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アンゲルとエレノア  作者: 水島素良
第五章 別荘にて

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5-18 アンゲル ヘイゼル エレノア

 別荘に帰ろうとしたアンゲルは、ヘイゼルとエレノアが、二人で反対側の道を歩いているのを発見した。

 ヘイゼルとエレノア?どこへ行く気だ?フランシスはどうした?

こっそりあとを追うことにした。

「どうしていつもでかい帽子をかぶっているのかな?」

 ヘイゼルがエレノアに尋ねた。エレノアは花飾りがついた、つばの広い帽子をかぶっている。

 それは俺がしたかった質問だぞぉぉぉぉ!

 アンゲルは、物陰に隠れながら心で叫んだ。いつも、大きな帽子を目印にして、エレノアを見つけていたからだ。

「帽子が好きなのよ。昔の貴族は、帽子がないと外出できなかったのよ。服と同じ。着ないで外になんか出れないでしょ?」

「ほほう」

 ヘイゼルが年寄りのような声を出して笑った。

「今、こういう帽子ってあまり売ってないでしょう?貴重品よ?」

 エレノアが片手を帽子のつばにあてて笑った。死ぬほどかわいいとアンゲルは思った。

 通行人もちらちらとエレノアを気にしている様子だ。ヘイゼルもさっきからニヤニヤと嫌らしい笑いを浮かべている。アンゲルは考えた。

 足元にサッカーボールがあったら、ヘイゼルの頭に命中させてやるのに!

「私のスーツケースの中身は半分以上、アンティークの帽子なの。100年戦争時代のもあるし、もうすこし後の時代のも……」

 アンゲルは、列車で運んだ大きなスーツケースを思い出した。



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