6.ラーメンをすする幼女
「ラーメンとやらは美味かったが、少し塩が強いかの。早く畑の物が食べたいのじゃ」
とか何とか文句を言いながらも、ラーメンを美味そうにすするユキちゃん。
文句を言う口でズルズル食べているのが、なんとも可愛らしい。
そっか、確かに他にも色々と食べたいよな。じゃあ早く農作物を作らないとだな。
それからは、まさに地道な農作業の日々だった。
畑を耕す度に、経験値が入り。
雑草を抜くと、経験値が入り。
ついた害虫を潰すと、経験値が入り。
植えた野菜が育つと、経験値が入り――。
――キコン。
『レベルが上がりました』
【ステータス】
名前: 三雲 瑛雅
レベル: 7(UP!)
称号: 勇者
戦闘力: 18
持久力: 18
魔法力: 18
魔力量: 18
器用さ: S
運: S
成長型: 超晩成
夕方、家に帰るとユキちゃんがいて、
「ラーメンはもう飽きたの」
とまた文句を言いながら、嬉しそうにラーメンをすすっている。
文句を言いつつも満足はしているようだけど、やっぱり早く畑で収穫したものを食べてもらいたいなと思う。
ちなみに、ユキちゃんの部屋のことなのだが。
このオジイの家には、昔から「入ってはダメ」と言われていた開かずの間があって、ユキちゃんはそこに昔から住んでいたらしい。
そういえば、子供の頃もユキちゃんと遊ぶ時だけ、あの部屋に入れたんだよな。
ここに引っ越してきた時、その襖を開けたらただの木板の壁だったのだが……今はなぜか壁がなくなり、ユキちゃんの部屋になっていた。
不思議なこともあるものだ。
まあ、深く考えずに「ユキちゃん」だからってことにしよう。
◇◇◇
それから、数週間が経った。
流石に初期の頃よりはレベルが上がりにくくなってきたが――
【ステータス】
名前: 三雲 瑛雅
レベル: 10(UP!)
称号: 勇者
戦闘力: 24(+2)
持久力: 24(+2)
魔法力: 24(+2)
魔力量: 24(+2)
器用さ: S
運: S
成長型: 超晩成
ついにレベル10まで上がった!
探索者業界では、「レベル10・ステータス20」に到達して、ようやく一人前の探索者として認められる。
10年以上泥水をすすってレベル4止まりだった以前の俺が、いかにクソ雑魚だったかが良く分かる。……くっ、ちょっと泣いていいか?
ちなみに、一応「ダンジョン協会」にも連絡はしてみたのだ。
『えっ? ご自宅の庭がダンジョン化している、ですか?』
『はい。畑などをしているんですが』
『モンスターは出ますか?』
『いえ、虫とかはいますが……』
『……。えっと。大変恐縮ですが気のせいかと思われますので、一応webフォームから申請だけ入力して提出しておいてください』
『気のせい……。はぁ、分かりました』
電話を切り、言われた通り「ダンジョン発見報告フォーム」とやらに必要事項を入力して提出しておいた。
まあ、誤報や勘違いでの報告も多く、悪質なイタズラもあるらしいから……多分、正式に受理されることはないんだろうな。
ユキちゃんのダンジョンは確かに危険もなさそうだし、何より今となっては、俺の敷地だ。下手にダンジョン認定されて国や協会に管理されても面倒なだけだし、これでいいのかもしれない。
そんなある日。
とうとう植えた野菜のうち、豆が収穫の時期を迎えた。
サヤエンドウ。
……たったの3個だけど。
でもこれは、ただの3個のサヤエンドウではない。
俺が生まれて初めて、自分の手で育てて作った野菜なんだから。
「おぉ〜。できたか。美味そうじゃのう」
「まあ、3個だけだけどね」
「ふふん、そのうち嫌というほど採れるから心配ないて」
「ふーん、だと良いけどね」
収穫したサヤエンドウをまじまじと見つめていたユキちゃんが、ほう、と感心したように声を上げた。
「ほほー。回復と経験値になるみたいじゃの」
「えっ。マジで……!?」
慌てて自分の端末の【鑑定】機能をかざしてみる。
【エイガのサヤエンドウ】
効果: 疲労回復(小)、経験値獲得(小)
自分の手で作った作物が、そのまま能力アップのアイテムになっているなんて――!
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