終章
荒川の堤防の土手下の芝生に、康祐とタカマサが並んで座っている。
「お前も、カップ、叩き潰して来たんだな。……」と、康祐。
「見たのか?」
「うん。金色のカップが潰れて、お前の貼った紙の残骸みたいなのが、床にあったから」
「俺は、……」
「ん?」
「録画で見たよ。お前が、同じこと、してるの。……」
「うん。……」
「あのプロットを配布した時点で、ほとんど完成したみたいなもんだったからな。……」
「……。だな。……」
「ユミちゃんが消えちゃったからさぁ、……」と、タカマサ。
「ん?」
「完璧に完成させる意欲、急速になくしちゃったんだぁ。……」
「もう、あと少しの頑張りで、完成だった。……」
「うん。……」
「ユミちゃん家の前に、ゴミが蒔き散らされたって聞いた時」
「うん。……」
「もう、終わったな、って。……」
「うん。ユミは、自分が姿を消せば、騒動が収まると思ったんだろうけど。……」
「俺は、……」
「俺らの都合で、ユミん家の商売の邪魔、する訳にはいかないなぁって。……」
ゴロゴロゴロ。鉄の塊みたいなものが、土手の坂を転がり落ちてきた。見ると、黒い鉄のドンブリみたいな形をしてる。不審に思って、振り返って見ると
「あんた達。何、二人で黄昏てんのよ」。ユミが立っていた。
「……」。二人とも、言葉が出ない。
「そのドンブリはね」とユミ。
「あのカップの形を作った元なの」
二人は、足元に転がっているその鉄の塊を見た。
「プラスティックのバットくらいじゃ、いくら叩いても潰れないからね!」
「……」
「潰せるものなら、やってみて!」
「う~ん。……」。康祐が、唸っている。
「次の企画は、ず、ぇ、~~~~~たい! カンペキに完成させるからね」
「おっ。……」。二人同時の声。
「ネバー、ギブアップよ」
「おお~~~!」
三人は、拳を空に向けて、突き上げた。
(完)
後日譚
早朝、三橋公園でジョギングしている康祐の姿があった。それを、後ろから自転車で伴走するユミ。
「急に、ジョギングに目覚めたの?」
「うん」。問いかけを、煩そうにしている。
「どういう風の吹きまわし?」
「……」
「この前、タカミーもここに一緒にいたけど、彼も?」
「あれから、時々一緒に走るよ」
「ふ~ん。……」
「あの時」
「ん?」
「俺らがあそこにいるの、なんで分かった?」
「ふん。あんた達のことなんか、千里離れてたってお見通しよ」
「相変わらずだなぁ。……」
「何が?」
「黴臭い言い回し」
「それは、こーちゃんでしょ」
拙作をお読みくださいました方々に、お礼申し上げます。
次回作では、もう少し精進した内容で、お届けできればと存じます。
では、それまで、皆様、お健やかに。




