第三話
骸骨ばかり狩る様になってからさらに三日、計十日がたった。たった三日だがされど三日、街にギル ドが出来た。小規模なチームを纏めて一つのギルドにしたのが大半で、これからこのデスゲームを終 わらせるために動くそうだ。
「デスゲームから十日でギルド立ち上げるなんてかなりリーダーシップのある奴が居るもんだなあ 。なあ?おやっさん」
俺は行きつけの鍛冶屋のおっさんに声をかけた。このおっさんはシークと言い初見でこの人見たら絶 対やの付く自営業の人に間違えられても可笑しくない顔立ちをしている。実際に二、三度抗争に巻き 込まれたって愚痴っていた。そんな顔だから怖がられてせめてゲームの中だけでも優しい顔をしよう と思いキャラクターを作ったのだが、このデスゲームで顔が現実のものとなってしまい落ち込んでい た。でも、こんな顔してるけど鍛冶の腕はかなりいい。それで俺はちょくちょく武器の素材や武器を 頼んでいるんだが、いかんせんあの顔の所為で俺以外の客をまだ見た事ない。
この世界の武器の製造や防具の製造は鍛冶師や裁縫師の腕により良い物が出来たり悪いものが出来 たりする。同じ材料で作っても必ず同じものが出来るかはわからないという事だ。
「そうさなあ、それでコッチにも仕事がくればなあ」
思ったより重い返事が来てしまった。これはアレを出して慰めるかな。
「おっさん、今日は良い物持ってきたから元気だしなって」
俺は骸骨のドロップアイテムをおっさんに見せる。
「お、おめえ!ま、ま、まさか!?」
まあ珍しいだろうな、人の骨や頭蓋骨のドロップアイテムは。
「とうとうやっちまったのか!?おめーさんはそんな事しない奴だと思ってたのによお!言え!一 体何処のどいつを殺っちまったんだ!?自首すればまだ罪は軽くなるぞ!」
「はあ!?おっさん何言ってんだよ!別にこれりゃ人からのドロップアイテムってわけじゃねえよ !俺がちゃんと狩って来た怪物からのドロップアイテムだっつうの!」
「そ、そうだよな。うん、おっちゃんは信じてたぞ!」
「嘘つけ!じゃあ何だよその目は!アレか?隙があれば自分もやられるかも知れないから気おつけ ないと、って言う目か!?骸骨倒したらこのアイテムがドロップしてきたんだよ!」
「なんだ。それならそうとちゃんと言えよ。おっちゃんビックリしたじゃないか」
「たくよぉ、それよりこれ幾らぐらいで売れる?」
「そうだな、さっき武器屋に武器卸してきたしこんなアイテムまだ見た事ねえからざっとこんなも んかな」
おっさんが提示してきた金額は八千七百両。
相場が分からないから取り合えずこんなもんか。これだけあればいい防具買えるしな。
「これで作った武器が幾らで売れたか後で教えてくれよ、おっさん」
「わーってるわ!」
俺は防具屋に行くために鍛冶屋を後にした。
「すみませーん」
「お!客かあ」
店の中からガタイのいいおじさんが出てきた。
「和服の防具って何かありませんか?」
「和服の防具?予算はどれ位だ?」
「五千両前後の奴ありませんかねえ?」
「お!それなら結構いい奴が買えるなあ。一寸まってろ坊主」
店主はそういって店の奥に引っ込んでいった。
次に店主が出てきたら三着の和服を持ってきていた。
「この中で気に入ったのはあるか?俺のオススメはこの真ん中の奴なんだけどな、これは自信作で いい出来たんだ。どうだ?」
店主はそういって俺に真ん中の和服を見てみる。
どうやらいい出来というのは本当のようだ。防御力も結構高いし、毒耐性と麻痺耐性も付いてるな 。それに値段も五千三百両、予算の範囲内だ。
「これください」
「まいど!」
これで今日の用事は終わりだな。後は夜中に備えて眠るだけだ。
俺は宿に戻っていった。
「午前一時半、もうそろそろ出るか」
俺は宿を出る。骸骨をもう五十体程狩ってレベルも上がり難くなった。またそろそろ新しい狩場を見 つけなきゃいけないな。
もうそろそろ日帰りで帰れない所でレベル上げるか?まだデスゲームまでには日にちがあるんだし、 多少無理してもいいよな。痛いのは嫌だけど。
そんな事を考えてると墓地に着いた。
「さて、きりがいい五十体まで骸骨狩ったら新しい狩場探すか」
骸骨が一気に五体出てくる。
「お!今日は随分太っ腹だな!行き成り五体も出てくるのか!」
俺は≪逆一文字≫で手前の二体を後ろに吹き飛ばす。
すると後ろに居た三体が火の玉を放ってきた。
「ほっとな」
それをしゃがんで避けると後ろにころがっていた二体が起き上がりコッチに向かって突っ込んできた 。
突っ込んできた二体に今度は≪弧月≫をお見舞いする。それだけで二体の骸骨は塵となって消えた。
残り三体、今までの経験から後衛の骸骨は近接戦闘が出来た無い。それに体力が低い。
俺は火の玉を投げて固まっている骸骨に向けて三本の千本を投げる。
一本ずつ相手の眉間に当たる。千本を喰らって怯んでいる骸骨に向かって縦に両断。
残りった二体には≪斬≫を、もう一体には胴に斬撃を食らわせ塵に変えた。
「手ごたえも無くなったな。来たばっかだけどもうかえっかな」
墓場を出ようと足を進めると、ポーン!と言う音が頭の中で鳴った。
「なんだ?」
辺りを見ても何も居ない。
気のせいかと思いまた歩こうとすると、
『条件が達成されました。特別依頼が発生します。
亡者の雄叫び
発生条件 骸骨を五十体討伐』
特別依頼、ある特殊な条件を満たして発生する依頼でありどれも高い成功報酬がある代わりに難易度 が高い、って倭の国の公式HPに書いてあったよな。
受けるかどうかと聞かれたら受けるを選ぶだろう。これがデスゲームになってたら受けるか迷うけど な。
俺は受けるを選択する。
『依頼が受諾されました。
成功条件 がしゃ髑髏の討伐』
その言葉が聞き終わると同時に墓場の地面が盛り上がり弾けた。
「のわあ!?な、何だ!?」
そこから出たのは上半身だけで十メートルはありそうな、大きな骨の怪物が立っていた。
「え~っと、マジで?」
そんな呟き空しくがしゃ髑髏の巨大な手が俺を掴まんと伸びてくる。
「ぬおおおおお!!!」
俺はそれを横っ飛びで回避する。しかし、回避に力が入りすぎたようで墓石に激突してしまった。
「いっつううう!」
しかしのた打ち回ってる暇は無い。がしゃ髑髏のが今度は腕を横にはらって来た。
今度のは避けきれない。俺は仕方なく刀を構え守るも呆気なく吹っ飛ばされてしまう。
「ごっほ」
二転三転してようやく地面に着地する。
体力を見てみるともう四分の一程になっていた。
「一撃でこれほどの威力ってこりゃ負けたな。でも負けるならせめて一太刀でもお前に喰らわせてや る!」
がしゃ髑髏は俺を掴もうと腕を伸ばしてくる。
この速度なら避けられる!
刀を鞘に戻し回避に専念する。
がしゃ髑髏の攻撃を避けつつ懐に入っていく。
がしゃ髑髏が大振りに両手を上げた。
大技を放つつもりか!
上げた両手が地面に激突すると、衝撃波がこっちに向かってくる。
それをジャンプする事で避けると。
「喰らえ!」
≪逆一文字≫
俺が放った技は相手の頭蓋骨を少し傷つけるだけに終わった。
がしゃ髑髏の腕が向かってくるのが分かる。
次は負けないという決意を最後に俺の意識は途切れた。




