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子兎は波乱万丈な人生を  作者: フィアナ
第一章・悠久なる森で
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第二話・もう人生ならぬウサギ生の危機!?



つい一ヶ月前の蛇事件のことを思い出す。

あの後、私はなんとか自力で翼を仕舞った。

そして事件が一つ。思ったよりも衝撃が強かったらしく地面が大きくえぐれてたのだ。申し訳ない。

ため息をついた所でいつもの現実逃避という悪い癖が出ていたことに気づいた。




でもそれも今回は仕方が無いと思う。というか大目に見て欲しい。だってさっきまでお気に入りの雑草を食べて、茶色や灰色、黒色の兄弟達と混ざって楽しく魔力?(わからないから魔力でいいや)の練習を兼ねた打ち合いをしてじゃれていたはずなのに。いきなりピンチに陥るなんて!



珍しいのかわからないけど、こんないたいけな子ウサギちゃんをそんな恐ろしい形相で追いかけ回さないで〜〜〜!!


と叫んでも伝わるはずもなく、ただ今珍獣ハンターらしき人達に追いかけ回されています。




この世界に転生してから一ヶ月半経つけど、日常的に森で見かける動物たちは約七割が普通のやつで、残りは能力持ちのようだった。

中には私たちみたいに見た目は普通のやつもいるはずだから正確な数ではないと思うけど。でもほとんどが八岐大蛇や猫又、九尾とかわかりやすいものが多かった。


だからそんなに能力持ちの動物は珍しくないと思ってたのに〜。こんな事になるなら魔力を使う時はこそとそ隠れてやればよかった。


後悔しても後の祭り。

出来る限りの速さで短い脚を動かす。木の根や、背丈の高い雑草の中をかきわけて追手を撒こうと頑張る。


それでも背後には屈強な男が二人と、影の薄い青年が追いかけていた。

兄弟達と一緒に魔力を撃っていたのを物陰から見ていたらしく、「こいつは大物だぜ。軽く相場の数倍はいくんじゃねえか。小型の妖獣で隠しやすいし、何より幼体だから調教しやすいぞ。」なんて言いつつ、ニタニタと舌なめずりして男二人が現れた。


怖い! 恐い!

私はどうなるんだろう。男達が持っているムチや檻、首輪は何に使うつもりなのだろうか。

何も分からない異世界に来て、初めて会った人間がよりにもよってこんな奴等なんて!


それに対して青年は何もアクションを起こさずただ貼り付けた様な笑みで男達に走ってついて行っているだけだ。

どこにでもいそうな印象で、見た目は二十歳前後ぐらいで中性的な感じだ。


なのにそれが逆に怖い。動物の本能が男2人よりも青年に注意しろと訴えている。

普通の人ぽいのに。いても居なくてもわからない、ううん、違う。居ても気付かないような気配をしている。


青年が僅かに目を細めた気がした。反射的に左脚に力を入れ、右に吹っ跳ぶ。


ザシュッ。


ひひぃぃい!

耳が! 耳にクナイらしきものが擦りましたよ! 笑顔でなんてことしてくれるんですか!


くるくると回り転んだ身体を起き上がらせる。

逃げるのに必死だった私は青年が僅かに目を見張ったことに気づかなかった。


この際自慢の白い毛が泥で汚れるのは無視しよ

う。生き残ったんだから。

それよりも泥が傷に染みて痛い。


日が傾き、夕日に変わっていた。

かれこれもう三時間以上は逃げ回っているかも知れない。肝心な時に魔力の方は練習に使い過ぎて、ガス欠だ。体力の方も限界で息が切れ、視界がぶれる。兄弟達とはだいぶ前にはぐれてしまった。


男達は弱そうだが、青年はおそらく相当な実力を隠し持っているだろう。勘だけど。

その証拠に青年は涼しい顔をして走っているが、男達は大変イライラした様子で汗を流している。


「クソッ、ちょこまかと舐めやがって。こいつはこうしてやる! いい加減に止まれ!」


ついに捕まらない私に堪忍袋の緒が切れた男の一人が掌に十センチぐらいの黄色の光の球を出し、


「おいっ、強力過ぎじゃないか!」

「それじゃあ、商品にならなくなるかもよ?」


二人の制止を振り切り放つ。



――――あぁ、もう死ぬのかな。


既に限界だった私は、光の球に撃たれ、意識を闇の中へと沈ませた。




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