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アラフィフおじさんの推し活奮闘記  作者: DAI


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第7話

私の名前は田中ユイ。今年で17才。いわゆるJKだ。


その日、お父さんは『残業』で、まだ帰宅していなかった。


「お父さん、今日も残業なの?」

私はスマホでmagical☆princeの動画を観ながら、お母さんに聞いた。

「そうなの。最近、本当に残業が多いみたい。」

お母さんは、晩御飯の用意をしながらも、心配そうに言った。

「なんか、お父さん、最近、前より活き活きしてる気がするんだけど。」

「そうね。前より元気かもしれないわ。」

そう。お父さんは、最近、変だ。仕事が忙しいはずなのに、疲れた様子がない。むしろ、元気なのだ。

「まさか、私達に内緒でどこかに行ってるとか?」

お母さんの手が止まった。私の方に来て、隣に座る。

「ユイも、そう思う?お父さんに限って、そんなことはないと思うんだけど。。。」

「浮気?とか。まぁ、無いだろうけどね。」

私は核心に触れる一言を言ってしまった。お母さんは、明らかに動揺している。

「まさか!そんなこと言わないで。」

マズイ。お母さんが泣きそうだ。

「わかった。私が調べてみるよ。お父さん、残業の日は先に言ってくれるから。その日に会社から、尾行する。」

「ユイ。一人で危ないことはしないで。」

お母さんを心配させるようなことを言ってしまった。

「大丈夫。危ないことはしないよ。お父さんの後を付いてくだけ。」

娘としては、両親の夫婦の危機を防がなければ!すると、お母さんは、真面目な顔になった。

「わかった。私も行くわ。」

「えっ。私一人で大丈夫だよ。」

「これは、お父さんとお母さんの問題だから。娘のあなただけに危ないことはさせられない。」

「わかった。お母さん。一緒にやろう。」

母娘同盟が結ばれた。



ピンポーン。


お父さんが帰ってきた!

「お母さん、このことは、お父さんには絶対に内緒ね。」

「わかったわ。」

お母さんは、台所に戻った。




「ただいまー」

「お帰りなさい。」


「今日も、残業、お疲れ様。」

「いやー今日も疲れたよ。」

「お風呂でゆっくり疲れを取ったら?」

「そうさせてもらうよ。」


お父さんが、お風呂に入っている間、お母さんと私は、お父さん尾行作戦の計画を話し合った。お父さんの残業の日が分かったら、その日、お父さんの会社に行き、定時の時間に張り込む。お父さんがもし、会社から出て来たら、尾行開始。証拠写真を撮る。


「いい湯だった。」

「はい。ビール。」

プシュ!

グビグビッ。

プハーッ!

「この一口の為に生きてるな。」

今日もお父さんはご機嫌だ。


「お父さん、今日も肩揉んであげようか?」

「うん。ユイ、頼むよ。」

「ちょっと、肩凝ってるね。」

「やっぱり、そうか?」


「お父さん、まだ残業続くの?」

「うん、そうだなぁ。ごめんな、ユイ。」

「私は大丈夫だけど、お母さんが心配するから。」

「ごめんな。かあさん。」

お父さんが、お母さんの方を振り向いて謝った。


私は、マッサージの手を止めた。

「お父さん、次の残業は、いつなの?」

「来週の火曜日かな。」

キタ!

「来週の火曜日ね。」

私はお母さんとアイコンタクトした。

「残業も良いけど、程々にね。」

「わかったよ。ユイ。」

そう言って、お父さんは、缶ビールを飲み干した。


テレビでは、ちょうどマジプリが歌っている。

「ユイ、マジプリは、凄いな。」

「何?急に、お父さん。」

「マジプリは、トップアイドルなのに、全然、天狗になってないし。」

「お父さんも、マジプリの良さがわかるんだ。」

最近まで、興味なさそうだったのに。


「はは、まあな。本当に、若いのに凄いよ。」

何だか、自分に言われてるみたいで、照れ臭い。

「お父さんに、そう言われると、私もマジプリのファンとして、うれしいよ。」

「ユイも、マジプリみたいに、頑張れよ。」

「うん、お父さん。」


マジプリは、今年で結成5周年。メンバーの脱退や事務所からの独立など、紆余曲折あったけど、今は3人で頑張っている。私は、これからもマジプリを推して行くつもりだ。


「お父さんも体壊さないでね。」

「ありがとう、ユイ。」


「じゃあ、部屋に行くね。おやすみ。」

「ユイ、おやすみ。」

私は2階の自分の部屋に上がる。

お母さんがウインクしたので、私もウインクを返した。


お父さんが浮気しているなんて考えたくないけど、来週の火曜日には多分、分かる。

私はお父さんを信じたい。



何だか、心がザワザワして落ち着かない。こんな時はマジプリの曲を聴いて落ち着こう。やっぱりマジプリは、私にとって支えだ。




・・・・・・・・・・




今日のユイは、いつもとちょっと違ったな。まあ、気のせいか。

火曜日は、アヤ師匠のスタドリ指南の日だ。スタドリのこともだいぶ分かってきたが、まだまだだからな。握手会の作法も確認しなくては。

まだ知りたい事が沢山あるな。




火曜日、家族の危機が訪れることをまだ私は知らなかった。






<つづく>

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