21.はりきりエリー
誤字脱字報告ありがとうございます!感謝です!
最近、エリーがわたしにべったりで困る。
朝から夕刻まで興奮気味にいろんな事を話しかけ、なかなか放してくれない。
今日なんて、朝からわたしの部屋まで迎えに来た。
「マリー、おはよう。貴女に話したい事があって。来ちゃった。」
来ちゃったって、独り暮らしの彼氏の部屋へ押しかける彼女じゃないんだから。
「おはようございます。学習室へ一緒に行きましょう。お話って何ですか?」
一緒に並んで、話しながら学習室へ向かう。
「私、思うのよ。これからの時代、聖女とはいえ医療の知識が必要だって。だからこの本を取り寄せたのよ。」
エリーが手にしている本をこちらに見せた。
『新・解体書』と表題に書いてある。なんとなくどんな本か想像がつく。けれども礼儀として一応聞いておく。
「どのような本なのですか?」
「人の体の骨、筋肉、臓器の形や機能を記した物なの。」
ああ、やっぱり。著者は?『ゲンパーク・ランガックスギタ』か。ふーん、変わった名前の人ね。
「わたしも一緒に学んだ方がいいのでしょうか?」
「もちろんよ!マリーには、負傷した人にどのポーションを処方した方がいいか判断して貰うんだから!」
「それではまるで医師じゃないですか。」
「ハッ!!マリー!それよ!それ!
私達が目指すものは聖女でもあり医師でもある。癒せるし病気を診る事もできる。それってとても最高な聖女じゃない?」
や、やばい。エリーはキラキラした目でわたしを見つめてくる。
どうやらわたしはエリーの変なスイッチ押しちゃったらしい。何とか諦めてもらわなければ。
「あ、あの、医師は、医術の実績も積まなくてはいけないし、ポーションの成分にも詳しくなければならないのですよ?少し勉強する量が膨大になってしまいます。」
「やる気と熱意で出来ないこともないと思うのだけれども・・・。なら、ポーションの事を中心に学んだ方がいいのかしら?調合できるようになるとか。」
「それではまるで薬師じゃないですか。」
「ハッ!!マリー!それよ!聖女でもあり薬師でもある。癒せるしポーションを作る事ができるなんて最高な聖女じゃない?」
「わ、わたしたちがポーションを調合するのですか?」
や、やばい。エリーの変なスイッチを再び押しちゃったみたい。
こうして話しているうちに学習室へ到着した。席に着いてもエリーの言葉は続く。
「そうよ。ポーションの使用期限は冬で二週間、夏では五日よ?遠征する騎士や兵士の為に、なるべく陣営近くで新鮮なものを提供出来るのはかなりの強みだわ。」
これ以上難しい勉強をしなくてはいけなくなるのは勘弁願いたい。わたしの頭は今の勉強でいっぱいいっぱいなのだ。
なんとか反対意見を出そうと、頭をフル回転させる。
「そうなるとわたし達自ら、現地でポーションの素材を集める必要があります。それはいくら護衛が付いているからと言っても危険過ぎます。」
「それなら、私たちも護身術だけでなく、剣術も習った方がいいわね。そうなると馬にも乗れた方がいいわ。」
「それではまるで騎士ではないですか。」
「ハッ!!マリー!それよ!聖女でもあり騎士でもある。癒せるし闘う事もできるなんて最高な聖女じゃない?」
や、やばい。エリーの変なスイッチをまたまた押しちゃったみたい。
もう何もしゃべらない方がいいような気がしてきた。
「えっと・・・。」
今日のわたし、エリーの変なスイッチを押しまくりだ。最近、授業の内容が難しく感じてきたわたしにとっては、これ以上学ぶ事が増えるのはついて行ける自信がない。何とか説得して妥協点を見つけなければ。
説得を失敗してしまえば最悪、聖女兼、医師兼、薬師兼、騎士という超人を目指す地獄の日々が始まってしまう・・・。
そう思いあぐねていると、ここでルーシィ先生が入室され、私たちの会話は中断された。
今日は、エリーを説得できる自信がない。もう少し考えてから、エリーに進言しようと思う。




