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【旧】ファントムフリー《phantom.free》  作者: tekuto
【Ⅰ 《Fragment / 救世の絆》】

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17/20

真実

 アキラを助ける?? 何の事だ。アキラはさっき……。

 俺が見た頃には既に、彼女の姿は無かった。

 メール自体も明らかに遅れているから、俺は「アンタこそ誰なんだ」と返信する。

 だが、メールは送れなかった。


(何でだよ!!)


 何度やっても同じ画面のまま。画面に対して、「ポンコツ野郎」と叫ぼうとしたら、咄嗟に誰かが俺に話し掛けて来た。


「それ。ランダムメールなんじゃない??」

「え。アンタは」


 不意に声を掛けられ振り向けば、そこには茶髪のロングヘアの女冒険者、シロッコが俺の様子を見に来ていた。


「ランダムメールって何なんだ??」

「送信主は、宛先構わず周囲にいるプレイヤーに送信出来る機能よ。だからランダムメール。受信者は返信できないけど、その内容が受信者にとって重要なのかどうかが、今後の展開に左右されるの」


 俺はもう一度メールを見返し、すぐに決断を出した。


「シロッコ。俺はアキラを探したい。だから手伝ってくれないか」

「…………。どちらにせよ、暇だったし。良いわ。場所は分かる??」

「悪い……。何も分からないんだ……」


 シロッコは俺の言葉に驚かず、冷静に考え始めた。

 何も分からない状況で人探しなんて、無理難題を押し付けた俺も悪いが、シロッコを待つ事にした。

 すると、シロッコが口を開いたと思ったら、拍子抜けな事を俺に話した。


「パーティーは解除したの??」


 俺はメニューを開き、パーティー画面を開くと、そこにはアキラの名前があった。

 解除し忘れてたのか……??

 アキラって、いつも重要な事を忘れて無いか。天然なのかは分からないが……。


「パーティーは、そのままだった」

「じゃあ名前を押せば、場所が何処か表示されている筈よ。パーティーメンバーが離れると、簡易ではあるけど、場所が判るようになってるの」


 俺はシロッコに教えて貰いながら確認した。


━ ━ ━ ━

  アキラ

 魔法都市アルカナ 火の神殿

━ ━ ━ ━


(二度あれば三度あるって、この事か……。何かここに、思い出でもあるのかよ……)


「魔法都市アルカナ、火の神殿」

「隣りじゃない。でも待って!! それだとラスネロからよね……」

「?? 転移魔法とかは持ってないのか」

「持つ訳無いでしょ。あんなの案内人しか……。案内人……」

「どうした??」


 シロッコは、ふと何かを考え始める。

 案内人に良い思い出が無い様に思えたが、そうでも無かった。

 シロッコが考え始めたのは、もっと別の理由があったからだ。


「案内人のアキラ。そう。あの子、噂の子ね」

「何の話だ??」

「話すより、ある情報をホムラに流すわ。と言っても噂話だけどね」


━ ━ ━ ━

 最近。ギルド、スカーレットアイズ所属の案内人、レッドアイズがある案内人をイジメているらしい。


 その内容は、状態異常やPVPが殆どだ。

 俺達でも簡単だろうと思うが、状態異常はレッドアイズお手製だし、PVPの相手はスカーレットアイズの前衛共だ。


 それを一週間の内に何度か行われているようだ。

 それでも、その案内人は強いらしく、俺も応援したいと思うが、俺は…………。

━ ━ ━ ━


 途切れていて、全て読めなかった。


「これが??」

「そう。その案内人の特徴が、ショートヘアでボロいローブを着た魔法使いなのよ。ねえ、似てると思わない??」


 そう言われると、アキラに似ているような気がする。

 ただ。どうしてそう思ったかは分からないが……。


「だとしたら。俺が行けば、戦闘は避けられないのか」

「もしその子が噂の子、ならね」


 それでも、行くしか道は無さそうだ。

 ただ相手が前衛クラスで、スカーレットアイズがどう言うギルドなのかは分からないが、このランダムメールの通りに動くしか方法はない。


「だったら、俺は行く」

「そう。分かったわ……。じゃあ私に付いて来て」


 シロッコは俺を手招きした。


「ラスネロから行けば」

「夜のラスネロは危ないから、あまりお勧めはしないわ」

「そうか。分かった」


 俺はラスネロには行かず、シロッコと一緒に何処かへ行った。




   ◇ ◇ ◇




 夜の外でも照明があるから明るいが、人通りは極めて少なく、夜だけは治安がどうしても悪くなるのは俺も頷けた。

 シロッコの話によると、夜のラスネロはプレイヤーキラーの巣窟になるらしく、初心者には常に呼び掛けており、今は強者共の裏決闘場になっているようだ。

 ただそれは、ごく一部。実際のプレイヤーキラーの巣窟は、他の場所にも存在するのだが、現状は何も変わっていないらしい。


 今俺達は、教会へと来ていた。

 なんでも。シロッコの友達に転移魔法を使える者がいるらしく、交渉の為にその友達がいる教会へと足を踏み入れていた。

 のだが……。


「お願いよ〜」

「嫌です!! こんな夜分に来たかと思えば、問題事じゃないですか。神父様からも程々にする様に言われてるから、今回は駄目です!!」


 と、シロッコの頼みを教会管理者のクシーは断る。

 クシーは修道女らしく、黒色の修道服を身に着けており、顔は整っており美人だった。

 それでも負け路と、シロッコはアイテムボックスからある物を取り出した。

 出されたのは大量の金貨だった。


「ざっと10万ベルカよ。これでも駄目かしら」

「うぅぅ……。お金で釣るのは卑怯です!!」

「そう。私はホムラの為なら、どんな手を使っても交渉を成功させるわ。それにクシー。貴女、孤児院も欲しいとか言ってたじゃない。でもお金が足りないから、転移魔法で稼いでるみたいね」

「何で、その情報を……!!」

「これでも私は情報通なのよ。まあ、商人程じゃないけどね」


 シロッコは胸を張りながら、自慢げにそう言った。

 するとクシーは、そんなシロッコに自分の秘密を暴かれた為、すぐに心が折れ、溜め息を吐いた。


「分かりました……。今回だけですよ」

「やったわ」


 シロッコは自分の事の様に喜びながら、金貨を入れた袋をクシーに渡した。

 俺は悪気を感じて、そんなクシーに小声で訪ねた。


「本当に良いのか……??」

「貴方もシロッコには気を付けた方が良いですよ。色んな意味で」

「え?? どう言う意味だ」


 クシーはそれ以外話さず、俺を惑わせると、その反応にクシーはクスッと笑う。


「では、転移させますね。シロッコ。場所は??」

「魔法都市アルカナの火の神殿よ」

「分かりました。〝空間を司る神よ。移動に長けた大いなる力を我が手に捧げよ〟」


 クシーは返事を返すと、詠唱に入る。

 するとシロッコが思い出したかの様に、アイテムボックスから長剣を取り出して、俺へと投げた。


「ホムラ。コレあげるわ」

「ありがとう。助かる」


 俺は長剣を装備し、シロッコに頭を下げた。


「良いのよ。あとは頑張って」

「ああ。次会ったら」

「それ死亡フラグに入るから、やめましょ」

「ああ。ありがとう」


「〝転移魔法。魔法都市アルカナ、火の神殿ッ!!〟」


 クシーの叫び声と同時に、俺は虹色の光と共に、この場から消え去った。




   ◇ ◇ ◇




 薄っすらと霧のような(もや)に光を灯され、全体の風景が徐々に見え始めた。その頃には、そこが魔法都市アルカナの火の神殿だと、俺は気付いた。

 夜だと言うのに周りには火が灯され、案外アルカディアよりも明るい事に驚かされたが、今はどうでも良い話だ。


(この中に、アキラがいる)


 あとはランダムメール通り、助けるのみ。

 ただ心配なのは、あの噂と同じ様に、PVPが繰り広げて無ければ良いが……。

 俺は深呼吸してから、火の神殿の門を開いて抜けた。


 すると、俺はすぐにある異変に気付いた。


(モンスターの気配が無い……!!)


 灼熱地獄の世界で火山が噴火し、頂上の溶岩がドロドロと下へ下へと流れており、少なからず気温も暑いと思うが、それ以外は何も無かった。

 当然、モンスターの気配が全く感じないので、襲われる事も無く、俺は奥の漆黒の両扉へとすぐに来れた。

 すると、いきなり目の前にウィンドウが表示された。


━━《今現在、PVP展開中》━━


《ここから先は、乱入となり、バトルロイヤルモードに変更されます。宜しいですか??》


 俺は心の準備をし、今使用できる魔王の技に一度目を通した。


━ ━ ━ ━

 桜花一閃 剣技 宝具

 焔神楽  剣技

 雷虎流星 剣技

 雷鳴の嵐 剣技 宝具

 白色氷華 

 ???

 ???

 ???


※この『???』は、freeのレベルに応じて解放される技。

━ ━ ━ ━


 freeの時にもう少しレベルを上げるべきだったな。


 俺は《YES》を押して、漆黒の両扉を開けた。




   ◇ ◇ ◇




「逃げるですッ!!」


 アキラの叫び声が聞こえたと思えば、白い甲冑を着た兵士が、槍の矛先を突き付けて俺に突進して来た。

 俺は奴の槍に逃れつつ回避し、透かさず鞘から長剣を抜いた。

 すると奴は反撃すると思ったのか、俺の反応を見て、すぐに後ろへと後退した。


「お前。何者だ」


 奴は槍を構えながら、俺にそう告げた。


「アンタこそ何者なんだ。先に名乗ったらどうだ?? それともバトルロイヤルモードなんだし、こちらで確認するが……」


 すると、奴は自身が構えていた槍を俺に向けて投擲した。

 俺は避けようと身体を動かした直後に、目にも止まらぬ速さで俺の目の前に現れ、拳のみで俺を吹き飛ばした。


「俺の名は、ギブリ。ギルド、スカーレットアイズの尖兵にして、炎の魔剣士ロトの弟子。お前も名乗ったらどうだ。ひよっこ付勢が……」


(くそっ!! 今のでダメージが半分持っていかれた……)


「と言っても、無駄死にする前にここから去れ!!」

「何、だと……」


 俺はギブリを睨み付けると、そこにアキラが目の前に現れて、俺を庇った。


「もうやめるです。ホムラさんでは無理です」

「そんなのやって見ないと分からないだろう」

「何で、そこまで……」

「ただ助けたいだけだ。アキラを」


 俺は身体を起こし立ち上がると、アキラよりも前に出て、長剣を構い直した。


「ハハハ。面白い。だったら予定変更だ。二人係で来い!! 俺はその女さえ殺れば、それで良いからな」


 ギブリは高笑いしながら、鞘から白色の長剣を抜き、軽く構えに入る。

 そんなギブリを見て、アキラは質問を問い掛けた。


「本当に、良かったのですか??」

「こうでもしないと、レッドアイズに後々怒られちまう。どうせバトルロイヤルモードに切り替わっちまったし、もう後戻りは出来ない」

「貴方は優しい方ですね」

「今から殺されるってのに、何言ってんだ??」

「それもそうですね。〝ファントムリベレイト マジシャン〟」


 アキラは黒い魔女へと姿を変える。


「ただ、先攻は貰うぞ!!」


 すると、ギブリは目にも止まらぬ速さで俺を白色の長剣で攻撃して来た。

 ギブリの姿さえ見えれば、回避や防御は簡単だろうが、俺の反応速度とギブリの速さが、比較出来ない程追い付いていないのが分かる。

 これでは直感頼りに、次の攻撃を予測するしか方法が無い。


「くそっ!! 卑怯だぞ!!」

「卑怯?? それが何か??」


 俺の懐にギブリの刃が入る。

 身体を動かし、俺は紙一重で避けたが、微量のダメージが入る。そして、火傷を負ってしまった。


「ホムラさん!! 〝シャインチェーンッ!!〟」

「よっと……」


 ギブリは光の鎖に気付き、俺から離れ距離を取る。

 アキラは俺に近付き、状態異常回復の小瓶を渡した。

 俺は小瓶の蓋を開けて、中にある液体を飲み干すと、すぐに火傷が直った。


「ありがとう」

「いいえ。気付いたまでです。アレはロトのパッシブスキルで、不用意に長剣へ近付けば、火傷になるです。ただ彼の場合は……。〝シャインチェーンッ!!〟」


 アキラは、自身を光の鎖で覆う。

 すると、カンッと甲高い金属音が鳴り、何かが落ちる。

 落ちた物を確認すれば、それは何枚もの金属の破片だった。


「やるじゃねえか。女ッ!!」


 次はアキラに狙いを定め、ギブリは目にも止まらぬ速さで襲い掛かる。

 アキラは光の鎖を展開させ、防御力を高めた。

 だが俺は、ギブリが嘲笑っている様に見えた。


「アキラッ!! 避けろ!!」

「え??」

「遅え!!」


 ギブリは白色の長剣を何の躊躇いも無く、アキラを、光の鎖ごと斬った。

 アキラは、自分自身が斬られた事に驚き、一度倒れそうになったが、何とか杖で自身を支え、その場をやり過ごす。


「まさか……、それは」

「その通り。この長剣は、テラ様が俺の為に作って下さった魔法使い殺しの魔剣。どんな魔法もこの長剣に対しては無力。今まで槍で殺り合ってたから、気づかなかったのは無理も無いだろうな!!」


 テラ。またその名を聞いたような気がする。

 どうもテラって言う奴は、武器商人か何かで間違い無さそうだ。

 そして今ので分かったが、あの長剣のお陰で、アキラはギブリにすら近付けない事。

 それなら勝機は無いに等しい。俺がギブリの速さに追い付いていないから……、否、有る。


「〝魔王剣技 雷虎流星〟」


 これは、相手の速さを封じる技だ。但し、確率は狙った場所に左右される。

 俺は、ギブリの足元に狙いを定めた。

 成功。ギブリのあの速さを封印させた。


《ギブリは、神速を封印されました》


「へえ。やるじゃねえか。俺の神速を封じやがった。まあ、それ位しか方法が無いだろうからな」


 ギブリは俺に対して、何故か納得の表情を見せる。

 いや、まさかな……。


「これで正々堂々、戦える!!」


 俺は走り、ギブリに刃を向け、突進する。


「〝魔王剣技 桜花一閃〟」


 刃先が一瞬輝きに満ちて、光が閃く。

 透かさず俺はギブリを斬ったが、ギブリはそれを避ける。

 ギブリは反撃も防御せずに後退した。


「まだだ」


 俺はギブリから距離を取り、長剣の刃先と大地を密着させて勢い良く走った。ジリジリと音を鳴らしながら、技を放つ。


「〝魔王剣技 桜花一閃ッ!!〟」


 刃先が一瞬輝きに満ちて、光が閃く。

 すると次の瞬間。刃先と大地を密着させた事によって起きた摩擦が、少しずつ火花を散り始める。


「雷よ。我が剣技に応えよ」


 やがて火花から電気が迸り、長剣に雷が纏う。


「荒れ狂う桜の風よ!! 今こそ我の前へと姿を現せ!!」


 俺はギブリに向けて、長剣を振るう。


「〝魔王剣技 雷鳴の嵐〟」


 突如、放たれた旋風は嵐となって荒れ狂い、そして衝撃波となって、そのままギブリに直撃した。

 すると、ギブリは何か小瓶を手に取り、何も防御をせずにその攻撃を受けた。

 その間に俺は詠唱を始める。


「桜舞い散る、春の丘。風の音色に耳を傾け、我は問う。この世全てが永遠ならば、我は全ての平和を望み。この世全てが戦場ならば、我は全てを無へと返す。桜の魔王、ここに有り。〝術式解放 桜花〟」


 俺は無事詠唱を完了させ、魔法が発動し、足元から周囲へと電流が一瞬迸る。


《ラストアタック〝魔王剣技 鬼牙一閃〟の準備が完了しました》


(次は、ミシロの時のようなミスはしない。確実にギブリに当ててやる)


 風が穏やかになり、ギブリが姿を現す。

 ダメージは2割りと余り削られていないが、ギブリは桜花一閃の効果で麻痺になり、身体が痺れ、動けずにいた。

 さっき持っていた筈の小瓶が無い事に気付いたが、今は無視しよう。

 どうせ回復薬か何かだろう。

 雷鳴の嵐を直撃しといて、ダメージが2割りな訳が無いと俺は思ったからだ。


「〝魔王剣技 焔神楽〟」


 俺はギブリを長剣で横に斬った。すると、ギブリの背後に魔王クラスの炎弾が当たり、追加効果で火傷を負った。

 これでダメージは3割り削られ、ギブリのHPは半分しか無く、火傷で微量のダメージが加算される。


(もうひと押しだ)

「〝魔王剣技 桜花一閃〟」


 刃先が一瞬輝きに満ちて、光が閃く。

 透かさず俺は追い打ちを掛ける様にギブリを斬り、何もさせない為に麻痺を継続させた。

 これでギブリの残りHPは4割り。麻痺で身体は動かず、微かに火傷でダメージが入っている。

 この状況だと仲間がいなければ、助けられないだろうな。


「〝ラストアタック〟〝魔王乱舞 鬼牙(オーガ)一閃〟」


 何もない空間から突如出現した、いくつもの赤い斬撃がギブリの周囲を囲うように襲いかかる。

 無抵抗のギブリは当然防ぐ事も出来ずに、そのままその赤い斬撃を受け続けた。

 するとその傷跡から、さっき術式解放した桜花の術式が刻まれた。


 ギブリはニタァと口元を歪ませ、俺を嘲笑っているのが見えたが、何が面白いのか分からず、そんなギブリを俺は見届けた。

 その桜花の術式の中から赤い玉が現れると、蝋燭の火をふっと消すように消え失せると、ギブリのHPはゼロになり、ギブリの甲冑が壊れ、顔が露出した。


「お前は……!!」

「気付くのが遅えよ。()()()!!」


 その顔の正体は、ブリキ。否、亘だった。

 何で、ここに亘がいるんだよ。

 俺の驚愕した表情にギブリは笑い、拳で俺を殴り付けた。


「……!!」


 当たり判定が入り、俺にダメージが入る。

 どう言う事だ?? 確かに俺はラストアタックでギブリを……??


「俺のHPを良く見たらどうだ?? 魔王様」


 ギブリのHPを今見れば、1だけが残っているのが見える。

 するとギブリは魔法を自身に掛けた。


「〝アルティメット、ヒール〟」

「なっ!!」


 ギブリのHPは全回復した。


「〝シャインチェーン〟」


 ギブリに光の鎖が襲いかかる。

 だがギブリは、白色の長剣で光の鎖を薙ぎ払う様に斬った。


「聞かねぇって言ったろ。女!!」


 するとギブリは金属の破片をアキラに投擲する。

 それをアキラは瞬間移動で回避したのを見て、俺はほっとする。


「ちっ……!! 小賢しい魔法使いめ」

「お前に何があったんだ!! 亘」


 俺は必死にギブリに問い掛けた。

 だが、ギブリは俺を見て、目を伏せた。


「魔王様は見逃してやる。〝魔王剣技 桜花一閃〟」


 ギブリが持つ白色の長剣の刃先が一瞬輝きに満ちて、光が閃いた。


「なっ!! 何で俺の魔王剣技を……」

「魔王剣技は魔王様にしか使えない技だ。だが、この受けた技を複製する魔法瓶を飲めば、一定期間に受けた技の回数分だけ、同じ技が使用可能。但し、リベレイトの技は抜きなんだけどな」


 そう言って、ギブリは雷鳴の嵐直前に飲んだ小瓶を俺に見せ付けながら、素早く俺を斬った。

 思わぬ事態に防げなかった俺は、その場から倒れた。

 すると身体に電流が走り、次第に痺れている事に気付かされた。


(くそっ……)


 ギブリは倒れた俺を横目に見つつ、アキラに歩み始める。

 アキラは近付くギブリに魔法で応戦するも、長剣で全て斬られ、無効化される。


「女。殺される準備は出来たか……??」


(殺される?? 何の話だ……)


 このゲームは、デスゲームではない筈……。

 それは、アキラが最初に説明していた。

 なのにギブリは何で殺すと宣言しているんだ。

 プレイヤーキル。にしても、アキラの様子がおかしい。

 どう言う事だ??


「何だ、魔王様。()()()()()()のか?? このゲームは!!」

「駄目です!! それ以上の発言は、彼にも所有権が渡るです!!」


 アキラは何かを隠そうと必死に叫ぶ。

 すると、それにまず反応したのは、亘こと、ギブリだった。


「……そうか。そう言う事か……。お前が、魔王様の案内人だな……」


 ギブリは納得すると、低い声でアキラに話し掛けた。


「それが何か……」

「レッドアイズとは大違いだ。レッドアイズなら、こう言ってたんだろうな」

「待って……!!」


 ギブリはアキラを無視して、倒れた俺に振り返る。

 すると白色の長剣に白い炎のようなオーラを纏わせ、静かに言った。


「魔王様、この白いオーラはな。コアキルを発動する為の条件だ。で、コアキルってのは、プレイヤーを消滅させる技だ」


(プレイヤーを消滅?? そんな事出来る訳無いだろ)

「何を言ってるんだ……、亘……」


「このゲームは……。phantom.freeは、ロストゲームなんだ。デスゲームの様な生温いものじゃない。人が死ぬんじゃなくて、消えるんだよ」

「だから、何を言って……」


《ホムラは、コアキルを獲得しました。これで貴方も本当のphantom.freeを始められます》


(え?? 本当のphantom.free??)


「物は、試しに実践だろ。今から見せてやる!!」

「さっきから何を言ってるんだ。亘!!」


 すると、ギブリはアキラに襲い掛かる。

 そして、白いオーラを纏わせた白色の長剣でアキラを……。


「〝コアキルッ!!〟」

「いやああッッッッ!!!!」


 アキラの叫んだ断末魔と共に、俺から何かが抜け落ちたような気がした。



   ◇ ◇ ◇




……。

…………。

………………。


「目覚めろ!!」


 そして、誰かが俺に問い掛ける。


「目覚めろ!! 黒井焔!!」


(アンタは、いったい誰だ……??)

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