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97 夜中に
わたしは、夜中にトイレへ行きたくなった。普通なら、起きてトイレへ行けば良いのだが、わたしの両足の上には猫がいた。
わたしは、とりあえず猫に声をかけてみる。
「ねえ、起きてる?トイレに行きたいんだけど」
猫は何も答えない。起きているのか、寝ているのかもわからない。
わたしは、片方の足を引き抜く。すると、猫はもう片方の足にのし掛かる。どうやら猫は起きているようだ。
わたしはもう片方の足を引き抜くべく、猫を退かそうと試みる。しかし、猫はわたしの足にしっかりと手をまわしている。
「ねえ、トイレに行くだけだから」
わたしは猫に話しかけ、もう片方の足を引き抜く。
夜中にトイレへ行くのも一苦労だ。




