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警視庁 不可能犯罪係の 奇妙な事件簿  作者: 夢学無岳
第九話 「ガラスハウスの梅安」
78/96

8.ドクゼツ


「どうしたの! いったい?」


 早乙女は立ちあがった。餅柿や猫屋敷は、自分のデスクから暖かい目で見ている。メンバーたちは早乙女を取り囲んだ。


「今度は警官になったぜ!」と、元自衛官のサーラ。

「ええ!?」

「うちら、アイドル、やめたんや」とミカンちゃん。

「うそお!」


 目を剥いた早乙女に、藤原は「嘘……」と言った。


「今日は防犯ポスターの撮影に来たんです」


 花岡の黄疸はすっかり治り、彼女は頬をピンク色に染めていた。あれから、そら豆は絶対に食べないように気を付けているらしい。


「びっくりした?」と中川は笑った。


『ガラスハウス(特別編)』は、次期、放送連盟宇宙賞テレビ部門のノミネートが確実視されている。

 そして『ジャンブル・ガールズ』の人気は社会現象にまでなっていた。


 花岡摩耶は、健気に毒舌キャラを演じようと努力していたことが知れ渡り、人気が爆発していた。

 人気投票でミカンちゃんを追い抜き、罵られたい女性アイドル、ナンバーワンの座に輝いている。


 早乙女は、「脅かさないでよ」と表情をゆるめた。


 ガラスの向こうでは、警官たちが手を振り、歓声を上げている。

 サーラと中川は、手をピストルの形にして、「ばーん」と彼らを撃った。

 

 警官たちは幸せそうな顔をして、両手で胸を押さえてよろける。


 ミカンちゃんも続けて、セクシーに「ばーん、ばーん」と手ピストルを撃った。


 警官たちは笑いながら、一発目を平手で弾き、二発目を真剣白刃取りする、お約束の動きを見せた。


「なんで、うちのは避けるんや!」


 ミカンちゃんは「きー!」と地団太を踏んだ。体重で近くの机が揺れる。

 それを見てみんな笑い、花岡はミカンちゃんに声をかけた。


「え、なになに? 床の強度でも調べてるの?」


 場がサーと静かになる。

 メンバーたちが花岡を取り囲むと、彼女は真顔で、すこし身を引いた。

 中川が相好を崩し、サーラは花岡の肩に手を置く。


「いいね! 上達してるよ!」

「いい毒舌だぜ!」

「ん……、悪くない、まあまあ……」


 摩耶は顔をほころばせる。


 それを見て、早乙女は楽しそうに笑った。








 一方その時、ミカンちゃんは、思わず感心して、ノリツッコミの機会を逃したことを、深く反省していた。








第九話 了











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