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半年後の決断

 ルーナのお試し期間の半年が過ぎた。

 ヴァレンティノ公爵夫妻は再びアストラル帝国にやって来た。

 娘たちの様子を見ることが目的だ。


 長女のリリアーヌは、淑女らしくなったようだ。


「学院は気に入ったかい?」


「ええ、お父様。知っていましたか?レディは色々な戦い方をするのですの。

 きっとお母さまでは太刀打ちできませんわ。」


 成る程。リリアーヌは学問よりも、宮廷作法と社交界を牛耳る方法を取得したらしい。

 ラインハルトもニコニコしているから、その面ではリリアーヌは抜きんでているのだろう。

 リリアーヌの異能が治癒の方面に特化しているのが、惜しい位だ。


 二女はどうだろう。

 ステラは龍の番だからリゼリアと同じように社交の必要はない。

 クラウスが人前に出すのを好まないだろう。

 父親である黒龍の番をニルヴァですら見たことがないのだから。


 フィクトス公爵家を継いでも、幾人かの龍の娘を産めば、

 お役御免とばかりに、婿に爵位を譲って引退するだろう。

 龍なんてそんなものだ。


「ステラは学院は楽しいかな?」


「はい、お父様。面白いですわ。

 知らないことを学ぶと、わくわくするのです。

 それにクラウスと会話することが増えました」


 ステラにとって学院は、そのまま学問の場であるらしかった。

 学院にきたのだからテオドールとその番ソフィアの様子も確かめる


「王太子殿下は学院で何を学ばれましたかな?」


「軍略がめっぽう面白かったぞ。

 一年は短いかも知れぬ。友も多くできたしな」


 友人ができるのはよいことだ、

 彼はいずれ王となるのだから、引き抜けそうな相手は引き抜いておきたいところだ。


「さて、王妃候補のソフィーさまは学院を楽しめましたか?」


 ソフィアはほほ笑んでニルヴァを見つめた。


「少なくとも私は、ラインハルトさまの手綱は握れておりますわ」


「それはありがたい。さすがでございますね」


 生真面目でやんちゃな王を、この聡明な王妃がしっかりと手綱を握ってくれるなら

 王室も安泰だろう。

 ソフィアが学院で学んだのは、夫の操縦法であるらしい。

 まぁ、テオドールがワザとそうしむけたのだろうが。


 そしていよいよヴァレンティノ公爵家の問題児ルーナに会うべく

 皇城の奥宮に向かう。

 出迎えてくれたのはレオニス皇子とルーナだ。


「ルーナ。約束通りお迎えにきたよ。奥院はどうだった?楽しめたかな?」


「お父様、楽しめましたわ。色々なところを探検したのです」


 それは……きっと大変だったろう。主にレオニスが。


「レオニス殿下。大変お世話をおかけいたしました。ご迷惑でしたでしょう。」


「いや、気にするな。確かに、色々と それはまぁいろいろとあったが……」


 あったんだ。やはり。


「ありがとうございました。殿下。さぁルーナ殿下にお礼を言って。帰りますよ」


 リゼが促すとルーナはきょとんとする。


「ルーナはレオニスのお嫁さんだよ」


 驚いてレオニスを見ると。


「まぁな。ほら、ルーナを嫁にできる勇者は俺しかいないだろうからな。

 貰ってやるから、置いていけ」


「猫の子でもあるまいし、簡単に拾って良いものではありませんよ。殿下」


 リゼが思わずお説教モードに入ってしまう。

 どれだけルーナ、にたいする信頼度が薄いか、わかろうと言うものだ。


「大丈夫だ。半年もたつのだぞ。ルーナは俺がいないとダメなんだ。

 俺も忙しい身体だが、まぁ頑張ればルーナの面倒ぐらい見れる。頑張れば……」


 頑張るんだ。


「ルーナどうなの?お家に帰る。ここに残る?」


「うーん。どうしようかなぁー」


 迷っている。


「ルーナ。君は僕のお嫁さんだよね。」


「うん」


「お嫁さんは、旦那様と一緒にいるものでしょう?」


「そっかぁー。お母さま、ルーナはレオニスと一緒にいる」


 リゼリアはちらりとレオニスを睨む。今、洗脳しようとしましたね。


「ルーナ。ルーナ、はレオニスのお嫁さんになりたいのかな?

 お嫁さんにならなくてもいいのよ?」


 ルーナ、は少し困った顔をする。

 そのルーナの手をレオニスがそっと握り、優しく頭を撫でてやる。


「ルーナが選んでいいんだよ。でもルーナずっと僕と一緒で面白買ったでしょう?」


 ルーナはにっこりした。


「お母さま。私はレオニスのお嫁さんがいい。レオニスはとても面白いから」


 へー。皇帝の第一皇子。既に黒炎の龍皇子の二つ名を持つ皇子が面白いねぇ?

 ルーナが選んだなら良い。レオニスもきちんと選んでくれた。

 これで私の娘たちは全員、落ち着くところに落ち着いた。

 それでいい。

 リゼリアはニルヴァを振り返り


「帰りましょう」と、言った。


「私たちは二人っきりになってしまったわ」


「リゼには僕がいるだろう?」


 その声は初めてあった、あの小さなトカゲのように優しかった。


「そうね。私にはニルがいる。」


「そうだとも。僕がリゼを見つけて、ずっと待って、そして手に入れたんだ」


 帰ろう。僕たちの家に。

 二人で。


________________完結_______________________

最後までお読みいただきありがとうございました。

これにて完結です。

次作は「皇子さまは今日も最弱娘に振り回される」です。

ルーナとレオニスのお話になります。

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