第五話 誤解なんよ
各使節団が天華国の文化を肌で感じ、一時の共感と新たな火種を残した文化交流の日が暮れた。
そして迎えた翌朝、政務殿には薄い光が静かに差し込み、黒檀の床を静かに撫でていた。
まず、蒼嶺使節団の4名が勢いよく入室した。
入室の瞬間、4名全員が「蒼嶺式の礼」を勝手に始めた。
影導公は影の角度を測り、「……影が止まった……!」
影記官は影の伸びを記録し、「……静の初動……!」
蒼騎士は影の進軍礼を構え、「……静の進軍……!」
蒼僧は影の重なりに祈り、「……神意の静……!」
影導公「蒼い影……! また差しましたな……! これは蒼嶺文化が天華国に“取り入れられた”証……!」
天華「ほい、自然に影が差しとるだけなんよ。取り入れたりせんのんよ。」
蘭花「ふふふ……蒼の影……“取り入れの瑞影”でございますか……古来より、影は理の兆しと……」
薄花「……蒼の影が……静かに揺れるたび……取り入れの物語が息をするようでございます……」
兵卒「息せんのんよ!! 影は取り入れられんのんよ!! 取り入れるんは人のほうなんよ!!」
剛明「……何だったのでしょうか……?」
蒼嶺使節の4名は満足げに深々と頷き、退出時にも蒼嶺式の礼を勝手に行いながら去っていった。
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蒼嶺が去った直後、政務殿の金飾りが風に揺れた。
白嶺使節団の4名が静かに入室する。
入室の瞬間、4名全員が「揺れ礼」を勝手に始めた。
揺間導師は左右に揺れ、「……至高……」
揺記官は揺れの“間”を測り、「……完全静……」
揺衛士は揺れの呼吸を整え、「……乱れなし……」
揺僧は揺れの礼節を捧げ、「……広間を満たしております……」
揺間導師「金の揺れ……! これは揺れ礼が“取り入れられた”証です……!」
天華「ほい、自然に揺れただけなんよ。取り入れたりせんのんよ。」
蘭花「揺れの“間”……取り入れの理にございます……」
薄花「……揺れの影が……静かに重なり……取り入れの物語が息をするんよ……」
兵卒「息せんのんよ!! 影は取り入れられんのんよ!! 揺れるんは人のほうなんよ!!」
剛明「……何だったのでしょうか……?」
白嶺使節の4名は満足げに揺れたまま、退出時にも揺れ礼を続けながら去っていった。
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白嶺が去った直後、銀器に鋭い光が走った。
紅蓮使節団の4名が勢いよく入室する。
入室の瞬間、4名全員が「戦勝ポーズ」を勝手に取った。
光戦団長は胸に手を当て、「……強烈……」
光記官は勝利の礼を捧げ、「……勝利の証……」
光衛士は光の角度を測り、「……加護……」
光僧は反射の静を祈り、「……深い……」
光戦団長「光が走った……! これは戦勝礼が“取り入れられた”証……!」
天華「ほい、自然に光っとるだけなんよ。取り入れたりせんのんよ。」
蘭花「光の理……取り入れの兆しにございます……」
薄花「……光の影が……静かに揺れて……勝利の物語が息をするんよ……」
兵卒「息せんのんよ!! 光は取り入れられんのnよ!! 勝利するんは人のほうなんよ!!」
剛明「……(理屈より)ポーズのほうが強い……」
紅蓮使節の4名は誇らしげに、退出時にも戦勝ポーズを取りながら去っていった。
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心地よい昼下がりの風と光が差し込むころ、三国の使節団12名が再び天華の前に勢揃いし、口々に叫び始めた。
影導公「……静の加護…… 蒼が取り入れられた!」
影記官「……影の角度が…… 蒼が取り入れられた!」
蒼騎士「……影が伸びぬ…… 蒼が取り入れられた!」
蒼僧「……影の重なり…… 蒼が取り入れられた!」
揺間導師「……至高…… 揺れが取り入れられた!」
揺記官「……揺れの周期ゼロ…… 揺れが取り入れられた!」
揺衛士「……礼の静…… 揺れが取り入れられた!」
揺僧「……心の静が…… 揺れが取り入れられた!」
光戦団長「……静の戦勝…… 光が取り入れられた!」
光記官「……光の静…… 光が取り入れられた!」
光衛士「……反射の静…… 光が取り入れられた!」
光僧「……天意の静…… 光が取り入れられた!」
天華「ほい、自然に取り入れられとるんよ!」
兵卒「取り入れられとらんのんよ!!
影も揺れも光も勝手に取り入れられんのんよ!!
取り入れるんは人のほうなんよ!!」
蘭花「ふふふ……三国がそれぞれ“取り入れの理”を見出しております……
外交とは……誤解の重なりにございます……」
薄花「……三つの影が……静かに重なり……
取り入れの物語が息をするんよ……」
剛明「……『取り入れる』とは……何だったのでしょうか……?」
誰も何も取り入れていないのに、
各国はお互いの文化が完璧に取り入れられたと思い込み、
政務殿には初日とは全く異なる、奇妙で圧倒的な「平和の空気感」が漂っていた。




