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Counter!!  作者: 大和尚
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2-16

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「この優しい感じの味わいがサイコーだね!カズちゃん!」

「おう!キノコがいいんだよ!これ!」

「タケノコ、ニンジン、油揚げ、美味いもんだな」

「シンラお姉ちゃん、お兄ちゃんのご飯、美味しいでしょー!」

「ああ、美味いな!英二!」

「えへへ」


「くっ!えーちゃんがぁ」



 季節のモノはキノコくらいだが上手く作れた炊き込みご飯。

みんなからの評判も良い。

作った甲斐があったしシンラにも喜んでもらえた。

英二が拾って来た白猫を助けてもらった恩をこれで返したなんて思っていないぞ?

それは別だ。


 英二はシンラにも懐いた。

ニコニコして俺が作った夕飯を食べながらシンラに話しかけている。

シンラも獰猛な笑顔ではない方の笑顔で英二に返事をしている。

和やかな食卓。

ハンカチを噛み絞りそうな様子の詩織……英二のお姉ちゃんポジションを奪われるのを危惧している模様。

それでも箸は止まっていない。

既に炊き込みご飯、二杯目に突入。

俺が作ったと言ったが、結局全員が何かしら手伝ってくれたのだ。

シンラも普通に料理が出来ると解った。

外見で判断してはいけませんね!



 俺達が囲んでいる食卓、そこから見える居間のソファーで白猫が寝ている。

バスタオルで作った寝床でスヤスヤだ。

もう息も荒くないし、顔も穏やかだ。

それでも俺達の部屋だと食事中に見えないのが不安だった英二のために、こうなっている。

英二が学校の帰りに見つけて拾って来た具合の悪そうだった白猫。

シンラが身を削って何か(・・)をしてくれた。

身を削ってと言うのは比喩ではない、親指にナイフを刺して血を出し、それを白猫に飲ませたのだから。

それが何なのか聞きたい。

凄く聞きたい。

だが恩人に向かってそれはない、そう思った。

向うが話してくれるまで待とう。

俺達を仲間だと言ってくれたシンラだ、いつか話してくれるだろう。

英二、詩織と楽しそうに話しながら食事をしているシンラを見て確信を深めている俺であった。




「デザートも用意すれば良かったな……失敗失敗」


「桃缶ならあるよ!」

「お、桃缶!いいじゃねーか、英二!」

「シンラお姉ちゃん、一緒に食べよう!」

「おう!」

「え、えーちゃん、私、私も食べるー!」

「うん、もちろんだよー!」

「えへへ」



 夕飯を食べ終えて一息ついた。

そこで足りないモノに気付いた。

ケーキかプリン、その辺りくらい用意しておけばよかった。

俺の呟きを聞いた英二が食器棚の下にある引き戸を開けて桃缶を取り出し掲げてみせた。

何やら誇らしげ。

俺が返事をする前にシンラが反応。

桃缶が好きなのかな?

英二も桃が好きなので嬉しそうな顔。

一緒に食べようと言う英二の言葉に狼狽える詩織。

英二の中では、ちゃんと詩織もカウントされていたので詩織は安堵の表情になった。

俺?俺は英二のお兄ちゃんですよ?当然、英二は四枚の皿を用意してくれましたとも!

白猫の分ではあるまいて……。





「あっ……」

「ん?」

「あれ!」



 英二が居間の方を見て目を丸くしたのは桃を食べている時だった。

英二の呟きに今度は俺が反応した。

桃の刺さったフォークを持ちながら英二が居間を指差す。

俺だけでなく詩織、シンラも一斉に居間の方を見た。


 ソファーの上にはバスタオルに包まれた白猫がいるはず……。


 白猫は動いてなかった。

まだ寝ているらしい。

だが、そのバスタオルの側には違う白猫の姿があった!




「えっ!?二匹!?」

「いつの間に!?」

「わぁっ!少し大きい白猫さんだっ!綺麗!」



 二匹の白猫になっていた。

詩織が言うように寝ている白猫より大きい白猫がバスタオルの側でお座りをしていた。

寝ている子は子猫で生まれてそれほど経っていないと思われた。

白い毛の中に肌色も見える子だった。

しかしお座りをしている少し大きい白猫は真っ白で美しい。

美猫だ。

スラッとしていておすまし顔。

詩織が興奮するのも解る。

まぁ、いつの間に家に入ってきていたのかは謎ではあるが……。



 俺達は居間へ移動する。

俺達が近寄っても逃げない白猫。

それに警戒もしていない?

お座りをした格好から動かない。

寝ている子の親か姉妹なんじゃないかと思うが、どこかで飼われているのかな?

人を恐れないなんてさ。

因みに寝ている子はメスだった。

付いてなかった。

ええ。




「こんばんわー」



 英二がニコニコしながらお座り白猫に向かった。




『こんばんにゃ』


「「「「!?」」」」



 英二の挨拶は返事を期待していないモノだった。

親が赤ちゃんに話しかけるような感じの挨拶。

しかしお座り猫から返事があった!?

こいつ脳内へ直接!?

たぶん目の前のこの白猫からで間違いないと思う。

他にはいないはず!

そんな白猫は身動き一つしていない。

口も開けていなかった。

俺達は思わぬ返事に動揺する。

ええ、俺だけじゃありません。

詩織、英二、シンラ、全員が目を見開き口を半開きにして茫然としているのが目に入った。

みんなの前に出て謎の白猫から守るべきか?

そう思ったのだ。




『驚くのも無理はないにゃ。でも警戒しないで欲しいのにゃ』



 なおも脳内へ話しかけてくる白猫。




「お、おう。ってこれ念話ってヤツか?」


『そうにゃ。うちの子を助けてもらったみたいにゃね?ありがとう』


「そ、そっか。苦しんでいた子を拾って来たのは英二。助けたのはシンラだ」

「ぼく、苦しそうにしていたから何とかしてあげたいって思ったんだ!」

「あ、あたしは英二の想いに動かされたんだ」

「私は……み、見守ったんだよ!」



 動揺が収まらない俺。

それでも何とか返事を口にする。

うちの子?

お座り猫は寝ている子を見てお礼を言って来た。

慈愛に満ちた目だと思う。

母娘だったようだ。


 俺は助けたのは英二とシンラだとお座り猫に伝える。

お礼を言ってもらえるのはこの二人だ。

俺の口から名前が出たせいか、英二とシンラも何とかしゃべった。

それぞれの想いを口に出す二人。

みんなもお座り猫が念話で話しかけてきている事を疑っていなそう。

そして詩織よ……間違っていないがそれしか言えなかったのか?

黙ってた方が賢明だったと思うぞ?




『生まれつき体の弱い子でねぇ……でも好奇心は強くて、ちょっと目を離した隙にいなくなっちゃったのよ……本当にありがとう』


「良かった!助けられて良かった!シンラお姉ちゃん、ありがとう!」

「英二……お前が助けようと思ったからだぞ?そうでなければあたしは動いたかどうか……」

「きっと助けたよ!シンラお姉ちゃんもやさしいもの!!」

「へへっ、そうかな?ありがとよ英二」

「も!ちゃんとカウントされてるっぽい!やった!」

「お、俺って可能性も……」


『ふふっ』



 お座り猫は寝ている子を見つめている。

どうやら生まれつき体が弱い子だったらしい。

英二が見つけて良かった……。

俺達の様子を見て笑ってくる白猫。

笑われてしまった。


 あ、尻尾を振った……!?

尻尾が二本ある気がします……。




「猫又?」



 猫又ってヤツか!?

お座り白猫さんは妖怪だった模様!

念話を使える時点で只者ではないと思っていましたが!!

思わず口に出してしまった。


 あれ?尻尾が一本に……器用な猫、いや猫又だな。




『そうにゃ』


「ねこまたってなぁに?お兄ちゃん!」

「えっと……長生きした猫がなるって言われている……妖怪?」



 お座り猫が俺の呟きに答えてくれた。

英二が俺の方を見て聞いてくる。

知らないようだ。

俺もあまり知らないけど、知っている事を答える。

何と言ったらいいのか解らず、そのまま妖怪と呼んでしまった。

不味い?

俺は、そう思ってお座り猫の顔を見る。




『合ってるにゃ。うちは猫又。妖怪と呼ばれている存在にゃ』


「わぁっ!凄いね!」

「お、おう」

「わー!」



 妖怪呼ばわりしてしまったが怒られなかった。

淡々とした口調の念話。

人になんと呼ばれようがどうでもいい、そんな事を言ってる気がする。

詩織が大興奮。

今にも猫又さんを抱きしめそうな勢いだ。

それにちょっと引いているシンラ。

未だに動揺が収まっていないのかも知れない。

興奮した詩織に引っ張られたのか英二も興奮。

両手を上に上げて喜んでいる。




「寝ている子を連れて帰るのか?」



 みんなの興奮を他所にお座り猫に問いかける。

助けた礼を言うためだけにここへ来た訳ではないだろう。




「えっ!?」

「そっかぁ……」

「仕方ないさ」



 みんなの興奮が収まってしまった。

水を差してしまってすまない。

もっと後で言えば良かったか。




『そうしたいにゃ……だけどこの子はどうなってるにゃ?』



 心配そうな目になるお座り猫。

目と言ったけど顔が寝ている子に向いているから俺がそう思っただけだけど、言葉からして間違っていないだろう。

猫又でも母娘の情は変わらないのかも知れない。

少し安心。




「あたしの()で治療したんだ。あたしにしか効果のない回復力、治癒力……だけどあたしが願えば他のモノにも与えられるんだ……」



 シンラがお座り猫に答えた。

特に意を決して言った訳ではなさそう。

気負いのない返事。

でも初耳だ。

他のモノにも恩恵があるんだな。

いや、寝ている子にした事で何となくは解っていたんだ。

俺達を仲間って呼んでくれた事は、本当の気持ちらしい。

素直に嬉しくなる。

俺の隣にいる詩織も笑顔でシンラを見ている。

俺と同じ想いなんだろう。




「シンラお姉ちゃん、凄いね!」

「そ、そうか?この子を助けられて良かったぜ」


「シンラ、俺達に()の事を教えてくれてありがとうな」

「だね!ありがとー!」


「ば、ばか!お前らのためじゃねー!英二とこの子のためだ!」

「それでもさ」

「うん!」

「えへへ、シンラお姉ちゃん好きー」

「え、えーちゃん、私もえーちゃんが好きだよ!?」

「お姉ちゃんも好きー」

「えへへへへ」



『人は色々だにゃ。お前さん達は良い子にゃ』



 英二がシンラにキラキラした目を向けた。

俺達の力の事も知っている英二、素直に力の事を受け止めている。

俺も英二に続いて気持ちを伝える。

詩織も俺に続いた。

俺の言葉が意外だったのか、照れるシンラ。


 俺達のやり取りを見ていたお座り猫が言って来た。

人は色々だと。

そして俺達は良い子だと。

俺達は、そう限定した言い方からしてそうではない人も見て来たのだろうと思われた。

少し複雑。

褒めてもらえたのは嬉しいが、人の嫌な所も知られてしまっていると思ったからだ。

でも少しでも良い見方をしてもらえるようになるなら良い事かな?

前向きに考えてみた。





 俺達は寝ている子の側で話を続けたのであった。










 お座り白猫は寝ている子の状態が良くなるまでうちにいたいと言った。

母親になんて言おう……。

英二は期待した目で俺を見るし頑張るしかない!

寝ている子猫も可愛いしな!


 因みに子猫には名前はないそうだが、お座り猫こと猫又さんはマタという名前だそうだ。

英二が子猫に名前を付けたい!と言ったら付けてもいいとの事。

各人から候補が上がりまくった!

シロ、タマ、猫の定番から始まり、雲、白雪、白餡、わたあめ、マロン、マカロン……色々な名前の候補。

あ、お菓子は詩織の提案ね!

一晩の間に考えて明日みんな候補を一つずつ上げて投票となった。

ふっふ!俺のセンスを見せつけてやるぜ!




 話はシンラの事にも及んだ。

『特対』に来るまでの話も聞いた。


 シンラは元ヤン、元レディースだった。

自身の治癒力については幼いころから気付いていたそうだ。

両親はケンカばかりで家は殺伐としていたらしい。

それでシンラは家に帰らない日が増えてレディースの先輩に拾われたと。

そして事件は起こった。

バイク事故。

救急車を呼ばれるほどの事故だった。

そして発覚する力。

両親の承諾、研究室へ連れていかれ、実験三昧。

どうやらシンラの両親はお金でシンラを売渡したようだ。

そうシンラは言った。

だがシンラの力は他人には影響を及ぼさない。

シンラが願わない限り……。

そこから助け出したのは『特対』の佐久間さんだった。

レディースのシンラを知っていた佐久間さん。

シンラの状況を知り、信兄に働きかけてもらったと後から聞いたそうだ。

シンラにしか効果のない力、サンプルは色々と取られたが解放されたというシンラ。

家には戻らなかった。

そして『特対』のお世話になったと。

それでシンラは佐久間さんのいう事には従順なのか。

恩を感じたんだろうなぁ。


 シンラは珍しく感情を表に出さず淡々と話していた。

それが逆にシンラの怒りを感じさせてくれた。

実験の(くだり)では嫌そうな顔をしていたけれども……。

何があったのか詳しくは言いたくなさそうだったので聞かなかった。

佐久間さん、信兄、心優しいシンラを助けてくれてありがとう……今度、肩でも揉みますね!


 浅井さんに憧れ強くなるため鍛えている所だとも言っていた。

詩織もそうだと言い意気投合。

強い女子が増えそうだ……。




 そんな話をしているうちに夜も更け、うちに泊まる事に……。

メンバーは詩織、シンラ、白猫母娘。

シンラを泊めると言ったら楽しそう!と詩織が言い詩織の参加も決まったのであった。

俺以外のメンバーで客間を占領した。

英二、女に囲まれて寝るとか……目覚めが早まらないといいな。

猫又さん頑張って!



 明日、白猫母娘の事をうちの母親に説明する仕事がある俺は頭を悩ませるのであった。



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