猫、暮らす
ほゎあぁぁぁゎあっあぁゎあぁ~
よく寝た…である
吾輩の朝は早い
カーテンの隙間から溢れる光
時折聴こえる鳥達のおはよう
人知れず去っていく新聞配達のバイクの音
吾輩に腕枕しニャがら、静かに寝息をたてる愛し人の寝顔は今日も格別である
ぬぃぃいぃ~ぃいぃぃぃ~ん
布団から出て、音を立てぬ様に手を伸ばし、足を伸ばす
愛し人を起こさぬ様に、柔らかニャ髪をサラサラと撫でてみる
愛し人は、吾輩の手のひら(肉球)の感触がたまらんといつも言ってくれる
昨晩は遅くまでお仕事をしていたからニャ
まだゆっくり眠るといい…
さて…
ツッ テッ トッ トッ ト…
カリッ カリッ カリッ
チャプ チャプ チャプ
ゴシゴシゴシ
ペロゴシペロゴシ
ガリガリガリ
ツッ テッ トッ トッ ト…
朝食を食べ、顔を洗い、毛繕いをして、爪も綺麗にニャった
吾輩の1日はここから始まる
パカッ トッ! トッ! シュタッ!
シュッ シュッ シュッ
ズリズリズリ
うむ…お掃除も終了、と
愛し人も何故いつも下着を洗濯機とやらに入れニャいのか…
脱衣場で脱ぐのであるから、そのまま入れてしまえばよいものを
毎朝、吾輩が拾って入れてあげておるのだぞ
まぁ本人はいつも洗濯機とやらに入れていると思っているのであろうがニャ
そこが可愛いのであるが、いささか甘やかし過ぎか?
とも考える今日この頃ではあるが…
さすがに洗濯機とやらに石鹸を入れて、スイッチまで押すのは猫の領分を越えてしまうのでやらニャいがニャ
部屋を走り回って埃も飛ばしたであるし、玄関の掃除と愛し人の靴も履きやすい様に揃えた
明け方の猫の行動を、人間共は運動会だニャどと決めつけるが、吾輩としては、箒とチリトリを持って掃除をしてもよいのである
が、それも愛し人の成長を阻害してしまわぬ様に控えめにしてるのであるのに…
ニャ!?
しまった!!
カラカラカラ…カラカラカラ…
ニャッ ニャッ ニャニャッ ニャニャニャッ
いかんいかん
いかんのだ
この丸い玉
中にカラカラと鳴るニャにかが入った玉を見てしまうと…
何故か体が勝手に…
いかんいかん!!
ニャッニャッニャッ ニャニャ~ン
カラカラカラカラカラカラ
ふ~~ぅ
堪能したである
まったく…恐るべき丸い玉
おそらくオーパーツニャのであろう
本能へと訴えてくる魅了を発しているに違いニャい
天使兵長クラスの魅了でさえ、障壁ニャしでレジストできる吾輩を、文字通り手玉に取るとは…
愛し人が研究施設の名であろうTOYSЯUSと書かれた紙袋に入れて、何の警戒もニャく持ってきたのが不思議でニャらん
ハッ! これまたいかん!!
ジリリリ♪ パチッ
ふぅ…あぶニャいあぶニャい…
愛し人を起こすのは吾輩の使命である
時を刻むだけの下等な鐘時計の分際で、この安眠を妨げるのは許さん
『ニャ~』
ポンポンと布団を叩く
「ん… おぁよバニ男…おいで」
愛し人の目覚めはよい
スッと布団の口を開けてくれる
もぞもぞと布団に潜り、愛し人の腕枕に顔をのせ、ゴロゴロと喉を鳴らす
「毎朝ありがと」
至福であ~る!
その両の手で包まれる時
微睡んだ眼差しで見つめられる時
芳しい髪の匂いを感じニャがら柔らかニャ頬の感触を吾輩の額に感じる時
朝の僅か5分の友愛の時間ではあるが、これこそがこの世の優しさの全てであると断言できる
とはいえ、そろそろ起きねばニャ
愛し人よ…
『ニャ~』
「ん~ バニ男~ 行ってきま~す」
吾輩の顔をくしゃくしゃに揉み、愛し人がお仕事へ向かう
名残惜しいであるが、吾輩が一緒に行く訳にもいかず、玄関で見送ること数分
ツッテットットットットッ…
太陽の光
風の匂い
柔らかニャ布団
この部屋で一番の陽当たりの良い場所に、吾輩の寝床がある
ぽかぽかとした日は、一身に陽射しを浴びて眠り、雨がしとしとと降る日は、その尽きることニャい雫を眺める
表通りを車が走れば目で追い、飛行機が頭上を飛べば耳で方角を確かめる
愛し人が用意してくれているご飯を食べ、水道から漏れる水を不思議に思いニャがら飲み、タンスに上り、箱に入り、鍋に入る
まだ温かさの残るお風呂の蓋の上で休み、そしてまた寝床で眠る
愛し人が出掛けている間の吾輩の一日は、こうして平穏に過ぎてゆくのである…




