プロローグ
ラブコメに必要なものは何か。
現実にはない輝き。
胸を高鳴らせるときめき。
そして何よりも、美少女。
俺、高橋歩は、顔は超絶イケメン、中身はゴットオブイケメンの高校二年生だ。頭はハイパー良く、模試では全国一位が当たり前。さらに、運動部顔負けの身体能力を持つ、現人神と言っても過言ではない。
「行ってきま〜す」
そんな俺が、モテないなんてことはありえない。当然、通学路は、俺を慕う美少女どもがあふれかえる、楽しい修羅場になるはずだ。なるはずなんだ。
「おっは〜、歩。わ!?どうしたのその顔。大丈夫?朝ごはん食べた?ちゃんと寝ないからそうなるんだよ。も〜、ほんと歩は私がいないとダメなんだから」
「歩、どうしたんだ、いつもの君らしくないじゃないか。もしかして、眠れなかったのか?それなら、今日から私が抱き枕になってあげるぞ。ッ!そんなに照れないでくれ///私の方が照れてしまうじゃないか」
「高橋くん、大丈夫ですか?何か困ったことがあるんだったら、わたしに相談してくださいね。高橋くんのためだったら、わたし……」
「せ〜んぱあい、辛気臭い顔してどうしたんですか?あ、私のこと思い出して、生活に手がつかなかったんですか。うわ〜、先輩てそんな感じの人だったんですね、変態すぎます」
声だけ、声だけ聞けるのなら、幼馴染美少女、生徒会長美少女、眼鏡っ子美少女、後輩美少女を想像するだろう。それは正しい。俺もそう思う。
だが、目を開けてみよう。そこにはなにがある。目を逸らしてはいけない。これが現実なんだ。
そう、
こいつらは、”ブス“なんだ。