九話「仲間を取り戻すために」
赤と黒との終戦後の翌日。
私たちはランバースさんや赤と黒の人たちに促されてこの里の宿に泊まっていた。私の暮らしていた元いた生活に馴染みのある匂いがした。
「もうしばらく休んでいけばいいのでは?」
「そうでございます。我の里の争いに終止符を打ったのですから」
私たちがこの里を出るのを見て、先に言い出したカナヅチさんとそれを囲む赤と黒の人たちは私たちに向って賑やかに言う。
「我々もここで休んでいたい。だが、俺の仲間に求める物があるのならリーダーである私は一刻としても前に進みたい。ただそれだけだ。そうだろ、吉田」
昨日の言い返しか。だが、それも悪くない。私は彼の言葉に笑顔で言う。
「仲間は彼らもまた同じだろ?」
「だな。ということだ。だから……」
カナヅチさんは私たちを見て笑顔で言う。
「また会える機会があるなら、今度は仲魔としてお迎します。それまでお元気で。ありがとう」
「あぁ、こちらこそ。それでは」
アルファのいう言葉に反応して里の先に向かう。彼らの顔を後にして前を向いて歩く。「さよなら」や「達者でな」など重くて喉に引っかかりそうなおもちのような言葉を吐かないでまっすぐ歩く。私の仲間がその先にいるのだから。
次回より、三章突入します。ダークホースの仲間は見つけ出すことが出来るのか……。