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アンゲルとエレノア  作者: 水島素良
第五章 別荘にて

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5-19 エブニーザ

 エブニーザは、また大量に本を抱えて部屋に戻ってきた。

 幸いみんな出かけていて静かだ。

 ずっと帰って来なければいいのに……。

 つぶやきながら本を読み始める。

 と、また女の子が見える。誰も助けに来ないので抵抗するのをあきらめてしまったのか、ぼんやりした顔でされるがままになっていた。

 エブニーザは怖くなった。

 とうとう抵抗もできなくなってしまったのか?

 いや、それより……。

 そこで、気づいてしまった。

 今までは被害者の視点で彼女を見ていたが、自分は男なのだ。しかも彼女に惹かれている……。

 自分も、いつか、同じような、恐ろしいことをしてしまうのではないか……。

 震えながら、うろうろと部屋を歩きまわる。

 再び映像がよみがえる。彼女の青白い足、だらりと力なく横たわっている手、はだけた下着から見えるまだ幼い、でも十分に丸みのある胸、ほとんど手入れされていない乱れたブルネットの髪、琥珀色の、どこを見ているかわからない虚ろな瞳……。

 エブニーザは震えながら身をよじり、数歩よろけたかと思うと、音もなく床に倒れた。



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