勇者タケルの物語

秋初月27日目

今日は歩きっぱなし。

予定では明日の昼ごろに村に着く予定。

獣道と行っても過言じゃない道に沿って歩いて歩いて。

背丈の高い草をかき分けて進んでいたせいか、物音がかき消されて反応が遅れてしまった。

視界の悪いあんな場所で油断していた俺がわるいことは百も承知。

（というか、俺以上の経験者であるロンディさえも気を抜いていたってどういうことだよ、と自分のことを棚に上げて詰め寄ってしまったのは猛烈に反省中。あとで謝らないとな）

あんなでかい魔物は初めて見た。

魔王がいるかいないかでこんなに違うものなんだろうか。

同じ形をした魔物は森の中でよく出会っていたが、大きくてもせいぜい俺と同じぐらいだったはずなのに。

あそこまで大きくなると頭どころか、心臓のある胸まで剣が届きそうにない。

なんという偶然か、別の場所から現れた魔物が襲いかかってきて争ってる間に逃げたんだけど。

縄張り争いか？いずれにせよ今後もこうも都合よくいくわけではない。

気を引き締めなければ。