閑話1-1
本日、閑話を三つ。
短いです。
閑話1-1
「それでは儀式を始めます」
「「「ははっ!」」」
わたくしこと、ターリキ王国の第一王女であるホンガーンが宣言すると魔術師、護衛の兵士達が一斉に返事をしました。
儀式……追い込まれた我が国を救うための大切な儀式。
わたくし達の目の前、足元には魔法陣。
建国当時からあると言われている我が国の秘密兵器。
前回の儀式は百年以上前だったと聞いています。
緊張しますね。
魔法陣には、既に奴隷や敵からの魔力が充填されています。
有効活用というものです。
亡くなってしまったのは残念ですが我が国のためになるのです。
きっと喜んでいる事でしょう。
間違いありません。
薄っすらと白く光る魔法陣。
さすがに緊張しますね。
儀式を行うには王家の血、そして特殊な力を持った者が必要なのです。
幸い、わたくしには力がありました。
大切な役目、全うして見せます。
これを終えたら、婚約、結婚が待っています。
どこかから変な言葉が聞こえた気がしました……空耳でしょうか?フラグとは一体……。
気にせず儀式に集中します。
両手を魔法陣に向けて、力を発動。
手の先に集まる魔力。
そしてわたくしの手と魔法陣の間に魔力線が繋がれました。
くっ……体が怠くなってきます。
頭がぼんやりとして目を閉じたくなってきました……。
寝ちゃいけない!誰かが叫んだ気がします。
膝をつかないように踏ん張ります。
あら、はしたない言葉を使ってしまいましたわ。
失礼。
頑張ります。
そして……魔法陣の光が大きくなり……。
部屋が真っ白になりました。
魔術師達や兵士達が「おぉっ!」とか歓声を上げていますがわたくしにはそれに応える余裕がありません。
わたくしの前方に人の気配。
次第に収まってくる魔法陣の光。
緊張の一瞬です。
思わず息を呑んでしまいます。
そして気配の主が見えました!!
やりました!!
大成功です!!……あれ?人数が多くありませんかね?
思わず振り返って魔術師長を見ます。
わたくしの言いたい事が解ったのか、魔術師長は左右に頭を振りました。
想定外?
おかしいですわね。
勇者様、聖女様、賢者様、剣聖様の四人が召喚されるはずだったのですけど……どなたがそうなのでしょうか?
もしかして勇者様が複数?もしくは他の職業の方が複数?
戦力が増える分には構わないかしら?
使い潰して差し上げましょう。
我が国のために頑張っていただきます。
「ようこそ我がターリキ王国へ!勇者様方!!男性が勇者様ですわね!!」
歓迎の意を表します。
ふふん。これが王家の者としての役割ですわ。
これから籠絡して差し上げます。
隷属の術式が組まれていれば話は早かったのですけど……残念ですわね。
魔術師長でも解析出来ていない魔法陣。
改造も無理なのです。
男性二名と……女性が四名。
女性が多いのは前回と同じかしら。
面倒そうですけど、わたくしが負ける訳がありません。
ええ、そうですとも!!
「えっ!?俺?俺が勇者!?」
男性が答えてくれましたわ!ええ、ええ!目つきの悪い方でなくて良かったのです!
ホッとしました。
籠絡するにも気合の入り方が違いますからね。
答えてくれた方はイケメンです!
フツフツとやる気が溢れて来ましたわ!!
わたくしが勇者様に返事をしようとした所で足元が光り出しました。
ええ、魔法陣ですの……。
また魔術師長を見ます。
この人、頭を振ってばかりですわね。
役に立たない人ですこと!
もしかして無能なのかしら?
今度、お父様に告げ口してあげましょう。
「うわぁっ!?」
「ひぃっ!」
「目が!目がぁっ!!」
またしても部屋が真っ白に染められました。
「男性と女性が消えましたわ……」
収まった光の後には、人数の減った勇者様一行。
まぁ、いいですわ!
たぶん関係ない者が巻き込まれたんですわね!
余計な仕事が減りました!
わたくしの仕事はこれからねっ!!




