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アラフィフおじさんの推し活奮闘記  作者: DAI


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第6話

私の名前は田中健二。今年で45才。いわゆるアラフィフだ。



いよいよ、Star☆Dreamのセカンドシングルのリリースイベントが始まる。

私達は、ステージの真正面。最前列に陣取っている。手を伸ばせば、届く距離だ。

ドキドキしながら、スタドリの登場を待つ。

すると下手から、司会者が登場した。


「こんにちはー!」

「本日は、ここ、レオックス8階イベントスペースにお越しいただき、ありがとうございます!」

「これから、Star☆Dreamセカンドシングル、発売記念イベントを開催します!」

司会者のお兄さんが、場を盛り上げる。

「いよいよ、来週リリースされる新曲。楽しみですよね?」

「今日は、一足早く、生で聴く事が出来ます!」

な、何と!新曲が聴けるのか!

私は、喜びに震えた。

「では。ご登場いただきましょう!Star☆Dreamの皆さんです。どうぞ!」


スタドリが出て来た!

今日は一段と眩しいっ!


「こんにちは!僕たち、Star☆Dreamです!」

ユウくんが目の前にっ。卒倒しそうだ。もう、直視出来ない。。。


「今日は、僕たちのセカンドシングルのリリースイベントに来てくれて、ありがとう。」

「この曲は、僕らが次にステップアップする為の大事な曲だと思います。皆さんに気に入って貰えるとうれしいです。」

「では、聴いてください。」

「step up」


素晴らしい。もう一段、スタドリが階段を上がるのに、相応しい曲だ。

そして、私も背中を押されるようだ。

彼らのパフォーマンスも磨きがかかっている。


コウくん、リョウくん、ケンくん、タクミくん。そして、ユウくん。それぞれが輝いている。最高だ。


曲が終わった。

自然に拍手が湧き起こる。

「ありがとうございました!」

「セカンドシングル【step up】は、来週発売です。よろしくお願いします!」


脇に控えていた司会のお兄さんが話す。

「ありがとうございました。Star☆Dreamの皆さんでした。」


スタドリのメンバーが帰って行く。

イベントも終わりかと思っていた、その時。


「どーも!スタドリです!」

彼らが舞台袖から戻って来た!

「せっかくなので、もう一曲聴いてください。」

「僕たちのデビュー曲です。」

「DREAM STAR」


何と、デビュー曲まで聴けるとは。太っ腹だ!私は感激に打ち震えた。

楽しい時間は、本当に一瞬だ。


「ありがとうございました!スタドリでした!」

「どうもありがとう!」

今度こそ、帰ってしまった。

私は、またしても放心状態だった。


「ケンジくん、生きてる?」

アヤ師匠に肩を叩かれる。

「はい。大丈夫です。」

私は、声を絞り出す。

「新曲、良い曲だったね。」

「本当に。勇気づけられました。」

「やっぱ、スタドリ、最高だね!」

ミドリさんも笑顔だ。

「今日も、ユウくんは、良かった!」

マサさんは汗を拭きながら大声で話す。興奮しているようだ。無理も無い。この近さで観れたのだ。誰だって、興奮するだろう。


エレベーターをおりながら、私達は気持ちをクールダウンさせた。

「さ、お疲れ様会行こー!」

アヤ師匠は元気だ。

私達は、近くのファミレスに入った。

セルフサービスのフリードリンクを飲みながら、まるで、高校生のように、スタドリについて語り合った。私も年齢を忘れて話に夢中になった。気が付けば、2時間が過ぎていた。


「じゃあ、また!」


私は、充実した気持ちで帰宅した。


「ただいま。」

「お帰りなさい。休日出勤お疲れ様でした。」

「ありがとう。」

妻には、スタドリのイベントに行ってたなんて、口が裂けても言えない。。。


「お風呂沸いてるわよ。」

「わかった。」


ふぅ。暖かい湯船に浸かると、今日の感動が蘇ってくる。つい、鼻歌も出てくる。


「いやー。いい湯だった。」

「はい、ビール。」

「ありがとう。」

プシュ!

グビグビ。

プハー!

「この一口の為に生きてるな。」


ピコン!

スマホの通知が来た。スタドリのファンクラブからだ。

どれどれ。

『握手会開催決定!』

あ、握手会!!

私はソファから落ちそうになった。

ユウくんと握手するチャンスが、

そんな事が可能なのか、、、!


2週間後の土曜日、場所はショッピングモールの広場。当日CD購入者に握手会参加券配布(先着)!

・・・先着か、何時に行けば良いのだろう。

もちろん、アヤ師匠達も行くのだろう。また、ご教授願わなければ。


「あなた、ぶつぶつ言ってるけど、大丈夫?」

「え、あ、だ、大丈夫、大丈夫。」

とても動揺している。

私はビールを一気に飲み干した。

「もう一本もらえるかな?」

「はい。どうぞ。」


ふー。危なかった。推し活の事が家族にバレたら大変だ。家では、気を付けなければ。


「お父さん、疲れてるんじゃないの?」

「肩揉んであげるよ。」

「ユイ、お言葉に甘えてお願いしようかな?」

本当にユイは優しい良い娘だ。




この時、私は、まだ知らなかった。

この幸せな家族が始まって以来の、とんでもない危機が迫りつつあることを。。。




<つづく>

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