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第23話〜罠

書かせていただきました。クライマックスが近づいています。少しでもお楽しみいただけましたのならば幸いです。この公園室に集う 学生たちの正体は?一体どういう展開になるのでしょう?御楽しみに

 心臓が嫌な音を立てて跳ね上がった。

 「たすけて」などという言葉は、自分をおびき寄せるための精巧な罠に過ぎなかったのだ。彼女もまた、あの男の「手駒てごま」の一つ。恐怖に歪むこちらの表情を特等席で観察し、最前列の男へ逐一報告していたのだろう。

 女子学生の歪んだ笑みが、網膜もうまくにべっとりと張り付いて離れない。

 ポケットの奥で、再びスマートフォンが狂ったように震え出した。まるで「お前はもう逃げられない」と宣告されているかのような、執拗な振動。最前列の男は、相変わらず楽しげにペンを回している。

 ――ここにいては殺される。

 震の脳内で、防衛本能がけたたましく警報を鳴らした。全校生徒が敵に見えるこの教室から、一刻も早く抜け出さなければならない。彼はガタガタと震える膝に力を込め、教科書を乱暴に鞄へ押し込んだ。

 その刹那、後方の出入り口付近に座っていた数人の学生が、示し合わせたようにすっと立ち上がり、扉を背にして行く手をはばんだ。

ご一読いただきまして誠にありがとうございました。

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