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太陽のカケラ  作者: のえる
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協議会3

「・・・・・・後継様?」

誰かを探している風だった赤い髪の少女がふと

部屋の隅に蹲っている図体だけはヒョロっと大きいリューランに

気づいて呼びかける。


「・・・・あ!・・・・・ああ・・・テ・・・ティ・・ル」

振り返った顔が見る見る赤くなってもじもじとどもって応えが返って来きたのに

赤い髪の少女ティルはこの人はそう言えば見るたびにいつも

こんな調子だな、と思いつつも

容赦なく自分の聞きたいことを尋ねる。


「・・・・何やってるのかは分かりませんけど

それよりケルレン様を見ませんでしたか?・・・ずっと探してますのに・・・」

中々捕まってくれないケルレンにちょっと拗ねて頬を膨らまし

その表情をぼけ~っと見とれているイェニセイ族後継リューランに

まったく気づきもせずボケッとしてないで早く答えて欲しいとか

考えていた。



「・・・・・・・・(ボケ~)」

「・・・・・・・・・。・・・・・・もう良いです。」

あっさりリューランをほおってケルレンを探しに行ってしまったティルの

後姿にリューランは、ツツツと涙が零れそうになった。


「・・・・・私・・・・、・・・私に対して物凄くつれない・・・ティル・・・。

協議会が怖くて私・・・・怯えてるのに・・・・。」

波風の立たない人生を送りたいのに大部族の後継として生まれた以上

いかにも族長という父を持った以上リューランには無理なようだった。









その人は、指先で輝く太陽の耳飾を弄んでいた。

本物の太陽の光にあたってキラリキラリ輝くそれを見ていると

泣きたいような怒りたいような・・・それでいてどうしょうもなく切ない気持ちが

こみ上げて来た。

肩を越え胸元に流れてきている長い髪は本物ではなかった。

数々の髪飾りも薄い絹の服も

彼女が今まで身に着けていたものではないもので

少年か少女か分からない姿だった彼女を

今は、幼いながらも美しい一人の女性に見せていた。









「・・・・フールン・・・・イェニセイ族長の言うように

その・・・側妃・・に・・・とか言うのに会いに行ってみるか?・・・・いちよう・・・。」

複雑そうな瞳をしてチーフォンが尋ねるのに

フールンは迷ってしまった。

あのイェニセイ族長の含みではおそらく多分

ケルレンとセレンゲを指しているのだろうと考えられる。


会いたい・・・会いたい・・・けれど・・・・


「・・・・俺は、会って見たいと思う!」

毅然とした態度でそう言う兄チーフォンを思わず見上げ

フールンは再び下を向いてしまう。


「会いたい!・・・・今は、此処では戦闘にならない・・・戦士の誇りとしてな・・

なら、会わなければいけないと俺は思う!」


「・・・・・・会いに行け・・・。」

黙って息子達のやり取りを見ていた父であるハンガイ長ウリャスタイが

表情も見せず背中を向けた姿で一言落として


先に部屋に行く


答えも聞かず言い置いて

さっさと廊下に消えるのをフールンは呆然と見ながら


「・・・・・・敵・・・・の立場なのですよ心では違ってても

敵の立場として戦い、私達は・・・・・・・・捕虜を・・・・・。

そしてケルレンも次兄と三兄を・・・・・お互いに会うのは苦しい・・。」

父に兄にそう言った。


「・・・・・・私は、・・・でも・・・心は・・・でも・・・今の状況が・・・。」

激しくフールンの心は揺らめいていた。


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