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太陽のカケラ  作者: のえる
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側妃2

(このままじゃ族長<父>達の所に帰れないな・・)


フールンは中庭をあてもなくただ歩いていた。


「・・・・・ケルレン・・・・」

ケルレン、ケルレン・・・

瞳を閉じて心の中で何度も愛しい片割れの名前を呼ぶ

中庭の木の所で出会った少女がケルレンだとすぐ分かった。

木の上から落ちてきた体の重み、

かすかに感じるケルレンのいつもの優しくて柔らかい髪の匂い

ケルレンの剣を振るう硬くなった掌に欠けた爪に節くれた指

生まれたときから片時も離れることなくずっと見て来たケルレン。


「・・・・・・抱きしめて・・・・・・・抱きしめて・・・・・・・

君を連れて帰りたかった・・。」

久しぶりに会ったケルレンの姿に心が掻き乱されて

体が目頭が熱くてそろそろ部屋に戻らなければいけないのに

とてもじゃないがなかなか心を落ち着かせることが出来なかった。





「・・・・ねえ!ハツジョーでもしてるの?」

今まで気配が無かった背後からの声にフールン驚いて振り向いた。

自分だって長兄チーフォンには敵わないものの一族の戦士の

端くれ、小さな頃から一族を率いるものとして

厳しい訓練にも耐えてきた

それなのに声を掛けられるまで気付かないなんて

凍えるような寒さだというのに額に汗が滲んできた。


「・・・・ねえ・・・・・君が・・・ええっと・・・

なんとか一族の後を継ぐとかの奴なの?」

まったく殺気の無い・・・どころかむしろ無邪気な様子で

その少年とも少女とも分からない同じ年頃に見える子供(?)は言った。

艶を帯びた闇夜のように真っ黒な流れるような漆黒の長い髪に

長い睫毛に覆われた怪しげな光を秘めた紫の瞳、白い肌は病的な程、

唇は化粧をした乙女のように真っ赤で下唇は少しふっくらと尖っていた。

その姿にどことなく魔性を感じて知らずゾクリと体が震えた。


「・・・・・・・貴方は?・・・・発情!?・・・」

尋ねた後、思わず先ほどの彼(彼女?)の言葉を思い出して思わず

フールンらしくなく表情を整えきれずに

素の顔で見る見るうちに頬が紅に染まってしまった。


「僕!?・・・・・・僕は『フフヤガーン』・・・・

君の名前は聞いたんだけど忘れちゃったな・・・・なんだったっけ?」


「・・・『フフヤガーン(紫)』?」

瞳の色そのままの名前に思わずオウム返しに繰り返す。

フールンの声にフフヤガーンは、小さな子供のように満足そうに微笑むと

長くて難しかったら『フフ』だけでも良いよとにこにこ笑っている。


「・・・・・・・・。」

意図が分からずに怪訝な顔でフールンはフフヤガーンを見つめるが

相手のフフヤガーンは、少しも気にした様子も無くフールンを見返して


「えっと・・・・・もうすぐ宴・・・か何かあるんだよね?・・・

君も来るの?あの子に会いにさ」

「あの子?」

「うん、えっとさ・・・・・・・えっと・・何とかレンって名前だったかな?」

宴ってどこの?

あの子って誰だ?

何だか嫌な予感がすると思った所での

その言葉に恐る恐る言ってみる。


「・・・・・・・ケルレン・・・・・ですか?」

フフヤガーンはひとしきり爆笑した後に

何故笑われてるのかさっぱり分からないフールンの肩を

バンバン叩きながら


「物凄い真剣顔でさ~!

・・・ですか?・・・だって~」

何となく馬鹿にされているような気がそこはかとなくして

ちょっとだけ不愉快な気持ちになりつつも

気を取り直して


「ケルレンを知ってるのですか?

・・・・・貴方はイェニセイ族・・・ですか?」

そうは言ったもののイェニセイ族の顔では無い

・・・どころかむしろ人間の雰囲気を感じない。

瞳をクルクル輝かせながら


「うん!その何とかレンとか言う名前の子だよ

僕は、その何とか族じゃないから~」

まったく名前を覚えてない様子であっけらかんと言う様子に

思わず唖然として

自分達の一族ハンガイ族でももちろん無い

異父兄オタル族でも無いそしてイェニセイ族でも無いのだとしたら

どうしてケルレンの事を知っているんだ?

と疑問に思う。


「・・・・・・イェニセイ族の宴ならば出ますよ・・・

オタル族、バイカル族の宴もほぼ殆どの宴には出ると思いますよ

イェニセイ族の宴でケルレンが出るのですね?

・・・・・・・・妙に詳しいようですが貴方はケルレンやイェニセイ族と

どういう関わりがある方ですか?・・・・・私の事もよく知っている様子ですが

失礼な言い方かも知れませんが貴方は何者ですか?」

そんな聞き方しても言わないだろうなと思いながらのフールンの言葉に


「僕?・・・・・・・・僕は『フフヤガーン』あのね長くて難しいのだったら

『フフ』で良いよ。

僕ねぇ父様のお手伝いでイェニセイ族、手伝ってるんだけど

やることいっぱいでしんどいのー

僕、鳥で見張ってるんだよーって言っちゃ駄目だったーアハハー」

フールンには、フフヤガーンの言ってることがさっぱり分からなかった。

そして名前が『フフヤガーン』で『フフ』で良いよと言うのは

一回聞いたなと思った。


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