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◆年満月28日目*

新しい年を迎えるにあたって大掃除をしていたらご丁寧に開けてくださいと言わんばかりのごってごての封印術が施されているこれを見つけた。

2日かけてすべて読んでしまった。掃除が進まないためセバスチャンにねちねち言われたが知らない。

これを読める人間はいないと書いてあったが、それならなぜ俺に教えた。

隅々まで読ませてもらった。灰となって消え去れとか書いてあったが、復元術など朝飯前。しっかりと読ませてもらった。


埃の中腹を抱えて転がりまわり、面白いことを思いついた。だからここに記そうと思う。

リスティアでは16歳で大人と認められる。が、ここでは文字の文化に則り20歳を大人とする。俺が決めた。こんなに面白いものを俺だけのものにするには忍びない。ちょうどウチは直系の長子のみが名を継ぐこととなった。これが世間でのヨシカワ家の継承条件とし、もう一つ条件を付けくわえよう。つまりはこの言語、日本語を完璧にものにすること。

ヨシカワの名を継ぐ者、20歳、日本語の取得、この条件にあてはまるものだけがこれを手にして真実を知るがよい。いや、間違った笑い転げるがよい。


勇者タケルとミールリア・マクアス・××××××の血を継ぐ、ヨシカワ家二代目次期当主・ルーマス・ヨシカワ



魔王城での出来事をここに記す。

父上は話したがらない、それどころか涙目になって逃げだす。これが世間ではやし立てる勇者か、と子どもながらに思ったものだ。けれど、この本を手にし、母上に問いただして納得した。

父上のような一般人にはどきついものがあるだろう、母上の血を引く俺でさえ少し戸惑ったぐらいだ。

ここからは客観的に書く、がつっこみが入るのは目をつぶってくれ。これを記す目的は世間の勇者タケルと現実のタケル・ヨシカワの違いを知り、死ぬほど笑うことだからな。




ミーアに先導されたタケルは魔王城の最奥部、玉座にたどり着く。

マントから手を放したミーアは猫のごとく軽い足取りで跳び(聞くに10mほど飛んだらしい。いいか、跳ぶではなく飛ぶだからな?)玉座へと鎮座する。

ミールリア曰く、子どもから大人に姿を変えた、と。(察するにヨシカワ家当主の書斎裏の秘密部屋に掛けられた母上の姿絵の容姿であると思われる。というか美少女という記述しかないが、それまではいったい何歳ぐらいの姿をとっていたのだ母上は)

そのときタケルは魔王やら勇者やらテンプレやらごちゃごちゃ言っていたと。(きっとこれにひたすら書いてあることだろう)

混乱の極みにあったと思われるタケルにミーアは無慈悲にも言い放つ。



××××××××××××××××××××××××××××××××


(俺のプロポーズの言葉もこれにしようかと本気で悩んでいる。)


それに対するタケルの反応わからない。母上が話してくださらないのだ。

2人だけの秘密、と気持ち悪い視線を寄越す。ソンによれば色気らしいが、身内の俺には意味ないものだ。


喜びで立ち尽くすタケルの服を脱がせ、婚姻の儀を始めようとした。(と、母上は言うが。喜びで立ち尽くすタケル?父上はきっと呆然自失だったはずだ。あぁ婚姻の儀と母上は言うが、まぁ簡単に言えばアレだからな?服を脱がすでわかるだろ?)


これから、というときになり、場所が気に入らないのかタケルはさまよい始めた。(単に母上の攻めに耐え切れなくなって逃亡だと思われる)

そして2ヵ月ほど場所を吟味し、婚姻の儀は果たされた。(吟味というか逃亡だがなっ!2ヵ月もあきらめずに逃げ続ける父上をある意味尊敬する。)


あとは、ご存じ勇者タケルの物語だ。吟遊詩人も各所で謳っているだろう?




これが魔王城での出来事だ。

婚姻の儀がもっともふさわしい場所を探す、つまり母上にとってはこの上ない愛情表現に思えるというわけだ。我が母ながら思考回路が読めないがな。

あぁ、忘れてた当主の寝室がその地に当たる。母上と父上の記念の場所で寝る気など起きないだろう?(お前がその寝室を使わなくなった時点で同士だと認めよう。あぁ、だが初夜と子を成したいと願ったときはそこを使え、なぜかは下記に記す)

父上のすごいところはこの地下深くにいくつもの太い龍脈が交差しており、母上にとって快適な環境を引き当てたことだ。

おかげで魔王と謳われる母上の魔力に上乗せされたものを血に乗せて後世へとつなぐことができる。

……ここまで読んだお前たちならわかるであろう?勇者タケルは魔法など使えないぞ?魔王ミールリアと龍脈から受け継がれているだけだからな?


ここに記したことは一切の曇りがないことをリスティア神にかけて誓おう。

そしてのちの子どもたちの娯楽本となることを願って。



                  ルーマス・ヨシカワ







久しぶりにこれを開いた。

子が20歳になる前にぜひ書いておきたくなったのだ。奇遇にも本日年満月の28日目である。


この地で婚姻の儀を行ったというが、鬼ごっこと称される2か月間の夢の中ではすでに父上は




明日を待て!

あと1話で完結です。

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