のこと・・・・。」

搾り出すようにケルレンは言葉を発する。

それ以上言えなくて

でも気持ちがついていかない部分はあるけれど

頭ではちゃんと理解して

整理がついているつもりだ。


口が知らずヘの字になりかけるのは

許して欲しい。


目じりがついつい悲しげに下がりかけるの

眉がハの字になりかけるのも許して欲しい。


心配掛けたくないのにフールンとチーフォンに

そんな顔見せたくないのに平気な顔で居たいのに

改めての言葉にどうにも苦しくて

悲しくてどうしても平静な顔が出来ない。

姉のチョイルンもケルレンのその表情に

気遣わしくて堪らないといった顔をして

ケルレンを伺っている。



(この場で・・・・・・セレンゲのバイカル族だって居る場で

こう答えなければならないこと分かりきってることなのに

・・・・・・・・この場で私とフールン、長兄<チーフォン>の関係

を言ってセレンゲを泣かせて、それを父親のバイカル族長に見せて

ハンガイ族にちょっとでも不快感を感じさせたかったのだろうけど)



セレンゲの父のバイカル族長はフールンの言葉に

娘を大事にしてくれると感じたのか少しホッとした顔をして

でも父としてはそれでもまだ娘は敵の掌の上でしかも泣き顔を

晒したままなのでまだまだ心配らしかった。



・・・・私の一番は君だ・・・・君と・・・一族だ。




(フールンのいつか言ってくれた言葉ちゃんと覚えてるから)


ケルレンはにっこりとフールンに微笑みかけた。




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