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Counter!!  作者: 大和尚
47/63

2-33

固定された数字が変動していたとご指摘を受けたので2-31、2-32の話を修正しました。


2-33




「こっちよ」



 アゲハが先導してくれている。

既に薄暗くなって来た。

ざわざわとした喧噪の中、俺達は繁華街を歩いているのだ。



 あの国会議事堂で再び異常数字を見てから二日経っている。

対象から固定した数字を解除したくなかったので、何回も力で調べられる場を作るためあの場から大人しく去った。

あの場ではブレザーの制服は浮きすぎだった……俺達がスーツであれば何とか視界の隅で調べられたはずだ、ちょっと悔しい。



 学校帰りの俺と詩織、それからアゲハの三人で行動中。

目的地は株木町の奥にあるらしい。

何のためか?

アゲハが除霊師の所へ連れて行ってくれるのである。

異常数字の持ち主であるSPの松永さんとの場は信兄達が探すか作ってくれる。

だがまだ連絡は来ていない。

その前にアゲハが除霊師の話を持って来てくれたのだ。

どちらも調べなくてはならない情報だったのでアゲハに付いて来た。




「こんな時間なのにもう酔っ払いがいるよ……」

「だな」

「客引きもいるわね」

「おぉ、都会は怖い所じゃあ……」

「怖いねぇ……」



 俺達は繁華街の様子を伺いながら進んでいたり。

まだ完全には暗くなっていない時間帯。

それなのに酔っ払いやらなんやらがいる。

大学生らしき者達も騒いでいる。

カオス。

都会、怖い、俺はそう思いました。

詩織も同意してくれている。

おら、田舎にけぇるだよ。


 まぁ、半分冗談ではある。

そんな中でアゲハはどんどん先へ進む。

アゲハは、こういう場所も慣れているのかなと思ってみたり。

さすが社会人!と尊敬の目を向けてもみた。

そんなアゲハは灰色のスーツパンツ姿。

パンプスといい動きやすそうな恰好だ。

拳銃を持っているかどうかは知らないが浅井さん仕込の警棒術があるから警棒は持ってそう。

毎週のように、浅井さんから指導してもらっている俺達。

柔道、剣道、護身術。

使えるものは何でも組み込んでいる浅井流。

身体能力が上がって反応は出来るんだが、気づくと畳の上を転がされてばかりなんだよね……。

技っていうのは凄いと思います。はい。

俺と詩織は途中で制服から私服へ着替えている。

前回の失敗を繰り返さないためだ。

足が付く可能性が高い制服姿は晒さない。

薄手のジャケットにチノパン、デッキシューズ。

詩織はアゲハと似た格好でスーツ姿だ。

俺もスーツを買おうかなと考えましたね。

顔の幼さは隠せないかもだが、後姿くらいなら騙せるだろう。


 アゲハの後ろを歩く俺達であった。




「ここよ」



 アゲハは怪しげな建物の前で足を止めてそう言った。

建物には看板がある。

『占い館』

看板にはそう書かれていた。

雰囲気あるね。




「怪しげ」

「占い!楽しそう!!」


「さぁ、行くわよ」


「うい」

「はーい!」



 俺と詩織はそれぞれに思った事を言った。

俺は怪しい雰囲気を感じた。

対して詩織は楽しそうな顔。

声からしても楽しそうで、除霊師はどうでもよくて占ってもらいそうな感じになっている。

そっか……除霊師に占い師か……まったく無関係でもなさそうなのが怪しい。

そう言う意味だと陰陽師も呪術師、魔法使いも同類だな。

俺からしたら大差ない。

そんな俺は異能者。

ちょっと笑える。



 アゲハの先導で建物に入る俺達。

雰囲気を出すためか薄暗い。

電灯ではなくランタンや蝋燭に見える明かりを使っているね。

割と凝っている。

入口から真っ直ぐ奥へ繋がる一本の通路。

両脇には扉がいくつかあるようだ。

その扉の前に並ぶ人達の姿……結構いる。

入口から入った所から見えるだけで二十人くらいはいそう。

占いの客。

繁盛しているのではないだろうか?




「何人も占い師がいるのよ」


「へー!楽しみ!」

「おー」



 アゲハが説明してくれる。

利用した事があったのか、調べたからなのかは判らない。

特にスマホでナビを使っていなかったようなので来た事がある線が濃厚。

アゲハは占い好き。

俺の中で決定した。

尚、未定な模様。


 アゲハは通路を先に進む。

外観からしたら扉の奥の部屋はそれなりに広いはず。

占い部屋以外に休憩できるスペースとかがありそう。


 そんな事を考えていたらアゲハが立ち止った。

他の扉の前よりお客が少ない。

二人しか並んでいない。

人気ないのかな?

っと俺は占いのために来た訳じゃなかった。

詩織とは違うのだよ!




「他の時間ではアポが取れなかったのよ」


「仕事中に来いって事ですか?」

「そういう事。お金を払って時間を買いなさいってね」

「むぅ」



 アゲハが後ろにいる俺達を振り返ってアポが取れなかったと言って来た。

占い師、いや除霊師の連絡先は知っていたのかな。

伝手って言ってたもんね。

それでもお金を払って会いに来いっていうんだから、関係はお察しかな?

しかし、ちゃっかりしてるな除霊師。

何となくふてぶてしいおばさんの顔が思い浮かんだ。

きっと黒いローブとか来てるに違いない。

それと水晶!水晶だろう!

いかん、俺も詩織ほどではないがテンションが上がっている。

雰囲気にのまれたのかも知れない。

そういう場所だ。

日常から切り離された空間。

ちょっとワクワクする。




「課長代理から聞いたわ。異常数字の持ち主についてね」



 待ち時間を利用して俺達は情報共有、それから雑談に入るのであった。










 二人しか並んでいなかったが列は進まなかった。

部屋の中から女性が一人出て来て、一人入れ違いで入っていった。

なるほど人気がない理由の一つかも知れない。

スイーツを食べるために待つのが苦にならない女性陣でも気になるほどの待ち時間だろう。

だが出て来た女性は満足そうな顔に見えた。

時間をかけるだけの価値はあるのかも……。




「長椅子くらい置いて欲しいね……」


「カズちゃん、鍛え方が足りないよー」

「まったく若いのにだらしないわね」


「くっ……」



 俺が文句を言うと詩織とアゲハからディスられた。

酷い。

素直な気持ちを言葉にしただけなのに!

きぃっ!




「一人で来ている人はスマホを弄ってるし、複数なら私達みたいにおしゃべりできるじゃない」


「ねー」



 アゲハと詩織は待ち時間が苦にならないタイプらしい。

俺はダメだ。

耐えられないかも知れない……。


 そんな気持ちが湧き上がって来た所で扉が開いた。

また女性が入れ違いになる。

出て来た女性はやはり満足そうな顔。

丁寧でいい仕事をする占い師。

そんな気がした。

ふてぶてしいおばさん占い師ではなく、ぶっきらぼうな仕事人っぽい爺さんの姿が浮かんできた。



 次は俺達の番だな。

ようやく待ち時間に終わりが見えて来た。

既に一時間近く経っている。

俺は詩織とアゲハの話を聞きながら入口の方を見た。

女性のお客さんばっかりだなー。

場所柄かキャバ嬢みたいな派手な女性が多い。

暗めな雰囲気にそぐわない気がする。

それが異様な雰囲気を醸し出しているね。


 俺は時間潰しに女性の数字を調べるのであった。

せっかくだしね?

多少はね?





 扉が開くまで遊んでいた。

扉は開いた。

入り口のだ。

そして知った顔を確認。

ええ、転校生の金髪君でした……。

またか!またこいつか!

そう思っていたらキョロキョロしていたジョージが俺を見つけた。

手を振ってくるジョージ。

ざわつく館内。

派手なお姉様方が騒いだのだ。

くそう、イケメン外人めっ!

そう思うと同時に扉が開いた。

俺達が並んでいた占い師がいる部屋の扉だ。




「カズちゃん!行くよ!」



 俺は複雑な感情を抱えたまま出て来た女性とすれ違うのであった。

ジョージ、本格的にストーカーだな。

俺か詩織を徹底マークしているっぽい。

温泉もそうだったが居場所がばれているっぽい。

どうなってんだ!?

力か?

魔法か?

そんな事を考えながら暗い部屋に足を踏み入れた。




「いらっしゃい」


「来たよー」

「お願いします!」



 思ったより部屋は広かった。

六畳くらいありそう。

俺達三人の客でもせまっ苦しくない。

ぼんやりした明かりが良い雰囲気を醸し出している。

机、それにかかった黒い布。

その上に載っているのは紫色の小さな座布団に乗った水晶玉。

そして本命の占い師兼、除霊師は女性だった。

声からして若い女性だと思う。

黒いローブに黒いベール。

雰囲気満点である。

形は大事だよね。

俺達は占い師に促がされて椅子に座った。

ちゃんと複数用意してあったよ。

丸い木の椅子ね。




「さて……何を調べましょうか?」



 占い師の女性はアゲハからの連絡を受けているはずだが占いに入った。

まぁいい。

用があるのは数字だ。

俺の力で勝手に調べるだけだぜ。

 

 つーか、既に詩織が恋愛運を聞いてます。

詩織とアゲハは気にしなくていいか……好きにしてくだされ。

俺は仕事に入る。


 除霊師が霊を払うと人殺しになるのか?

今日ここへ来た目的はこれだ。

これが解れば《降臨の家》本拠地にいた異常数字の持ち主である松永さんが本当に人を殺したのかが判明する。

まだ彼が除霊師って線もあるからな。

『カウンター』『霊を祓った回数』

俺は力を使った。

口には出さなくても使える。

使い勝手はいい。

体が疲れるとかのデメリットも感じられない。

ありがたい力だ。


 占い師の女性の頭上に出た数字は二十三。

除霊師として、この数字が多いのか少ないのかは判らない。

占い師との兼業をしている所をみるに除霊師の仕事は多くないのかもね。

でも除霊師って看板をぶら下げているのではないから依頼が来ないと除霊の仕事はしないのかな?

何となく除霊師ってのは隠しているっぽい。


 さて、ここからが本番だ。

少し緊張する。

楽しそうな詩織とアゲハの声。

その隣で黙り込む俺は不審者だろうか?

興味のない占いに付いて来させられた男で通るといいな。

『カウンター』『人を殺した回数』

占い師の女性の頭上に出た数字はゼロ。

霊を祓うのは人殺しではないようだ。

ふむ……松永さんは物理的に殺したって事だ……。

あの一万を超える異常な数字……。

判明した事実に身が震えた。



 少し呆けたが、詩織達が楽しそうに占ってもらっているのを横目に力を使った。

せっかく除霊師という特殊な職業の人がいるのだ、色々調べておきたい。

そう思ったのだ。

『カウンター』『除霊師の知り合いの数』

『カウンター』『霊障を受けた回数』

『カウンター』『霊を見た回数』

主に霊に関わりそうな事を思い付くままに調べていった。

除霊師と言っても見た霊を全て除霊する訳ではないと知った時は意外だと思った。

やはり仕事だからだろうか?

興味深い。

ちゃんと話も聞いてみたいな……でもこの人だとお金がかかるのかぁ……。

俺は楽しそうに占ってもらっている詩織とアゲハを見てそんな事をぼんやりと考えていた。



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