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Counter!!  作者: 大和尚
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「そうか……カズに調べてもらって末端はかなり潰せたんだがな……」


「ずいぶん捕まえたっていってたもんな」

「ああ。だが所詮末端だったという事だ。大元を潰さねばなるまい」



 氏家から相談されたクスリの件を夕食、風呂の後で詩織の家に来て信兄に話した。

俺の話を聞いた信兄とおじさんは渋い顔をしている。

クスリ、『エンジェルラダー』を使っていた黒スーツの男を捕まえて以降、かなりの数のクスリの売人を警察は捕まえていた。

暴力団の資金源にもなりつつあったので警察も力をいれて摘発していたのだ。

『エンジェルラダー』は依存性が高く、一度使ってしまうとやめようとしても中々やめられないものだという。

躁鬱状態になり、悪い方だと凶暴性が高まりリミッターが外れて無茶をしたりして度々事件を起しているそうだ。

悪くない方でも、引きこもりになり人と関わるのを嫌う場合も多いのだとか。

信兄達の考えでは《降臨の家》の資金源だろうと推察されている。




「捕まえた奴らから情報を得てはいるんだ。どうやら周辺の県で売りさばき、残った物が闘京へ来ているらしい」


「ん?闘京がメインじゃないの?」



 信兄達警察も遊んでいた訳ではないという事だろう、ちゃんと取り調べは行われていた。

周辺の県?残った物?

俺はあれっ?と思ったのでそのまま聞き返した。

こういうのって普通は人が多く、お金の集まる所を狙われるんじゃないかと思ったからだ。




「俺もおかしいとは思っている。だが、違うみたいなんだ」



 信兄が腕を組んで少し上を向いた。

上、天井に何かある訳ではない。

考え事の仕草だと思われる。

信兄も俺と同じように納得がいってないようだ。




「周辺の県か……」


「なんだろうね?」

「わかんね」



 おじさんも直接関わる事は少なそうだが話には興味ありそうで考え込んでいる。

信兄と同じで腕を組んで少し上を向いている。

親子だなって思った。

詩織が俺に理由を聞いてくるが俺にはわからないので素直に返事をした。




「うーん……品不足で高騰を狙っているとかかな?」


「あーなるほど。需要と供給か。レア感を煽ってるのかも」

「ふむ。さすが詩織、良い所に目をつける!」

「えへへ」



 俺の返事で自分で考え出した詩織が自信なさげながらも意見を言って来た。

メインになるであろう商圏に残り物のクスリが来ている現状。

なるほど、品不足という事で値段を釣り上げつつ稀少性を上げているという考えか。

詩織、よく思いついたな。

俺は感心してしまう。

俺も詩織もネットでの売買には手をだしていない。

商売には縁がないはずなのにな。

信兄がシスコン全開で詩織を褒める。

いや褒めている内容は間違ってはいない。

言う人によって印象が変わるね。




「そうなると欲しい奴は周辺に買い出しに行くわけだ。地元での売買ではないから身元を追いにくい」

「管轄が違うと追いにくくもあるだろう」

「なるほど。それもありそうだ」



 信兄がソファーから前のめりになって詩織から得た考えを自分の中で纏め上げたようだ。

この辺りの早さに頭の良さを感じる。

おじさんの意見にも信兄は納得している。

おじさんは地元密着型だ。

だから実感があるのだろう。

さすがこの兄妹のお父さんといった所か……。




「売人への聴取強化と他県との連携を提案する」


「おー」

「わー」

「うむ」


「その間に、詩織とカズは危険がない範囲で、その友人の力になってやってやれ。若い奴の間でしか解らない事があるかも知れないからな」


「わかった!」

「おう!」

「無理をしちゃいかんからな?危ない所へ行ったりするんじゃないぞ?」

「「はーい」」



 信兄は詩織の意見を主軸に置いて捜査を進める気になったらしい。

他県との連携か……大変そうな気がするけど、そこは信兄なら何とかするだろう。

信兄はそういう人だ。

俺や詩織がパチパチと拍手。

おじさんも頷いている。

信兄は詩織と俺にもやれる事があると言って来た。

氏家とそのダチ、後輩から話を聞いたり伝手を追ったりだな。

詩織の元気な了承の返事に続いて、俺も返事をした。

もちろん頑張るさ。

そこへおじさんからの忠告。

主に詩織に言っているんだろうけどね。

心配させるのが目的ではないので従いますとも。




「むずかしいお話は終わったかな?」

「どうかしら?えーちゃん、もうちょっと苺を食べる?」

「食べるー!」


「私もー!」

「それじゃ俺もー!」


「あらあら」



 ダイニングにいる英二からの声。

食事を終えてからはおばさんと話をしてもらっていた。

おばさんには頭が上がらない。

感謝しております。

もっともおばさんは英二を可愛がってくれているようなので負担は少ないかな?

苺と言う言葉が詩織にも聞こえたようで、立ち上がって向かった。

俺もそれを追う。

難しいお話は終わり。


 おばさんは楽しそうに笑った。









「じゃー、放課後な。あっちには連絡を入れたから問題ない」


「おう。警察も動いているから大丈夫だ」

「そうか……よしっ!やんぞ!!」

「おーう!」



 氏家には昨日連絡を入れておいた。

信兄からの依頼をこなすためには氏家の協力がいる。

氏家もダチや後輩を助けたいと思っているのでこっちからの提案を断ったりしなかった。

警察が動いていると聞いて複雑そうな顔をしていたがね。

ダチや後輩の罪、その程度が心配なのと助けてもらえるかもという期待で複雑なのだろうと思われる。

それでもやる気になってくれているのが伝わって来た。

よっぽどダチと後輩を心配していたのだろう。

ごつい脳筋だが良いヤツだ。

生暖かい目で見てしまう。




「あ゛?なに睨んでんだよ!」



 睨んでねーよ!?

解せぬ。



 そうして放課後、氏家のダチや後輩に会う手筈となった。









 氏家が助けたいと思っている中で一番近くにいたのは後輩達数人だった。

学校、直近の駅側にいるとの事で向かった。

向かった先はこの辺りでよく見るファミレス。

俺や詩織もドリンクバーで何度かお世話になっている店だ。

俺達は学校からそこへ向かって歩いている。

俺達ってのは俺、氏家、詩織、それとなぜか一緒に付いて来た大友さんね。

いつの間にか詩織の隣にいて帰れとも言い難かったので放置してある。

仲良くなりたいけど今はそういう場面ではないのだ。

俺は空気の読める男。斉藤一樹。




「そういや中学の後輩か?」


「うんにゃ、族の方だな」

「族かよ……」

「おう!前に話しただろ?《ユンケルエンペラー》っていやぁ三玉じゃ有名だぞ?」

「ダサ……」

「おいおい!十九代も続いている由緒正しい族だぞ!?」

「凄いけどダサッ」

「てめー!!」



 氏家の後輩。

中学のだろうと思って確認してみた。

違った。

族の後輩らしい。

族の名前はダサかった。

有名つっても俺は知らんぞ?

世界が違ったって事だな。

氏家はなんで知らねーんだ!?って感じで説明してくるが、知らんものは知らん。

ムカついたので貶してやった。


 氏家が俺の胸倉に手を伸ばしたが、その手は止まった。

どうやらスマホに連絡が入った模様。

ポケットから取り出して連絡を見る氏家。

眉間に皺が寄った。




「何やってんだ、アイツ……」


「どうした?」

「俺のダチ、不破ってのが暴れてるらしいんだ!」

「暴れている?」

「ああ。他のダチが止めても止まらねーって!」

「まさか……」

「不破も相談した件の当事者なんだよ!!」


「っち、行くぞ」

「お、おう!!」



 難しい顔になった氏家が呟いた。

何やってんだあいつと。

俺の問い掛けに氏家が答えてくれる。

どうやらクスリの関係者であるダチ、不破ってのが暴れているようだった。

周りが止めても止まらない……クスリのせいで制御が効かなくなってる?

黒いスーツの男もそんな感じだった。

俺は不破ってのが暴れている所へ行くぞと氏家に伝えた。

氏家はちょっと驚いた顔になった。

なにに驚いたのだろうか?

俺がそこまでする事にか?

それとも氏家のために頑張っているようにでも見えたか?

俺にも自分の心境を説明しきれないが仕事だけではないと思う。


 詩織ニヤニヤして俺を見んな!

大友さんは詩織と俺の顔を交互に見ていた。

色々理解できていなそう。




 俺達は動き出した。

氏家にはファミレスにいるという後輩も呼んでもらった。

彼らも暴れているという不破って奴と無関係ではない。

少なくともクスリって共通項がある。

彼らも遠くない未来に同じように暴れるかも知れないのだ。

実感して欲しい。

クスリ、『エンジェルラダー』がもたらす未来を……。

それと共に思った、これはこれから頻発するであろう事の始まりなのかも知れないと。

だが他人事ではないかも知れない……俺の身近でも起こり得る。


 俺はため息を一つ吐いた。

ちょっと気持ちが下にいってしまったのを感じた。




「カズちゃんが背負う必要はないんだよ?責任はお兄ちゃんに任せて出来る事だけやろー!」



 そんな俺を見てか詩織がそう言ってくれた。

俺はいつの間にか傲慢だったらしい。

俺が責任を負う?

バカか!

俺はそんな偉い奴ではない。それを一番よく知っているのは俺だ!

ひょんな事から得た力『カウンター』、それで頼りにされて勘違いをしていた。

詩織の笑顔が眩しい。

詩織の言う通り出来る事だけやろう。

後は出来る人達にぶん投げよう!そうしよう!!

肩が軽くなった気がした。


 俺って単純だ。



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