第3章1話
■伍長閣下の記述的な奴
~平行世界という世界線上にて~
私の記憶が真っ先にあるのは元の世界に戻ってきたときだった。
意識は確かにあったような気がした。だが後から聞いてみれば1時間も眠ったままだったという。何か強烈な痛みが走り私は目覚めた。
その時の痛みと首相! ルール、爺ちゃんたちの驚愕と喜びに満ちた顔は今でも忘れない。
その後医師に取り囲まれ、どこかの部屋に連れていかれ、精密検査漬けにされた後、なぜかVIP用の病棟へと運ばれていった。
そして私は彼らに私が記憶していることを語った。
最初に目覚めた場所は…そう日本の大阪市内の公園だった。
大阪市内と判断できたのは偶然看板に表記されている地名でそう思った。
そして…そう! その後コーヒー花伝という喫茶店でコーヒーを頼み、そこでルーズルートそっくりのマスターと出会った。
さらにその店でこの世界で日本国とス連邦が接触しようとしていることに驚愕した…。だが残念なことに、その後の記憶がきれいさっぱり抜け落ちていた。
なぜだろうか? だがそのことを首相たちに語ったとき彼らは険しい顔をして、強制帰還により記憶が抜け落ちているということを明かした。
だが私が一番驚いたのは、病室にやってきた私が助けた少女…失礼、少年がまさかこの国の国家元首だったということだ。
新聞記者の話で歳というかまだお若いということは分かっていた。だがまさか…ねぇ…うん
■記述はここで途絶えているかもしれない
「はぁ~」
記述用のメモ帳からペンを下ろし深々とため息をついた。
彼は前述の通り、目が覚めた後ありとあらゆる精密検査を受けVIP用の病棟へと連れていかれ現在に至るというわけ。
何がすごいって、このVIP用の病室ってダブルベッドだわ、トイレからお風呂は室内にあるし護身用のレールガンがあるし…えっ!?
そう、この部屋の壁にはいつでも発射できるレールガンが備え付けられていた。
なんでも護身用に必要なんだとか…。なら拳銃とかでいいじゃん! と伍長はツッコんだが、それだと壁が華やかにならないからと、医師はいった。
「退院まで1日はおかしくないか?」
と、
「あはは、まぁそうですわね。こんにちは伍長さん、お邪魔しております」
部屋にいつの間にか一人の女性が入ってきていた。
そしてそれを見た伍長は、『どこかで会ったかなぁ? でも私の名前を知っているし…』と疑問に思った。
何せこの男…というか首相やヨシフも含めて女性の知り合いって、リフェリア・スウェットフェルクロードさんぐらい…。なおフェルトベルクさんは一応女性に見えて思いっきり男性なのでノーカン。
「初めまして…といえばいいのかしら。私はアリスティン・ルーズルートとも押しますわ」
「!? る、ルーズルートってまさか…」
「ええ、フェラン・ルーズルートの妻です。いつもフェランがお世話になっています」
なんと! ルーズルートの奥さんだそうだ。
というよりルーズルートが結婚していたことが一番の驚きだったのだが…
「こ、これはご丁寧に…。アドルフ・アルベルトです。ルールさんには私の方こそいろいろお世話に…」
確かに彼がまだ小さな政治家のころ、彼から様々な技術を譲り受けたりした。
「うふふ、律儀ですわね。」
「はぁ…。あの、私に何か御用でしょうか?」
「ああ、そうでしたわ。さて伍長さん、私は今ルーズルートの妻ではなく陛下にお仕えする皇宮省の筆頭事務次官として貴方にこれを渡しに来ましたの」
そういい、彼女はカバンから何やら機密文章でも入っていそうな厳重に包装された封筒を取り出した。
封筒はなんとか鑑定団で出したらすっごい価値の出そうな上品な洋封筒だった。
その封筒の宛名には…
「アドルフ・アルベルト様、ヨーゼフ・アルベルト様、ジェームズ・チャーチム様?」
「その封筒は貴方宛です。残りのお三方の封筒は別にお渡ししております」
「開けてもいいですか?」
「もちろん」
封筒を裏返す伍長。
封筒を開け、中に入っていたなんかの賞状にも見えなくもない書類に目を通した。
~ただの手紙~
アドルフ・アルベルトへ
元気ですか? 私は今執務執行室で本招待状を書いております。
書くことがないので以上です。体調管理はきちんとしておきましょう。貴方は早く退院して陛下に顔を合わせなさい。
皇宮省公務執行補佐官 フェラン・ルーズルート
「……ぬあんじゃこの文章はぁ!」
伍長は封筒と中にはいっていた書類ともども地面へと投げ捨てた。
しかもその顔は怒りに満ち溢れている。
「はぁ…はぁ…なんなんですか?! この意味の分からない手紙は!? しかも書くことがないと言いながら思いっきり書くことあるじゃないですか!?」
「あっ、そっちにツッコむんですのね」
どうでもいいところにツッコんだ伍長に、そこを拾ったことが一番驚いたアリスティン。
まだまだ興奮が収まらない伍長閣下。そりゃそうだ、何やら高級な封筒が送り付けられたのだが、その内容が個人的な内容とほぼ変わらない手紙を送りつけられたら、だれかって、『なんじゃごりゃぁ!』となる。
「というより、入れる手紙を間違えていましたわ。こちらですよ」
彼女はまったく同じ様な洋封筒をカバンから取り出す。
宛名にはアドルフ・アルベルトと呼び捨てで書かれていたため、伍長は不安に煽られた。
「大丈夫なんでしょうね…これ」
「ええ、そちらが陛下からお預かりした書類です。」
伍長は封筒を開き、中の書類を呼んだ。
「………。これを陛下が私に?」
「ええ、貴方方に」
何とも言えない表情となる伍長。いったい何が書いてあったのか? それは…
~招待状~
アドルフ・アルベルト様
今回の件で私の命を救ってくれた恩人である、貴方やそのご友人一行を皇居に招待する。
平皇歴2xxx年x月x日 大天皇帝フェルトベルク・アイスフォールド・スウェットフェルクロード




