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春青泥棒  作者: 稲作稲穂
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花見

一話「同級生」


日差しの暖かさが風に乗ってやってくる頃、私は実家に戻っていた。家を出るなり日に当たった花の香りがあの小さかった自分の姿を思い出させる。

『春はる公園に集合!』

と先月、小学校の同級生から連絡をきっかけに今日は、成人式以来の七年ぶりの再会をする。みんな元気かなとわくわくしながら公園に向かう。


満開の桜が立ち並ぶ地元の公園に着くと、多くの人だかりと屋台が小さな公園に詰まっていた。この公園に来るのも十年以上前のことなので、こんなに小さかったものかと入口近くの滑り台を見て思い出していた。すると後ろの方からジーパンに白いティーシャツを着た褐色肌の黒髪ショートの女性が背中を強く叩いた。

「おい!んなところで何してんだよ、早く中に入ろうぜ!」

「あら、ウミ!久しぶり~!あんたちょっと太った?」

「はあ?んなわけないでしょう!そう言うあんたこそまた背伸びたんじゃない?」

二人で再会を喜んでいると、人混みの中でも目立つ白い着物の女性が視界の先に見えた。

「あ!ユキよ!あれユキよね!おーい!ユキー!こっちこっち」

その呼び声を探すかのように辺りを見回す着物の女性は二人を見つけると着物の袖を押さえながら手を振り、駆け足でこちらに向かってきたので、二人も駆け寄り再会のハグをした。

「二人とも、久しぶりですわね。お元気でした?」

「元気、元気!ユキも着物で小走りとか相変わらずだな」

「あら、ふふふ。昔のお転婆が出ちゃった、サクラが場所取りしてくれてるから行きましょ、案内するわ」

「うん、行こう行こう!」

「あ、ごめん先行ってて、モミジが駐車場に着いたらしいから荷物持ちに行ってくるわ」

「分かりましたわ、それじゃあ場所は時計台あたりですから近くに来たら連絡してください」

「は〜い」

と来た道を戻っていった。

「そっか、モミジは料理作って来るって言ってたもんね」

「ええ、モミジの料理は絶品ですから、今から楽しみですわ」

「ハハハ、ユキは食いしん坊なところも相変わらずか」


 場所取りをしてくれているサクラのとこについた二人は桜の木にもたれ掛かる淡い桃色のワンピースを着たサクラを見つけた。ウミが声を掛けようとすると、人混みの隙間から誰かがサクラと話しているのが見えた。誰だろうと、さらに近づくとサクラもこちらの存在に気が付き、手を振った。

「ウミ、久しぶり!元気だった?」

「うん、変わらず。えっと、、そちらの方は?」

「あっ大学の先輩のあかりさん。今日は公園の警備と案内係をしてるんですって。あかりさん、こちらは小学校の同級生のウミとユキです」

と紹介するとあかりは一歩前に出て名刺を渡してきた。

「初めまして、探偵をやってます。野沢あかりです」

「探偵?」

「え?本物の探偵?うっそ!ほんとに!?」

「はい、駅前のビルに事務所があるのでもし何かお困りのことがあれば、是非うちにご相談ください。ペット探し、浮気調査などなど何でもやってますので」

「先輩はほんとにすごいのよ、行方不明だったお子さんを見つけたり、あとは、、」

「あ!すまないサクラ、そろそろ戻らないと」

「え〜、先輩もう行っちゃうんですか?」

「すまないね、それじゃ皆さん、楽しんで!じゃ!」

とあかりは慌ただしく公園の警備に戻っていった。

「あらあら、忙しい方ね〜サクラ。あなた大学で一体何をしてたのかしら〜?まさかミステリーサークルに入っていたりしたのかしら?」

「ええっと。先輩にはその、、ちょっと調査をお願いしたことがあるだけよ」

「調査?一体何の?」

「それは、、」

詰め寄ってくるユキにたじろぐサクラは視線をウミに向け、助けを求めた。

 このやりとりを見てウミはまたかと思っていた。ユキはサクラのことになると言動や周りの人間関係など厳しくチェックするのだ。昔、どうしてそんなにサクラに厳しくするのか聞くと「老舗の娘同士、周りを気にするようにしなければいけないの。私の母達もそうしていたのよ」と言っていた。


 ユキのスマホに連絡が来たので時計台の方へ行き、モミジを迎えに行った。少しすると大きな風呂敷を抱えたユキたちが到着した。隣には同じく風呂敷を抱えた癖っ毛の栗色長髪の丸眼鏡女性が一人。

「モミジ〜こっちこっち!」

「ウミちゃん。みんなお待たせ」

「モミジ久しぶり、手に持ってるのって全部料理?すごい数ね」

「あはは、みんなに会えるって思ったら気合い入っちゃって」

と風呂敷に包まれた三段のお重箱を二つその場に置いた。

「それでは、全員集まったことですのでここで主催者のサクラ殿。乾杯の音頭をお願いしてもよろしいでしょうか?」

ウミに背中を押され桜の木にもたれかかっていたサクラは立ち上がろうとしたが、足が痺れていたようで前のめりにバランスを崩してしまった。それを、みんなが支えに行く。

「ちょっと!大丈夫?」

「セーフ、ありがとうみんな」

「もう、もう年取ったの?気をつけなさいよ」

「足が痺れただけだよ!そんなこと言わないでよ〜ユキも同い年じゃん!」

「とまあ、気を取り直してサクラさんお願いします」

「はい、みなさんお久しぶりです。成人式以来の5年ぶりの再会。忙しい中、私の呼びかけに応えてくださりありがとうございます。今日、集まっていただきましたのは。わたくし湯田中サクラ、この度・・結婚することになりました〜!」


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