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また書きます。
暇つぶしにどうぞ。
設定ミスしたので、再投稿。
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俺は斉藤一樹。
八兆寺高校の新一年生だ。
中肉中背で短髪。
ダチからは、目つきが悪いとよく言われる。
それ以外は普通だと思いたい顔。
小さい時から目つきの悪さでよく絡まれた。
恩恵は受けていない。
勉強は、まぁまぁ。
運動は球技でなければ結構いける。
中学の先生曰く、お前は一人でやるスポーツ向きだな、だって。
協調性がないって事だろうか?
ってうっさいわ!!
趣味は特にないが薄く広く手を出して模索中。
可能性を探している旅人って所。
今日は、母親が夜勤なので部活もせずに帰宅している。
部活は拳闘部。
まだ走らされてばかりでつまらない。
因みに初心者だ。
目つきのせいで絡まれるから少しでも強くなりたかったんだよ。
柔道とかも考えたけど臭そうでね……。
因みに、俺はそこそこ強い。
絡まれた甲斐があったというものだ。
上下関係のうるさそうな先輩に目を付けられて止めようかと思ってもいたり。
ちょっと早く生まれただけで威張るなっつーの!
少なくとも、礼を言うほど世話になっちゃいねぇ!!
「カズちゃん!聞いてるの!?」
「なんだよ、うるせーなぁ、詩織」
「うるさいってなによ!せっかく心配してあげてるのにっ!!」
「よけーなお世話だっつーの」
「なにをー!!」
駅のホームで立って電車を待っている俺の横でうるさいのは詩織。織田詩織だ。
口うるさい幼馴染だ。
マンションの隣に住んでいる女だ。
小学校からの腐れ縁は高校になっても切れていない。
俺と一緒に遊びまわっていたせいか口の悪い女だ。俺限定で……。
ショートカットに大きい目。
鼻筋も通っているし顔も小さい。
そんな顔のパーツがバランスよく配置されているのだ。
身長も百七十ちょいの俺と大差ない。
勉強も運動も俺より出来やがる。
それからスタイルも悪くないんだよなぁ……胸はこれからに期待らしいが!!
しかしブレザーのチェック柄スカートが短くないか?俺だったら落ち着かないと思う。
それくらい短い。
まぁ、外から見ている分には構わんが!
ええ、構いませんとも。
そんな詩織は男からモテる。
今も他の野郎どもから俺に向けて殺気の籠った視線。
歯ぎしりすら聞こえてきそうだ。
俺のせいじゃないのに……。
「ヒカル!遊びにいこうよぉ」
「えーっ、私と行くんだよ!」
「光ちゃんは私と約束があるの!」
「まいったなぁ」
殺気の籠った視線は俺宛てではないかも……。
後ろに並んでいる男一人、女三人に向けられている可能性大。
ハーレムっぽいもの!
男は参ったといいながらも、全然困っていなそうな声。
良かった、やっぱり睨まれているのは俺じゃない!
ファーンッ!!
電車がホームに入って来たようだ。
「キャッ!」
そんな時に足元が光った。
眩い光。
目が眩む。
俺は腕で顔を覆った。
同時に詩織の声が聞こえた。
後ろからも似たような悲鳴。
顔から腕をどけ、ゆっくりと目を開く。
そこには……。
「えっ!?」
「なに!?」
「うそ……」
「足元に魔法陣だ……まさかっ!?」
後ろの男が言うように俺の足元にも白く光る円陣があった。
魔法陣?これが?
俺もラノベを多少嗜んでいる。
後ろの男の言葉、その続きも想像が付く。
まさかっ!?異世界?
そんな所だろう。
うん。
俺もそう思う。
だってここ、駅のホームじゃないもの。
薄暗い石造りの部屋。
ランタンの明かり。
そして目の前には白いローブ姿の金髪美人。
黒いローブを着て顔を隠した怪しげな奴らと、揃いの鎧を着けた騎士っぽい奴らもいる。腰に剣を差し、それに手を掛けているのが見えた。
「カズちゃん……」
隣にいた詩織が俺のブレザーを掴んでいた。
不安そうな声。
詩織にしては珍しい。
いつも強気だからな。
「$%&#$#&&=#!」
白いローブの美人さんが両手を広げて何かを言っている。
英語……じゃないな。
「えっ!?俺?俺が勇者!?」
俺の後ろから大声。
耳痛い。
勇者?後ろの男がか。
もしかしてこれは……俺が確信を持った瞬間、またも光る床。
「あれっ!?」
「知ってる駅のホームだ……」
俺と詩織は八兆寺駅のホームに立っていた。
電車が来そう。
そして俺の背後から人の気配が消えていた。
ただ、殺気の籠った視線は戻ってきている。
何だコレ……。