赤い髪の人
埃のかぶった機械に飽きた後、横になったミトラルカちゃんをじっと見つめていると、ドアが壁に激突する音がした後すぐに、すっとまぶたが持ち上がりました。
「ん。起きた?」
ぼーっとしているミトラルカちゃんを見つめているのは僕だけ。
他のみんなはドアの方を見ています。
「ちょっと、ミトが運ばれたって本当なの?! ミトは平気?」
ドアを開け放ち部屋に飛び込んできたのは、両手を膝に置いて、息を切らせた赤髪の子供。背丈は今のミトラルカちゃんとさっきまでのミトラルカちゃんのちょうど真ん中くらい。僕より少しだけ背が高いくらいです。
声が高くて肩もなで肩なのに「女の子かな?」と思うような顔をしています。中性的、ボーイッシュ、そんな感じ? もしくは男の子でしょう。
髪が短いのも余計にそう感じさせます。
「ねえ、見た所ミトラルカ、いないんだけど…… もしかして私の聞き間違い? それとその人達はお客さんかしら。ごめんなさい、取り乱したところをお見せしました」
腰を折った、とても丁寧な謝罪をしてくれました。でも少し騒いだくらいで謝らなきゃならないなら、僕もしょっちゅう謝らないといけません。僕は自己弁護を込めて、すぐにうるさくない旨を告げるために首を左右に振ります。
「いまさらの挨拶という無礼をお許しください。私は……」
顔を上げながら口にしていた言葉が、僕たちを見た途端に途切れました。
また神様とか呼ばれるのかな。もう説明が面倒くさいのです。
「……ミト?」
ところがその視線は僕と白薔薇なんてまるで見えてないみたいに通り越して、ミトラルカちゃんに固定されて動かない。口からはミトラルカちゃんの名をちょろりと溢しています。
「育っちゃってるけど間違いなくミトラルカよね? でもどうして。何があったの?」
説明しようとするおじいちゃんを手で掻き分けて寄ってくると、一瞬の躊躇いを突き破って優しく、まだ目を開けただけで起き上がっていないミトラルカちゃんの肩に手を触れています。
ミトラルカちゃんは瞳は反応しているけど声も出さずに少し不思議そう。
たぶん自分がいつの間にか寝ていたのが不思議なんだと思うのです。
けれど相手には伝わっておらず、赤髪の人はいっそうの心配を顔にだして、なんかもう泣きそう。
「安心してね、私がなんとかするよ。
元の姿に戻りたかったら戻れるようにもする」
「無茶な。安請け合いしたところで不可逆なものだったらどうするんだ」
「黙って! ミトが望めば私はなんでもする。今までも、これからも」
おじいちゃんと白熱しているけど、ミトラルカちゃんは置いてきぼり。もちろん僕たち二人なんて蚊帳の外。
他のおじいちゃんとおばあちゃんたちは、いつものことみたいな感じで気にしていません。
「ミト、何があったの?」
その優しい声でミトラルカちゃんに話しかけたあと、後ろを振り返ったその目は優しくない。
「ミトに何があったの? 教えて」
その真剣な言葉に、食べかけ小星を何かの機械に閉じ込めようとしていたおじいちゃんが一旦入れるのをやめて、透明な容器に入れられた小星を掲げた。
「これだよ。なんなのかは今から調べるところだ」
「んん? そんな存在のハッキリしないモノ、どこで手に入れたのよ」
お、僕のことを聞いてる。
すかさずに手を挙げてアピール!
「はいはいはい! 僕だよ。僕があげ「シッ。ごめんなさい、少し黙っててください」
すぐそばにいたおばあちゃんに片手で口を封じられてしまいました。
抗議の視線を口を塞ぐ、すぐ隣にいるおばあちゃんに送っても首を振られるだけで、離しては貰えません。
別に声を出せないわけじゃないけど、喋ると何か問題があるみたい。
迷惑はかけたらいけないのです。よくかけている僕なんかは特に。
けれどおばあちゃんの顔を見る限り、迷惑はまたかけた後みたいです。
おばあちゃんの見ている方に視線をやれば、赤髪の人がさっきの熊みたいに唸りそうな顔をしていました。
「元凶はあんたか! これは一体何、ミトラルカは一体どうなったの、どうすれば元に戻れるの!」
おじいちゃんが入れていた透明な容器から直接小星を掴み上げて怒っているけど、おじいちゃんがわざわざ入れ物に入れたのは無駄だったんな。
隣のおばあちゃんも「あぁ、直接触っちゃてるけど大丈夫かしら。身体に影響とかあのサンプルの組成に変化とかなきゃいいけど」とか言ってる。
「ちょっと、聞いてるの! 返事しなさいよ!!」
おお、すごい怒ってる。
どうしようか。
今日はたくさんお昼寝したら、夜起きちゃったので寝る前に書いたけど、あんなに寝たのに眠くてだめです。まだ短いのに。
次は早めに書きたいです。




