↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
笑天宮御政録 ―自然に暴走する女帝と常識トリオ―  作者: 鑫鑫
第四章 白風の外交なんよ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
62/81

第五話 誤解なんよ

各使節団が天華国の文化を肌で感じ、一時の共感と新たな火種を残した文化交流の日が暮れた。

そして迎えた翌朝、政務殿には薄い光が静かに差し込み、黒檀の床を静かに撫でていた。


まず、蒼嶺使節団の4名が勢いよく入室した。

入室の瞬間、4名全員が「蒼嶺式の礼」を勝手に始めた。


影導公は影の角度を測り、「……影が止まった……!」

影記官は影の伸びを記録し、「……静の初動……!」

蒼騎士は影の進軍礼を構え、「……静の進軍……!」

蒼僧は影の重なりに祈り、「……神意の静……!」


影導公「蒼い影……! また差しましたな……! これは蒼嶺文化が天華国に“取り入れられた”証……!」


天華「ほい、自然に影が差しとるだけなんよ。取り入れたりせんのんよ。」


蘭花「ふふふ……蒼の影……“取り入れの瑞影”でございますか……古来より、影は理の兆しと……」


薄花「……蒼の影が……静かに揺れるたび……取り入れの物語が息をするようでございます……」


兵卒「息せんのんよ!! 影は取り入れられんのんよ!! 取り入れるんは人のほうなんよ!!」


剛明「……何だったのでしょうか……?」


蒼嶺使節の4名は満足げに深々と頷き、退出時にも蒼嶺式の礼を勝手に行いながら去っていった。


---


蒼嶺が去った直後、政務殿の金飾りが風に揺れた。

白嶺使節団の4名が静かに入室する。

入室の瞬間、4名全員が「揺れ礼」を勝手に始めた。


揺間導師は左右に揺れ、「……至高……」

揺記官は揺れの“間”を測り、「……完全静……」

揺衛士は揺れの呼吸を整え、「……乱れなし……」

揺僧は揺れの礼節を捧げ、「……広間を満たしております……」


揺間導師「金の揺れ……! これは揺れ礼が“取り入れられた”証です……!」


天華「ほい、自然に揺れただけなんよ。取り入れたりせんのんよ。」


蘭花「揺れの“間”……取り入れの理にございます……」


薄花「……揺れの影が……静かに重なり……取り入れの物語が息をするんよ……」


兵卒「息せんのんよ!! 影は取り入れられんのんよ!! 揺れるんは人のほうなんよ!!」


剛明「……何だったのでしょうか……?」


白嶺使節の4名は満足げに揺れたまま、退出時にも揺れ礼を続けながら去っていった。


---


白嶺が去った直後、銀器に鋭い光が走った。

紅蓮使節団の4名が勢いよく入室する。

入室の瞬間、4名全員が「戦勝ポーズ」を勝手に取った。


光戦団長は胸に手を当て、「……強烈……」

光記官は勝利の礼を捧げ、「……勝利の証……」

光衛士は光の角度を測り、「……加護……」

光僧は反射の静を祈り、「……深い……」


光戦団長「光が走った……! これは戦勝礼が“取り入れられた”証……!」


天華「ほい、自然に光っとるだけなんよ。取り入れたりせんのんよ。」


蘭花「光の理……取り入れの兆しにございます……」


薄花「……光の影が……静かに揺れて……勝利の物語が息をするんよ……」


兵卒「息せんのんよ!! 光は取り入れられんのnよ!! 勝利するんは人のほうなんよ!!」


剛明「……(理屈より)ポーズのほうが強い……」


紅蓮使節の4名は誇らしげに、退出時にも戦勝ポーズを取りながら去っていった。


---


心地よい昼下がりの風と光が差し込むころ、三国の使節団12名が再び天華の前に勢揃いし、口々に叫び始めた。


影導公「……静の加護…… 蒼が取り入れられた!」

影記官「……影の角度が…… 蒼が取り入れられた!」

蒼騎士「……影が伸びぬ…… 蒼が取り入れられた!」

蒼僧「……影の重なり…… 蒼が取り入れられた!」

揺間導師「……至高…… 揺れが取り入れられた!」

揺記官「……揺れの周期ゼロ…… 揺れが取り入れられた!」

揺衛士「……礼の静…… 揺れが取り入れられた!」

揺僧「……心の静が…… 揺れが取り入れられた!」

光戦団長「……静の戦勝…… 光が取り入れられた!」

光記官「……光の静…… 光が取り入れられた!」

光衛士「……反射の静…… 光が取り入れられた!」

光僧「……天意の静…… 光が取り入れられた!」


天華「ほい、自然に取り入れられとるんよ!」


兵卒「取り入れられとらんのんよ!!

   影も揺れも光も勝手に取り入れられんのんよ!!

   取り入れるんは人のほうなんよ!!」


蘭花「ふふふ……三国がそれぞれ“取り入れの理”を見出しております……

   外交とは……誤解の重なりにございます……」


薄花「……三つの影が……静かに重なり……

   取り入れの物語が息をするんよ……」


剛明「……『取り入れる』とは……何だったのでしょうか……?」


誰も何も取り入れていないのに、

各国はお互いの文化が完璧に取り入れられたと思い込み、

政務殿には初日とは全く異なる、奇妙で圧倒的な「平和の空気感」が漂っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。